同棲しているけど彼女じゃない~怨霊は恋のキューピット

ぽとりひょん

文字の大きさ
上 下
45 / 175

45話 玉枝のいる社本家の朝

しおりを挟む
 九郎は、あやめの家に部屋を借りて寝る。玉枝はネグリジェ姿で添い寝している。
 朝になり、朝食の用意が出来るとあやめが九郎を起こしに行く。あやめが部屋を開けると九郎に抱き着く玉枝のネグリジェ姿が見える。
 あやめは、玉枝の添い寝を聞いていたが見ると嫌な気持ちが湧き上がってくる。あやめは2人に言う。
 「2人とも何やっているんですか。」
九郎と玉枝は目を覚ます。九郎はあやめに気づきあたふたする。玉枝は落ち着いている。
 「おはよう。あやねちゃん。」「玉枝さんそんな恰好で何しているんです。」
 「添い寝よ。焼いてるのあやめちゃん。」「恰好を考えてください。」
 「あやめちゃん、交代。」「えっ、何。」
玉枝はあやめを九郎のいる布団に入れる。九郎は慌てる。
 「あやめ、ごめん。」「私・・・」
あやめは真っ赤になる。玉枝が九郎に言う。
 「今よ、あやめちゃんとするのよ。」「何言っているんですか。」
九郎の胸の中には玉枝に放り込まれたあやめがいる。あやめは赤い顔して上目遣いで見ている。九郎はあやめを抱きしめそうになる。
 しかし、いきなり抱きしめたら節操がなさすぎる。九郎は自制心を総動員して言う。
 「あやめのことは嫌じゃないけど、今はだめだよ。」「私、じゃ嫌。」
 「あやめが一番だけど流されるのは嫌だ。」「うん、わかった。」
あやめは顔を九郎の胸にうずめる。九郎は、「あやめかわいすぎる」を心の中で叫ぶ。
 そこに一久が九郎を呼びに来る。
 「九郎君、・・・あ、お邪魔しました。」
彼は邪魔してはいけないと去って行く。九郎は叫ぶ。
 「誤解です。」
彼の声は一久には届かない。九郎とあやめ、玉枝は台所へ行く。一久は妻のかえでに玉枝を紹介する。
 「こちらは、怨霊の玉枝さん、九郎君と一緒にいるそうだ。」「私は、あなたが女を連れ込んだと思いましたわ。」
 「そんなことしないよ。」「でもすごい美人ね。九郎君、大丈夫なの。」
 「怨霊ですから何もありません。」「昨夜は、玉枝さんが怨霊を退治してくれたんだ。」
 「私はかえでです。玉枝さんよろしく。」
かえでは玉枝が怨霊ということに動じてないようである。かえでは気づいたように言う。
 「玉枝さんの分を作らないと。」「私は怨霊なので朝食を食べなくても大丈夫です。」
 「そう、ならいいけど。」「はい。」
かえでは九郎に聞く。
 「九郎君、玉枝さん美人だから困らないの。やっぱり男の子だし。」「大丈夫です。わきまえていますから。」
あやめがかえでに言う
 「お母さん大丈夫よ。玉枝さんに添い寝と混浴までしてもらっているんだから。」「それはいけないわ。」
 「九郎は大丈夫よ。」「あやめ、負けているわよ。」
 「どうして。」「あなたも一泊旅行とかして、添い寝と混浴をしなさい。」
聞いていた九郎がぎょっとする。あやめとの添い寝と混浴は夢のような話である。だが、あやめの母親の発言となると話は別である。
 あやめが九郎を見る。九郎はごまかすように言う。
 「いつか旅行行けるといいね。」「ばか。」
あやめは目をそらす。九郎は朝食を食べるのに集中する。彼はこの恥ずかしい状態から逃げたかった。
 玉枝は朝食が終わると洗い物を手伝う。あやめは自分の部屋に入って行く。
 九郎と一久が残される。一久は九郎に言う。
 「九郎君、さっきは済まなかった。あやめとあんなに仲良くなっているとは知らなくて。」「誤解です。あれは玉枝さんのいたずらです。」
 「そうか、残念だな。」「残念ですか?」
 「私は、君とあやめの仲を応援しているんだよ。」「僕でよいのですか。」
 「君なら安心できるよ。」「ありがとうございます。」
 「九郎ちゃん、お父さんの許しが出たんだから、押し倒しちゃいなさい。」
洗い物を終えた玉枝が言う。一久は玉枝に言う。
 「玉枝さん、若い者をからかうのはほどほどにしてください。」「分かりましたわ。」
玉枝は答えると服を水色のフリルの付いたワンピースにする。あやめも部屋から出てくる。
 九郎とあやめ、玉枝の3人は大学へ出かける。玉枝があやめに言う。
 「あやめちゃん、私の添い寝を見てやきもち焼いたでしょ。」「むかついただけです。」
 「これからは、やり返せばいいのよ。」「それはまだ早いんじゃ・・・」
 「あやめちゃんには資格があるのよ。」「本気にしますよ。」
 「それでいいわ。」
玉枝は笑顔で答える。九郎は嫌な予感がする。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百物語 厄災

嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。 小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。

呪われた生贄王女は人質として隣国に追放されて、はじめての幸せを知る~男になりすましていたのに、隣国王子からの愛が止まらない?〜

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
アウローラ国の王女・ベッティーナは約十年間、小さな屋敷に閉じ込められていた。 呪われていると噂される彼女。実際、白魔法という精霊・天使を従えることのできる血が流れているはずが、彼女は黒魔法使いであり、悪霊・悪魔を従えていた。 そんな彼女に転機が訪れる。隣国・シルヴェリに生贄の人質として渡ることになったのだ。弟の身代わりであり男子になりすますよう命じられる、ベッティーナはこれを受ける。 作家になる夢があり、勉強の機会が増えると考えたためだ。 そして彼女は隣国の王子・リナルドの屋敷にて生活することとなる。彼は執事のフラヴィオと懇意にしており、男色疑惑があった。 やたらと好意的に接してくるリナルド王子。 彼に自分が女であることがばれないよう敬遠していた矢先、敷地内の書庫で悪霊による霊障沙汰が起こる。 精霊と違い、悪霊は人間から姿も見えない。そのため、霊障が起きた際は浄化魔法が施され問答無用で消されることが一般的だ。 しかし彼らが見えるベッティーナは、それを放っておけない。 霊障の解決を行おうと、使い魔・プルソンとともに乗り出す。 そんななかで、リナルド王子が協力を持ちかけてきて―― その後はやたらと好意的に接してくる。 はじめは疎ましいとしか思っていなかったベッティーナ。 しかし、やがて彼との関係が壮絶な過去により凍り付いたベッティーナの心を溶かしていく。 隣国の男色(?)王子と、呪われ王女が紡ぐロマンスファンタジー。

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

私は側妃なんかにはなりません!どうか王女様とお幸せに

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のキャリーヌは、婚約者で王太子のジェイデンから、婚約を解消して欲しいと告げられた。聞けば視察で来ていたディステル王国の王女、ラミアを好きになり、彼女と結婚したいとの事。 ラミアは非常に美しく、お色気むんむんの女性。ジェイデンが彼女の美しさの虜になっている事を薄々気が付いていたキャリーヌは、素直に婚約解消に応じた。 しかし、ジェイデンの要求はそれだけでは終わらなかったのだ。なんとキャリーヌに、自分の側妃になれと言い出したのだ。そもそも側妃は非常に問題のある制度だったことから、随分昔に廃止されていた。 もちろん、キャリーヌは側妃を拒否したのだが… そんなキャリーヌをジェイデンは権力を使い、地下牢に閉じ込めてしまう。薄暗い地下牢で、食べ物すら与えられないキャリーヌ。 “側妃になるくらいなら、この場で息絶えた方がマシだ” 死を覚悟したキャリーヌだったが、なぜか地下牢から出され、そのまま家族が見守る中馬車に乗せられた。 向かった先は、実の姉の嫁ぎ先、大国カリアン王国だった。 深い傷を負ったキャリーヌを、カリアン王国で待っていたのは… ※恋愛要素よりも、友情要素が強く出てしまった作品です。 他サイトでも同時投稿しています。 どうぞよろしくお願いしますm(__)m

処理中です...