上 下
29 / 175

29話 ハイキング部のシュラフ

しおりを挟む
 朝、九郎が起きると玉枝はすでに朝食をテーブルに並べている。はちみつを塗った食パンにスクランブルエッグ、サラダである。
 「おはよう。夢見は良かった?」「おはよう。覚えていないよ。」
九郎は「いただきます」をして食べ始める。玉枝が聞く。
 「キャンプはどんな服装で行くの。」「考えていなかったよ。」
 「休みに見に行きましょうよ。あやめちゃんを誘おうね。」「そうするよ。」
九郎は食べ終わると大学へ行くため着替える。玉枝も服を変える。
 今日は白のワイシャツにベージュのスリムパンツでネックレスをしている。
 インターフォンが鳴る。九郎がドアを開けるとあやめがいる。あやめは挨拶をすると本を取り出す。
 「借りた本面白かったわ。続き貸してくれる。」「いいよ。」
九郎は本を受け取ると次の本を貸す。
 「気に入ってくれてよかったよ。」「読みやすかったし、主人公が面白いわ。」
九郎はホッとする。玉枝が九郎に言う。
 「あやめちゃんを誘わないと。」
 「あやめ、キャンプに来ていく服、決めている?」「まだ決めていないわ。」
 「次の日曜日、キャンプの服を見に行かない。」「うん、行くわ。リュックサックも欲しいわ。」
 「じゃあ、日曜日迎えに行くよ。」「楽しみにしている。」
九郎とあやめは買い物の約束をするとアパートを出る。
 「九郎、キャンプ何買ったらいいかわかる。」「シュラフかな。」
 「あとは?」「部長に聞いてみようか。」
九郎とあやめは今日もハイキング部に行くことにする。
 大学に入るといつものようにつよしが声をかける。
 「おはよう、お二人さん。」「つよし、おはよう。」「おはよう。木村君。」
 「つよし、キャンプ何持っていくか決めているか。」「暗視スコープ。」
 「何に使うんだ。」「冗談だよ。」
九郎は不安になる。飢えたオオカミの群れの中であやめがいるのだのぞきをする輩がいないとは限らない。
 「私が付いているから大丈夫よ。」
玉枝は九郎の心を読んだように言う。
 講義後、九郎とあやめ、つよし、美琴の4人は部室に向かう。部室に入ると。部長と先輩2人がいる。九郎は部長に聞く。
 「キャンプには何をもっていけばよいですか。」「体だけで、必要なものは部室にあるが女子はシュラフを持って行った方がいいぞ。」
 「女子だけですか。」「男の寝たシュラフは使いたくないだろう。」
 「僕も持っていきます。」「遠慮はいらんぞ。」
 「あとは大丈夫ですか。」「マットがあるとよいかもしれんな。ごつごつしていては寝づらいだろ。」
 「そうですね。」「あとはこれを読んでおいてくれ。」
部長はキャンプのしおりを渡す。手書きでイラストも入っている力作である。部長はしおりをみんなに配って行く。
 九郎は部長について、この人は何をしているのかと心配になる。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...