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120話 美琴の父の考え

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 4人の食事は続く。つよしは美琴の父に酌をする。父はつよしに聞く。
 「木村君のご両親は元気かな。」「両親揃って元気です。」
 「兄弟はいるのかい。」「はい、兄が1人います。」
 「そうか、お兄さんがいるのか。」「はい、会社員をしています。」
 「さあ、木村君も飲みなさい。」「ありがとうございます。」
美琴の父は、つよしの目にも機嫌よく見える。誕生日会の時とは全く違う。美琴は、父が何をしたいのか考える。
 美琴の母は、父が何を考えているのか気づいているが、黙って見ている。
 つよしは十分に食べて飲む。4人は焼肉屋を出て美琴の家に帰る。4人は居間でお茶を飲む。父はつよしに言う。
 「今日の食事は楽しかったよ。」「ごちそうさまです。」
 「これからの遠慮なく家に来てくれ。」「よいのですか。」
 「美琴の彼氏だからな。大事なお客さんだ。」「ありがとうございます。」
つよしは美琴の父の態度が変わっても自分の立場は変わっていないことを感じる。つよしはお茶を飲むとお暇する。
 美琴はつよしが帰ると父に言う。
 「今日はどうしたの。」「美琴の彼氏と食事をしただけだよ。」
 「今日は機嫌が良いみたいだけど・・・」「彼はお前と結婚するかもしれないだろ。」
 「まだ、そんな話はしていないよ。」「彼が好きなんだろ。」
 「そうよ。」「木村君は次男だから美琴と結婚したら一緒に住むこともできるだろ。」
 「何を言っているの。」「同居が嫌なら近所に家を建てればいいよ。」
美琴の母が父に言う。
 「そのような話はまだ早いですよ。」「そうか、婚約の時までに決めておきたいと思っているよ。」
美琴は父の自分勝手な言い分に怒りを覚える。美琴は父に言う。
 「お父さんは、私を家に縛り付けときたいの。」「娘が大切なだけだよ。」「・・・」
美琴は自分の部屋に入ると荷造りを始める。そして、家を飛び出す。
 美琴の両親は異変に気付くが、すでに美琴は外に飛び出していた。
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