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103話 翌朝

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 九郎が目を覚ますとあやめが隣に寝ている。九郎は幸せを感じる。彼の背中に玉枝が抱きついているが、彼は気づかないふりをする。
 玉枝が九郎に言う。
 「九郎ちゃん、昨夜は激しかったわね。」「雰囲気にのまれたんだよ。」
 「玉枝さんと抱き合って何しているの。」
あやめが目を覚ましている。あやめの目が怖い。
 九郎はあやめに言う。
 「玉枝さんと話していただけだよ。」「抱き合って?」
 「これは、玉枝さんが抱き着いているんだ。」「そう、言い訳するの。」
 「違うよ。」「あやめちゃん、妬いているの。」
 「玉枝さんはずるいです。九郎と一緒に寝て、風呂に入って・・・」「あやめちゃんもすればいいのよ。」
 「それはちょっと恥ずかしい。」
あやめは赤くなる。九郎は冷や汗をかく。あやめは嫉妬深いと感じる。彼が玉枝に手を出したらとんでもないことになるだろう。
 2人がホテルを出ると朝日が出ている。彼らはバスに乗って帰る。
 あやめの家に帰ると玄関に一久が待っている。
 「すみません。」
九郎は一久に謝る。
 「謝るより、どこに行っていたのか説明がないだろ。」「はい、ホテルに泊まっていました。僕が誘ったんです。」
 「そうか。九郎君よくやった。」「えっ。それは・・・」
 「2人に進展がないと思っていたんだ。ちゃんとしているんだね。」
九郎は一久に怒られるものだと思っていた。
 「さあ、3人とも上がって。」「はい。」
一久の機嫌は良い。九郎たちは居間に入ると、かえでに昨夜のことを追及される。
 九郎は正直に話す。するとかえでも喜ぶ。玉枝がみんなに言う。
 「もう後は、婚約するだけね。」
一久とかえでが満面の笑みになる。
 九郎とあやめは追いつめられたことを知る。
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