同棲しているけど彼女じゃない~怨霊は恋のキューピット

ぽとりひょん

文字の大きさ
上 下
22 / 175

22話 あやめ

しおりを挟む
 九郎とあやめは極地のコーナーへ行く前に昼食を摂ることにする。九郎はレストランに入ろうとする。するとあやめが言う
 「お弁当、作ってきたの。」「本当、うれしいな。」
フードコートで弁当を食べることにする。あやめの弁当は卵焼きにから揚げ、アスパラのベーコン巻き、ミニトマトである。
 「おいしいよ。特にアスパラのベーコン巻きがいいな。」「喜んでもらってよかったわ」
 「私のお弁当とどちらがおいしいのかな。」
玉枝が九郎に言う。弁当を食べ終わると2人は極地コーナーに行く。こちらではペンギンが展示されている。
 「ペンギンかわいいな。」「うん、かわいいね。」
九郎はあやめの方がかわいいと思いながら言う。
 次にイルカの水槽にに行く。この上はイルカショーの会場になっており、ここはイルカの水中の動きが見えるようになっている。
 観覧用のベンチが並んでおり、2人は座る。九郎は2人の霊に気づいている。彼はまた襲ってこないかと緊張する。
 「あの霊たちは大丈夫よ。」
玉枝が九郎に言う。九郎が黙っているとあやめが体を傾けて九郎に体を預けてくる。九郎はドキッとする。
 「翼君、何考えているの。」「社本さんのこと。」
 「嘘ね。」「嘘はつけないか。霊が2人いるから気を取られていた。」
 「見えるって大変ね。」「さっきは、社本さんを助けることが出来たよ。」
 「それもそうね。」「そろそろイルカショーが始まるから行こうか。」「はい。」
九郎とあやめは上の階へ移動する。イルカショーの会場は家族連れで込んでいる。2人は通路で立ってショーを見る。
 ショーに見とれていると玉枝が言う
 「初めて見たわ、イルカすごいのね。」
ショーが終わると2人は売店に入る。あやめは家への土産を買う。あやめはハコフグのぬいぐるみを気に入る。
 しかし、値段が高いのであきらめる。代わりに2人はハコフグの小さなぬいぐるみの付いたキーホルダーをお揃いで買う。
 九郎とあやめは水族館を出ると外にある公園に行く。ここはに日曜日にかかわらず、人はまばらである。
 あやめが九郎に言う
 「説明してくるのね。」「するけど、驚かないでね。」「分かったわ。」
 「玉枝さん、お願い。」
玉枝は気配を少しだけ強くする。すると九郎の横に玉枝が姿を現す。
 あやめは突然現れた美しい女性に言葉を失う。九郎は玉枝を紹介する。
 「こちらは玉枝さん、いつも一緒にいるんだ。」「玉枝です。九郎ちゃんがお世話になっています。」
 「・・・」「社本さん大丈夫。」
 「ええ、玉枝さんは霊なの。」「私は怨霊です。」
 「怨霊!翼君、大丈夫なの。」「僕たちを助けてくれたのは玉枝さんだよ。」
 「青い炎は玉枝さんがやったの。」「燐火と言うそうだよ。それに料理を作っていたのは玉枝さんなんだ。」
 「本当に怨霊なの。こんなにきれいなのに。」「あやめちゃんいい子ね。」
 「九郎ちゃん、私が説明するわ。」「お願いするよ。」
 「私は、霊を見える人を探していたの。そして九郎ちゃんを見つけたの。」「どうして探していたのです。」
 「長年生きていると1人はさみしいのよ。それで九郎ちゃんと生活しているのよ。」「翼君とはどういう関係なんですか。」
 「同棲しているの、混浴して、添い寝しているわよ。」「なっ。」「玉枝さん!」
九郎は玉枝に説明を任せて失敗したと思う。九郎はあやめに言う。
 「何もやましいことしていなよ。」「混浴しているの。」
 「しているけど体洗ってもらっているだけだよ。」「添い寝してもらっているんでしょ。」
 「してくるんだよ。」「ふ~ん。」
あやめの目が吊り上がり、九郎を冷たい目で見る。九郎は終わったと思う。
 「あやめちゃん、大丈夫よ。あなたの九郎ちゃんとったりしないから。」「わ、私のじゃありません。」
 「九郎ちゃん、全然、手を出さないのよ。こんな美女が目の前にいるのに失礼じゃない。」「手を出さないのですか。」
あやめは九郎をじっと見る。
 「女性に興味がないというわけではないから。社本さんに興味あるし、変な意味ではないよ。かわいいなーとか・・・」
九郎は必死に言い訳をする。あやめが言う。
 「玉枝さんには名前で呼ぶのね。ずるいわ。」「え~と、社本さんのこと名前で呼べばいいの。」
 「あやめと呼んで。」「あやめ。」
あやめは九郎にハグして言う
 「九郎、もう一度。」「あやめ。」「はい。」
九郎の心臓はドキドキしている。あやめは反則級にかわいいと思う。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私を「ウザイ」と言った婚約者。ならば、婚約破棄しましょう。

夢草 蝶
恋愛
 子爵令嬢のエレインにはライという婚約者がいる。  しかし、ライからは疎んじられ、その取り巻きの少女たちからは嫌がらせを受ける日々。  心がすり減っていくエレインは、ある日思った。  ──もう、いいのではないでしょうか。  とうとう限界を迎えたエレインは、とある決心をする。

心の中にあなたはいない

ゆーぞー
恋愛
姉アリーのスペアとして誕生したアニー。姉に成り代われるようにと育てられるが、アリーは何もせずアニーに全て押し付けていた。アニーの功績は全てアリーの功績とされ、周囲の人間からアニーは役立たずと思われている。そんな中アリーは事故で亡くなり、アニーも命を落とす。しかしアニーは過去に戻ったため、家から逃げ出し別の人間として生きていくことを決意する。 一方アリーとアニーの死後に真実を知ったアリーの夫ブライアンも過去に戻りアニーに接触しようとするが・・・。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

子連れの界渡り

みき
恋愛
田辺 由紀(39) 〔旧姓 五ノ井〕 私には2才になる愛娘がいる。 夫と結婚して8年目にしてやっと授かり、12時間かけて産んだ可愛い我が子。 毎日クタクタになるまで家事と育児を一生懸命頑張ってきた。どんなに疲れていても我が子の笑顔が私を癒してくれていた。 この子がいればどんなことでも頑張れる・・・そう思ってしまったのがいけなかったのだろうか。 あの人の裏切りに気づくことができなかった。 本日、私は離婚届に判を押して家を出ます。 抱っこ紐の中には愛らしい寝顔の娘。 さぁ、娘のためにもしっかりしなきゃ! えっ!?・・・ここどこ? アパートの階段を下りた先は森の中でした。 この物語は子連れの元主婦が異世界へ行き、そこで子育てを頑張りつつ新たな出会いがあるお話です。 ☆作者から読者の方へ☆ この作品は私の初投稿作品です。至らぬ点が多々あるかと思いますが、最後まで温かく見守っていただけると幸いです。また、誤字脱字がございましたらご指摘くださいますようお願いいたします。

処理中です...