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95話 玉藻前

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 玉枝が少女に言う。
 「蛇神、どうした。弱っているように見えるぞ。」「玉藻前たまもまえか、500年ぶりかの。」
 「玉枝だ、た・ま・え」「何を言っておる。ぬしは玉藻前であろう。わしが間違えるものか。」
玉枝は困惑する。そして話題を変えるように言う。
 「村人が困っている。封印を何とかしてくれ。」「今は無理じゃ。この沼の状態を見てくれ。これでは力が発揮できん。」
一久が蛇神に言う。
 「蛇神様、彼女のことを玉藻前と呼んだようですが。」「玉藻前だから、そう呼んだのだが」
 「私は玉枝です。」「玉枝さんは昔、玉藻前と呼ばれていたんですね。」
九郎が玉枝に言う。一久が九郎に言う。
 「九郎君は玉藻前を知らないのか。」「有名なんですか。」
 「妖狐が女性に化けて悪事を働いて岩に封印されたんだよ。その岩は殺生石と呼ばれている。」「玉枝さんは化け狐何ですか。怨霊と思っていました。」
 「私は人間だったんです。妖狐は言いがかりです。」「今は玉枝さんでよいではないですか。」
 「私は、かなり驚いているんだよ。」
一久は、玉枝が玉藻前と知って動揺する。蛇抜が話に割り込む。
 「村を救う話をしてください。蛇神様、お願いです。村をお救いください。」「それは無理だと申しておる。」
 「そこを何とか。」「ここは玉藻前にやってもらおう。」
 「私は玉枝です。」
玉枝は、玉藻前ということを否定する。九郎が蛇神に言う。
 「蛇神様、彼女を玉枝と呼んでいただけませんでしょうか。」「分かっだ。玉枝じゃな。」
 「玉枝よ。わしは五郎丸たちの封印を解くから、お前が退治せよ。」
 「命令されるのは嫌です。」「玉枝様、何とか、お願いできないでしょうか。」
 「玉枝さん、困っているから助けてあげてください。」「九郎ちゃんが言うなら仕方ないわ。」
玉枝は乗り気ではないが、九郎の頼みなので鬼退治を引き受けることにする。
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