同棲しているけど彼女じゃない~怨霊は恋のキューピット

ぽとりひょん

文字の大きさ
上 下
60 / 175

60話 キャンプファイヤー

しおりを挟む
 除霊騒ぎに隣の部屋にいた部長が部屋に来る。
 「玉枝さん、大丈夫ですか。」「平気よ。地縛霊を祓っただけですわ。」
玉枝は何でもないように言う。青くなっていた美琴も落ち着く。
 部長は、ペンションのオーナー夫婦に除霊のことを話しに行く。オーナー夫婦は言う。
 「出たのですか。年に1人位のお客さんが血まみれの男がいるというので先月お祓いをしてもらったところなんです。」「地縛霊は除霊しましたから大丈夫ですよ。」
 「本当ですか。」「翼玉枝さんが除霊の仕事をしていて、彼女が払ってくれたのです。」
 「お代はいくらほどでしょうか。」「いらないそうです。」
 「分かりました。食事でサービスさせていただきます。」「それは、ありがたいです。」
オーナー夫婦の話では、5年くらい前に喧嘩から殺人事件が起きたとのことであった。
 それを聞いて、男子部員の1人が部屋替えを要求しだが部長は却下した。
 その部員を玉枝がなだめると部員は元気になる。九郎は男は単純な生き物だと思い知らされる。
 部長の指示でペンションの敷地を借りてキャンプファイヤーの用意をする。
 夕食が終わるとキャンプファイヤーを始める。先輩がギターを弾き始める。
 玉枝は部長とビールを飲んでいる。男子部員たちが玉枝とキスをかけて飲み比べを挑み始める。
 あやめが九郎に言う。
 「デジャヴを見ている気がするんだけど。」「ゴールデンウィークのキャンプと同じ展開だよ。」
九郎は答えながら周りを気にする。キャンプファイヤーの灯りに霊たちが集まってきているのだ。
 つよしと美琴はこっそり抜け出している。九郎は空を見て言う。
 「ここから見える夜空はすごいね。」「星がたくさん見えるわ。」
あやめは答えながら寄りかかってくる。九郎はそっと肩を抱く。
 彼は心の中でガッツポーズをする。肩を抱いてもいやがられてないぞ。これは大きな前進だと思う。
 あやめはキスの覚悟をして、九郎に寄りかかったが彼は肩を抱くだけである。
 彼女は、これぐらいが私たちにはちょうど良い進展なのかもしれないと考える。
 玉枝の周りでは、男子部員が飲み比べを一人また一人と挑んでいき敗北している。
 九郎とあやめは少し早めに部屋に戻る。九郎が部屋に戻ってしばらくするとつよしが戻ってくる。
 「九郎、キス位はしたのか。」「肩を抱いたよ。」
 「なかなか進展しないな。俺たちはしたぞ。」「キスか?」
 「違うよ。愛を確かめ合ったのさ。」「外でしてきたのか。」
 「おかげで蚊に刺されたよ。」
九郎はつよしの行動力に感心する。あやめが部屋にいると美琴が戻ってくる。
 「蚊に刺されちゃった。」「何をしてたの。」
 「抱き合ったのよ。」「外で?誰か見られたらどうするの。」
 「スリルがあっていいじゃない。あやめはしたの。」「そんなことしません。」
 「キスよ。」「してないわよ。肩を抱いてくれたわ。」
 「あやめ、それでいいの。」「私たちはゆっくりでいいわ。」
 「あやめたちアツアツなのに行動が伴わないよね。」「あなたたちが行動しすぎているだけだわ。」
そこへ玉枝が戻ってくる。あやめが玉枝に言う。
 「玉枝さん、酒臭いですよ。」「全員、酔いつぶしたわよ。」
 「玉枝さん、あれだけ飲んでも体形変わらないなんて羨ましいです。」
美琴が自分のスタイルと比べて抜群のスタイルの玉枝をうらやむ。
 「みこちゃんはかわいいからいいのよ。」
玉枝が慰める。酔いつぶれた男子部員は先輩が部屋に運び込んでいる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

影の王宮

朱里 麗華(reika2854)
恋愛
王立学園の卒業式で公爵令嬢のシェリルは、王太子であり婚約者であるギデオンに婚約破棄を言い渡される。 ギデオンには学園で知り合った恋人の男爵令嬢ミーシャがいるのだ。 幼い頃からギデオンを想っていたシェリルだったが、ギデオンの覚悟を知って身を引こうと考える。 両親の愛情を受けられずに育ったギデオンは、人一倍愛情を求めているのだ。 だけどミーシャはシェリルが思っていたような人物ではないようで……。 タグにも入れましたが、主人公カップル(本当に主人公かも怪しい)は元サヤです。 すっごく暗い話になりそうなので、プロローグに救いを入れました。 一章からの話でなぜそうなったのか過程を書いていきます。 メインになるのは親世代かと。 ※子どもに関するセンシティブな内容が含まれます。 苦手な方はご自衛ください。 ※タイトルが途中で変わる可能性があります<(_ _)>

ストーカーに狙われたので歳上騎士様に護衛をお願いしました。

ねーさん
恋愛
 「氷の彫刻」と呼ばれる美貌の兄を持つ公爵令嬢のクラリッサは不審な視線に悩まされていた。  卒業を二日後に控えた朝、教室のクラリッサの机に置かれた一通の偏執狂者からの手紙。  親友イブを通じてイブの婚約者、近衛騎士団第四分団員のジョーンズに相談すると、第四分団長ネイトがクラリッサのパートナーとして卒業パーティーに出席してくれる事になって─── 〈注〉 このお話は「婚約者が記憶喪失になりました。」と「元騎士の歳上公爵様がまさかの××でした!?」の続編になります。

彼女にも愛する人がいた

まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。 「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」 そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。 餓死だと? この王宮で?  彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。 俺の背中を嫌な汗が流れた。 では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…? そんな馬鹿な…。信じられなかった。 だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。 「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。 彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。 俺はその報告に愕然とした。

社宅

ジョン・グレイディー
ホラー
 寂れた社宅  3連列の棟に形成された大規模な敷地  両脇の2連の棟は廃墟となり、窓ガラスには板が打ち付けられ、黒いビニールシートで覆われている。  ある家族がこの社宅の5号棟に引っ越して来た。  初めての経験  初めての恐怖  どこまでも続く憎しみ  怨霊に満ちた呪縛  ほぼ実話に基づく心霊現象を描くホラー小説

処理中です...