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57話 嘘のお祓い
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九郎とあやめは、久沓神明社の鳥居まで来る。ここで、玉枝が気配を強くして見えるようになる。
3人は、あやめの家に行く。あやめが玄関の引き戸を開けると一久が出てきて言う。
「九郎君、待っていたよ。」「お邪魔します。」
九郎と玉枝は居間に通される。2人がソファに座ると一久が話し始める。
「日曜日にお祓いをすることになったよ。男性が霊に憑りつかれていると言ってきているんだ。」「霊がいるか見ればよいのですね。」
「ああ、お祓いできなかったら、玉枝さんに退治してほしい。」「任せてください。」
「今日は夕食を食べて行ってくれ。日本酒も神事の後だからたっぷりあるよ。」「それはいいですね。」
玉枝が嬉しそうにする。あやめがくぎを刺す。
「飲み過ぎはだめよ。」
夕食が始まり、一久は玉枝と楽しそうに飲む。九郎もご相伴に預かる。あやめが目を光らせていたがあやめも飲んでしまう。
一久は酔いつぶれ。九郎は自分用の部屋に泊まることになる。巫女神楽の練習の時、度々泊まることになり。あやめの隣の部屋が九郎のお泊り用の部屋になっていた。
翌朝、九郎はあやめに起こされる。
「九郎。起きないと大学に遅れるわよ。」「おはよう、あやめ。」
すでに朝食と弁当が用意されている。料理は、あやめと玉枝の合作である。
3人は家を出る。鳥居の所まで来ると玉枝が気配を小さくして見えなくなる。
九郎とあやめは、途中、九郎のアパートに寄って大学へ行く。
大学に入るとつよしと美琴が声をかけてくる。つよしが九郎に言う。
「昨日と同じ服か、また社本さんの家に泊まったのか。」「ああ、酒を飲みすぎたんだ。」
「いいよな、お父さんと仲良くて。」「つよしは、まだ内緒なの。」
「内緒で付き合っている。」
美琴の父親は手強そうである。講義が終わって4人は、ハイキング部の部室へ行く。部室には、部長と2人の先輩がいる。部長が九郎に聞く。
「どうだった、玉枝さんは参加してくれるのか。」「参加するそうです。」
「よし!がんばるぞー」
部長はガッツポーズをして言う。九郎は部長の恋が実らないのでかわいそうに思う。
「九郎ちゃん、怨霊との恋はないと思っているでしょ。」
玉枝が九郎の心を読んだように言う。
「これでも恋したこともあるのよ。」
「本当?」
九郎は思わず小声で言う。
「本当よ。だから、九郎ちゃんと恋愛することもできるわよ。」
玉枝の声はあやめにも聞こえている。
「なっ!」
あやめは思わず声を上げる。みんながあやめに注目する。
「な、なんでもありません。」
あやめはごまかす。
大学から帰る途中、あやめは小声で玉枝に言う。
「九郎を取らないでくださいよ。」「あやめちゃん、自信ないの。」
「玉枝さんと比べたら美人じゃないし、スタイルもかなわないもの。」「あやめちゃんは十分にきれいよ。そうよね九郎ちゃん。」
「うん、きれいだよ。僕はあやめ一筋だから。」「ありがとう。」
九郎とあやめは、スーパーまで来ると別れる。
日曜日の朝になる。九郎が起きると玉枝は朝食をテーブルにならべている。
はちみつをたっぷり塗った食パンにトマトとチーズのサラダである。
九郎は「いただきます」をして食べる。
玉枝は、ネグリジェ姿から巫女姿に変わっている。彼女はお祓いをやる気満々である。
九郎は着替えると、久沓神明社へ出かける。玉枝は鳥居の所まで来ると気配を大きくして見えるようになる。
あやめの家にインターフォンを鳴らすとあやめが出てくる。
「おはよう、九郎、玉枝さん。」「おはよう、あやめ。一久さんはどうしたの。」「今、着替えているわ。」
九郎と玉枝は居間に通される。しばらくすると一久が居間に来る。
「ごめんね、目覚ましが鳴らなかったんだ。」
九郎と玉枝はあやめを見る。あやめは顔をそむける。時間になると依頼者が拝殿にやってくる。
九郎と玉枝は一久について拝殿に行く。拝殿には若い男が2人いる一人はビデオを撮っている。
九郎は2人を見るが霊は見えない。一久が男2人に聞く。
「1人と聞いていましたがどちらがお祓いをしに来ましたか。」「私です。」
撮影をしていない男が言う。一久が九郎に聞く。
「どうですか。」「霊は見えません。」「分かりました。」
一久はお祓いを始める。玉枝は不機嫌そうに見ている。お祓いが終わると一久が言う。
「お祓いをしましたが、霊は憑りついていないですよ。」「ありがとうございます。」
玉枝が男の前に出て言う。
「あなた、嘘をつきましたね。」「何を言っているんですか。」
「最初から、霊に憑りつかれたなんて嘘でしょ。」「分かりますか。」
一久が言う。
「どうして、そんなことをしたのです。」「SNSで話題になっているんですよ。」
「どんな話題ですか。」「怨霊を退治したって話題ですよ。」
「そんなこともありましたが・・・」「本当か確かめに来ました。」
「それで嘘を・・・」「はい、本当のようですね。」
九郎が男に聞く。
「今日のことをネットに乗せるつもりですか。」「はい、生配信しています。」
玉枝が、怒って言う。
「すぐに立ち去りなさい。」「はい。」
2人の男は急に魂を抜かれたようになり、玉枝に従う。九郎は心配になり玉枝に言う。
「玉枝さん、何かしたの。」「言霊を使いました。」
「言霊?」「はい、簡単なことなら言うことを聞かせることが出来ます。」
「玉枝さん、助かったよ。ありがとう。」
一久が礼を言う。九郎が一久に言う。
「この神社、ネットで有名になってしまいますよ。」「参拝客が増えればいいけどね。」
九郎は有名になってお祓いが増えるのは嫌だった。
3人は、あやめの家に行く。あやめが玄関の引き戸を開けると一久が出てきて言う。
「九郎君、待っていたよ。」「お邪魔します。」
九郎と玉枝は居間に通される。2人がソファに座ると一久が話し始める。
「日曜日にお祓いをすることになったよ。男性が霊に憑りつかれていると言ってきているんだ。」「霊がいるか見ればよいのですね。」
「ああ、お祓いできなかったら、玉枝さんに退治してほしい。」「任せてください。」
「今日は夕食を食べて行ってくれ。日本酒も神事の後だからたっぷりあるよ。」「それはいいですね。」
玉枝が嬉しそうにする。あやめがくぎを刺す。
「飲み過ぎはだめよ。」
夕食が始まり、一久は玉枝と楽しそうに飲む。九郎もご相伴に預かる。あやめが目を光らせていたがあやめも飲んでしまう。
一久は酔いつぶれ。九郎は自分用の部屋に泊まることになる。巫女神楽の練習の時、度々泊まることになり。あやめの隣の部屋が九郎のお泊り用の部屋になっていた。
翌朝、九郎はあやめに起こされる。
「九郎。起きないと大学に遅れるわよ。」「おはよう、あやめ。」
すでに朝食と弁当が用意されている。料理は、あやめと玉枝の合作である。
3人は家を出る。鳥居の所まで来ると玉枝が気配を小さくして見えなくなる。
九郎とあやめは、途中、九郎のアパートに寄って大学へ行く。
大学に入るとつよしと美琴が声をかけてくる。つよしが九郎に言う。
「昨日と同じ服か、また社本さんの家に泊まったのか。」「ああ、酒を飲みすぎたんだ。」
「いいよな、お父さんと仲良くて。」「つよしは、まだ内緒なの。」
「内緒で付き合っている。」
美琴の父親は手強そうである。講義が終わって4人は、ハイキング部の部室へ行く。部室には、部長と2人の先輩がいる。部長が九郎に聞く。
「どうだった、玉枝さんは参加してくれるのか。」「参加するそうです。」
「よし!がんばるぞー」
部長はガッツポーズをして言う。九郎は部長の恋が実らないのでかわいそうに思う。
「九郎ちゃん、怨霊との恋はないと思っているでしょ。」
玉枝が九郎の心を読んだように言う。
「これでも恋したこともあるのよ。」
「本当?」
九郎は思わず小声で言う。
「本当よ。だから、九郎ちゃんと恋愛することもできるわよ。」
玉枝の声はあやめにも聞こえている。
「なっ!」
あやめは思わず声を上げる。みんながあやめに注目する。
「な、なんでもありません。」
あやめはごまかす。
大学から帰る途中、あやめは小声で玉枝に言う。
「九郎を取らないでくださいよ。」「あやめちゃん、自信ないの。」
「玉枝さんと比べたら美人じゃないし、スタイルもかなわないもの。」「あやめちゃんは十分にきれいよ。そうよね九郎ちゃん。」
「うん、きれいだよ。僕はあやめ一筋だから。」「ありがとう。」
九郎とあやめは、スーパーまで来ると別れる。
日曜日の朝になる。九郎が起きると玉枝は朝食をテーブルにならべている。
はちみつをたっぷり塗った食パンにトマトとチーズのサラダである。
九郎は「いただきます」をして食べる。
玉枝は、ネグリジェ姿から巫女姿に変わっている。彼女はお祓いをやる気満々である。
九郎は着替えると、久沓神明社へ出かける。玉枝は鳥居の所まで来ると気配を大きくして見えるようになる。
あやめの家にインターフォンを鳴らすとあやめが出てくる。
「おはよう、九郎、玉枝さん。」「おはよう、あやめ。一久さんはどうしたの。」「今、着替えているわ。」
九郎と玉枝は居間に通される。しばらくすると一久が居間に来る。
「ごめんね、目覚ましが鳴らなかったんだ。」
九郎と玉枝はあやめを見る。あやめは顔をそむける。時間になると依頼者が拝殿にやってくる。
九郎と玉枝は一久について拝殿に行く。拝殿には若い男が2人いる一人はビデオを撮っている。
九郎は2人を見るが霊は見えない。一久が男2人に聞く。
「1人と聞いていましたがどちらがお祓いをしに来ましたか。」「私です。」
撮影をしていない男が言う。一久が九郎に聞く。
「どうですか。」「霊は見えません。」「分かりました。」
一久はお祓いを始める。玉枝は不機嫌そうに見ている。お祓いが終わると一久が言う。
「お祓いをしましたが、霊は憑りついていないですよ。」「ありがとうございます。」
玉枝が男の前に出て言う。
「あなた、嘘をつきましたね。」「何を言っているんですか。」
「最初から、霊に憑りつかれたなんて嘘でしょ。」「分かりますか。」
一久が言う。
「どうして、そんなことをしたのです。」「SNSで話題になっているんですよ。」
「どんな話題ですか。」「怨霊を退治したって話題ですよ。」
「そんなこともありましたが・・・」「本当か確かめに来ました。」
「それで嘘を・・・」「はい、本当のようですね。」
九郎が男に聞く。
「今日のことをネットに乗せるつもりですか。」「はい、生配信しています。」
玉枝が、怒って言う。
「すぐに立ち去りなさい。」「はい。」
2人の男は急に魂を抜かれたようになり、玉枝に従う。九郎は心配になり玉枝に言う。
「玉枝さん、何かしたの。」「言霊を使いました。」
「言霊?」「はい、簡単なことなら言うことを聞かせることが出来ます。」
「玉枝さん、助かったよ。ありがとう。」
一久が礼を言う。九郎が一久に言う。
「この神社、ネットで有名になってしまいますよ。」「参拝客が増えればいいけどね。」
九郎は有名になってお祓いが増えるのは嫌だった。
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