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112話 誕生日会

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 つよしは美琴の父の隣に座る。彼は父に酌をする。
 「木村君だったか、付き合いを認める気はないぞ。」「僕もあきらめる気はありません。」
2人は険悪な雰囲気になっている。そこへ玉枝が父に酌をする。
 「君は歳が離れているようだが、木村君のことをどう思う。」「少し軽いですね。」
 「そうだろ、軽薄なんじゃないか。」「そこまでは行っていませんわ。芯は真面目ですよ。」
 「だが、美琴にふさわしくないだろ。」「美琴さんは人を見る目が無いですか。」
 「そんなことは言っていない。そうだ、木村にたらし込まれたんだ。」「それでは娘さんを信用してないようですよ。」
 「そんなことは無いんだ。」「お話を聞きますわ。さあ、どうぞ。」
玉枝は父のグラスにビールを注ぐ。父は美琴のことを話し始める。話は美琴が生まれた時から始まる。美琴は父の話に赤くなる。
 つよしは美琴の母の隣に移動する。
 「お騒がせしてしています。」「本当に、お父さんの機嫌が悪くて大変ですよ。」
 「すみません。」「木村君はちゃんとお付き合いをしているの。」
 「はい、真剣です。」「今日は良く来れましたね。」
 「友人が力になってくれて助けられました。」「友達に恵まれているのね。」
 「はい、僕もみこも・・・すみません、美琴さんも助けられています。」「私はちゃんとしていれば何も言いませんよ。」
 「ありがとうございます。」「でも、お父さんは大変ですよ。」
 「頑張ります。」
つよしは母には反対されていないのでホッとする。
 九郎は玉枝と父の様子を見ている。あやめが九郎に言う。
 「お父さん酔いつぶれるんじゃないの。」「僕もそんな気がする。」
父は美琴が小学校へ通い始めたころの話になって泣き始める。
 「美琴はそれはかわいかったんだ・・・」「今でもかわいいですよ。」
 「玉枝さんはよくわかっているね。」「ありがとうございます。」
父の話はまだまだ続く。玉枝は嫌がらず話を聞いている。美琴はあきれている。
 「それがぽっと出の男に美琴が攫われるとは・・・」「美琴さんの気持ちはどうですか。」
 「そ、それは・・・」「一度美琴さんとよく話した方が良いと思いますよ。」
 「そうですね。娘と話します。」「さすがですわ。」
美琴の父は玉枝に丸め込まれる。そして、酔いつぶれる。玉枝は美琴に言う。
 「お父さんとよく話した方が良いわよ。」「でも、お父さんと話にならないわ。」
 「大丈夫よ、みこちゃんと話をしてくれると言ってくれたから。」「分かりました。父と話してみます。」
玉枝は、父と美琴の橋渡しをする。誕生日会は父が酔いつぶれたため、お開きになる。
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