同棲しているけど彼女じゃない~怨霊は恋のキューピット

ぽとりひょん

文字の大きさ
上 下
114 / 175

114話 父と娘の話

しおりを挟む
 酔いつぶれていた美琴の父は夕方に目を覚ます。母は、父のために雑炊を作る。美琴は父に言う。
 「お父さん、美人の酌で飲みすぎたんじゃないの。」「確かに玉枝さんは美人だったな。」
 「お母さんに聞こえるわよ。」「これはお母さんに怒られるかな。」
 「聞こえてますよ。」「これは浮気じゃないぞ。」「分かってますよ。」
母は父に卵雑炊を出す。父は酔い覚ましに雑炊を食べる。
 美琴は、これほど自分のことを他人に話した父を見たことが無かった。彼女は父に話をする。
 「お父さん、私のこと思ってくれてありがとう。」「どうしたんだ、急に。」
 「今日のお父さんの話を聞いて見守られていたとわかったわ。」「当然のことだろ。」
 「でも、うれしいよ。」「そうか。」
美琴はここで話を止める。彼女は父に言いたいことを整理する。それは父に伝わらないかもしれない。
 それでも話さなければならない。もう、彼女は選んでしまっているのだ。
 「お父さんは、つよしのこと嫌い。」「軽い感じの男だ。騙されているんじゃないのか。」
 「私が軽い男に騙されるような娘に見える。」「そんなことはないぞ。ただ恋は盲目ともいうからな。」
 「そうね、つよしは見た目が軽薄に見えるけど真面目よ。」「信じられないな。まあ、諦めると思っていたが、違っていたな。」
 「つよしは諦めないよ。」「お前はどうなんだ。」
 「私も諦めないわ。」「向こうのご両親に受け入れられるとは限らないぞ。」
 「分かっている。」「まあ、私の娘だからだいじょうぶだろう。」
 「お父さん、娘から卒業しなくちゃだめよ。」「お前は、ずうっと私の娘だ。何が悪い。」
 「怖いお父さんを続けていると、結婚した時、来づらくなるよ。」「結婚だと。」
 「たとえ話よ。」「あいつ、結婚を迫っているのか。」
 「そんなことないわ。」「そうか、ならいいんだ。」
 「つよしを家に呼んだ時は会ってね。」「私は付き合いを認めていないぞ。」
 「娘を信じられないの。」「そうは言ってもなー」
 「どんな男ならいいの。」「お前を幸せにできる男だ。」
 「つよしがそうかもしれないわよ。」「分かった。あの男のダメなところを見つけたら別れるんだぞ。」
 「その時は、私から別れるから大丈夫よ。」
美琴はつよしとお試しで付き合えることになる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」  ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。  蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。  これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。  一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!? 『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』 小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。 ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。 しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。 彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!? 過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。 *導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。 <表紙イラスト> 男女:わかめサロンパス様 背景:アート宇都宮様

処理中です...