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107話 美琴、誕生日会の話をする

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 つよしと美琴はハイキング部に顔を出す。
 部室には部長と2人の先輩がいる。
 部長がつよしに聞く。
 「玉枝さんを部員にしたいがどうかな。」「玉枝さんは学生じゃないからやめた方がいいですよ。」
 「木村、そんなことないぞ。部には潤いが必要だ玉枝さんを部員にするべきだよ。」
他の男子部員がつよしに言う。部長は考え込む。つよしの言うことは正しいのである。しかし、部長も部に潤いが欲しかった。
 部長はつよしに言う。
 「明日、翼を部に連れて来てくれないか。」「九郎に難題を言うつもりですか。」
 「そうかな。」「玉枝さんは仕事をしているのですよ。僕たちのように部室に来られませんよ。」
 「言うとおりだ。済まなかった。」
部長は考え直す。
 つよしと美琴は部室で話をして過ごす。
 そして遅くならないうちに2人は帰宅する。
 美琴の父親は、つよしとの交際が判ってから門限を厳しくしている。
 美琴は帰宅すると母親に言う。
 「お父さんの誕生日の22日、日曜日でしょ。」「そうだけど何かするの。」
 「友達を呼んで誕生日会をしようと思っているんだけど。」「お父さんの誕生日に友達が来るの。変じゃない。」
 「私の誕生日すぎちゃったから、私のお祝いも兼ねて誕生日会をしようということになったのよ。」「お父さんに聞いてみなさい。」
 「お父さん嫌がるかな。」「若い子に囲まれてだと恥ずかしいと思うわよ。」
 「お父さんに聞いてみる。」「そうしなさい。」
美琴は母が反対すると思っていたが、特に反対されなかった。あとは父話すだけである。美琴は父の帰りを待つ。
 午後8時前、美琴の父親が帰ってくる。
 「ただいま。」「お帰りなさい。お父さん話があるの。」
 「交際は認めないぞ。」「違うわ。お父さんの誕生日会の話だけど。」
 「それなら、みんなで食事に行くか。」「友達を呼んで祝いたいの。」
 「なんで友達が出てくる。」「私の誕生日が過ぎたから、私の誕生日も兼ねてお祝いする話をしているの。」
 「でも、お前たちの中で、私は浮かないか。」「大丈夫よ。」
 「まあ、お前の友達を見てみたいし、いいか。」「ありがとう。」
美琴の父は、意外と簡単に美琴の話に乗ってくれる。こうして、9月22日に誕生日会をすることになる。
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