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79話 話が進んで行く

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 九郎とあやめが夏祭りがら変えると九郎の両親が遅めの夕食を用意している。典子があやめに聞く。
 「祭りは楽しめましたか。」「はい、花火、きれいでした。」
泉水鏡のことは話さない。余計な心配はかけたくないのだ。
 4人は晩酌しながら夕食を食べる。義郎が言う。
 「九郎がこちらに来る時には、ぜひ一緒に来てください。」「はい、ありがとうございます。」
あやねは九郎の両親に彼女と認められ、気に入ってもらえたため、訪問の目的を果たすことが出来た。
 翌朝、両親は車で九郎とあやめを駅まで送る。両親は改札で2人を手を振って見送る。九郎があやめに言う。
 「両親が、恥ずかしいことしてごめんね。」「大げさだけど、うれしいわ。」
 「そう言ってくれると助かるよ。」「私、来てよかったわ。」
2人は列車を乗り継いで帰って行く。バスを降りると玉枝が気配を大きくしてあやめにも見えるようになる。玉枝は2人に言う。
 「九郎ちゃんとあやめちゃん、いつでも結婚できるわね。」「け、結婚て、まだ早いよ。」「私たちまだ学生です。」
 「でも、2人の両親に気に入られているから大丈夫よ。」「玉枝さん、一久さんに結婚のこと言わないでくださいよ。」「そうね、お父さん本気にするわ。」
 「分かったわ。結婚の話はやめとくね。」「お願いします。」
九郎たちは久沓神明社に着く。あやめが家の玄関の引き戸を開けると一久が出てくる。
 「お帰り、寂しかったよ。九郎君、お昼食べていきなさい。」「はい、ありがとうございます。」
 「玉枝さんも入って。」「お邪魔します。」
九郎たちは居間へ行く。昼食にはざるうどんが出てくる。一久があやめに言う。
 「あやめ、義郎さんが褒めていたよ。」「お父さん、連絡を取り合っているの。」
 「ああ、いろいろと聞いているよ。九郎君にお嫁さんが出来たって喜んでいたよ。」「勝手に話を勧めないで。」
 「もう、いつでも結婚出来るだろ。」「一久さん、まだ早いですよ。」「お父さん何言っているの。」
そこに玉枝が加わる。
 「私の言った通りでしょ。」「玉枝さんもそう思うか。」
 「婚約だけでもいたらいいわ。」「いい考えだね。」
あやめが怒りだす。
 「お父さんも玉枝さんもいい加減にしてください。」「私は真面目だよ。」「余計にたちが悪いです。」
九郎は花嫁姿のあやめを想像していた。そして、これはありだと考える。
 昼食を食べ終えると九郎と玉枝はアパートに帰ることにする。
 帰り際に一久が九郎に言う。
 「婚約の話考えておいてくれよ。」
九郎は返事をしなかった。彼には結婚はまだ考えられないし、あやめが怒っているからだ。
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