同棲しているけど彼女じゃない~怨霊は恋のキューピット

ぽとりひょん

文字の大きさ
上 下
131 / 175

131話 そろそろ学祭

しおりを挟む
 お祓いが終わって、美琴も無事と分かり落ち着いたところで、九郎と玉枝、つよしは帰宅する。歩きながらつよしは九郎に言う。
 「九郎は、バイトでお祓いの手伝いをしているのだろ。」「そうだよ。一久さんに頼まれたんだ。」
 「危険じゃないのか。」「確かに危険だよ。今日も霊が弱かったからいいけど、強かったら大変なことになっていたかもしれないよ。」
 「九郎は大丈夫なのか。」「僕は見えるから危険な時には逃げるよ。」
 「でも、仕事だろ。」「一久さんも、危険かどうか判断するために僕に手伝わせているだよ。」
 「今日はごめんな。」「みこが無事でよかったよ。」
つよしは気持ちを切り替えるように伸びをする。彼は九郎に言う。
 「そろそろ、顔出さないとな。」「みこのお父さんのこと。」
 「学祭のこと忘れているだろ。」「あっ、部長が返事を待っている。」
 「明日は部室に行かないとな。」「みんなで行こう。」
 「それで玉枝さんは、今日も泊まって行くのか。」「そうだよ。」
 「うらやましいな。」「いい加減にやめないとみこに言うぞ。」
 「頼む、黙っていてくれ。」「分かった。」
九郎はつよしと別れてアパートに帰る。彼が風呂に入ると玉枝が裸で入って来る。玉枝は九郎に言う。
 「学祭楽しみね。」「屋台の休み時間にあやめと回れたらいいな。」
 「私と回る選択肢はないの。」「玉枝さん、部長がいるよ。」
 「熱烈なのはわかるけど、九郎ちゃんの方がいいなー」「部長に言ったらだめだよ。」
 「諦めさせるのも部長のためよ。」「そうかもしれないけど・・・」
九郎は部長をふるには、はっきりと言わないとだめなことは分かっている。しかし、部長の落ち込む姿は見たくなかった。
 その夜、九郎は夢を見る。玉枝が部長をふって、九郎に愛の告白をする夢だった。
 夢から覚めるとまだ夜中である。九郎の目の前には添い寝する玉枝の美しい顔がある。
 彼は夢が心の奥底の気持ちを代弁しているのではないかと心配になる。
 そして、自分に頭の中で言い聞かせる。これは怨霊、これは怨霊、これは怨霊・・・
しかし、九郎には、玉枝を大切に思う気持ちがあることを知っている。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」  ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。  蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。  これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。  一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!? 『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』 小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。 ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。 しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。 彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!? 過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。 *導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。 <表紙イラスト> 男女:わかめサロンパス様 背景:アート宇都宮様

処理中です...