同棲しているけど彼女じゃない~怨霊は恋のキューピット

ぽとりひょん

文字の大きさ
上 下
54 / 175

54話 神社のバイト

しおりを挟む
 九郎が目覚めると玉枝が左腕につかまって寝ている。腕にはボリュームのある、柔らかい感触がある。九郎は慣れているのだが、玉枝の色香は強烈である。
 腕を引き抜こうとすると玉枝は力を入れる。
 「玉枝さん、起きているでしょ。」「もう少し一緒に寝ましょ。」
 「僕は十分に寝ました。」「なら、しましょうか。」
 「遠慮します。」「美女の誘いを断るなんて、九郎ちゃん贅沢ね。」
玉枝が人間なら九郎は泥沼にはまっていただろうが、彼女は怨霊である。九郎は怨霊とするのは人間としてだめだと思っているので玉枝の色香に抵抗出来ている。
 彼女は残念そうに起きて、料理を始める。九郎は、玉枝が料理を作ってくれることを感謝している。
 今朝は、フレンチトーストとオムレツを作ってくれる。九郎は「いただきます」をして朝食を食べると、着替える。玉枝はネグリジェ姿のままである。
 今日は日曜日で出かける予定はない。九郎は、本を読んで過ごす。玉枝は九郎のスマホを借りて流行の服や料理のレシピを見ている。
 すると一久から電話がかかってくる。玉枝がそのまま電話に出る。
 「翼です。」「ずいぶんきれいな声だね。九郎君に変わってくれないか。」
玉枝は九郎にスマホを渡す。
 「こんにちは、翼です。」「今日1時に来てくれないかな。バイトの話があるんだが。」
 「分かりました。神社のバイトですか。」「6月末に神事があって、九郎君と玉枝さんに手伝って欲しい。」
 「では、1時に行きます。」「待っているよ。」
九郎は昼食を済ませると玉枝と久沓神明社に向かう。鳥居をくぐると拝殿の右手にある屋敷に行く。
 インターフォンを鳴らすと鳴らすとあやめと一久が出てくる。
 「こんにちわ。」「こんにちわ、九郎、玉枝さん。」「九郎君、玉枝さん、いらっしゃい。」
九郎と玉枝は居間に通される。一久が2人に言う。
 「1時半から氏子が集まって神事の話し合いをする時に九郎君と玉枝さんを紹介しようと思っている。」
 「僕たち部外者ですよ。」「もう、氏子総代には話を通している。今日は顔見せをするつもりだよ。」
 「バイトの話ですよね。」「そうだよ。今日もバイト代を出すよ。」
 「何をするんですか。」「九郎君には氏子たちと準備の手伝いをしてもらう予定だ。」
 「玉枝さんは何をするんですか。」「巫女神楽をしてもらう。」
 「玉枝さんは怨霊ですよ。」「みんな知らないから大丈夫だよ。」
九郎は神事に怨霊が参加していいのかと思う。一久は九郎に続けて言う。
 「あやめも巫女神楽をするよ。」「参加させてください。」
九郎はあやめの巫女姿を見れるなら、些細ささいなことはおいておくことにする。
 1時半に近くなると一久はあやめと共に九郎と玉枝を拝殿の左側にある建物に連れていく。
 建物は集会所のようになっていて、氏子たちが集まっている。一久は、みんなに九郎と玉枝を紹介する。
 「彼が翼九郎君で、美人さんは姉の玉枝さんだ。」「よろしく、お願いします。」
 「社本さん、いい子を見つけたね。」「あやめちゃんのお婿さんかー」
 「まだ、そんな話はしていません。」
あやめが抗議する。九郎は一久が氏子たちに何と話したのか気になる。一久は続ける。
 「玉枝さんには巫女神楽をしてもらいます。」「社本さん、巫女さんをしてもらうのはいいが、神楽を神事までにできるようになるかね。」
 「玉枝さんなら大丈夫ですよ。」「任せてください。」
玉枝はやる気である。この後、神事の準備について話し合われる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」  ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。  蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。  これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。  一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!? 『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』 小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。 ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。 しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。 彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!? 過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。 *導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。 <表紙イラスト> 男女:わかめサロンパス様 背景:アート宇都宮様

処理中です...