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11話 ハイキング部

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 午後に講義がないため、九郎とあやめはつよしと美琴に連れられてハイキング部を見学することにする。
 クラブ棟の2階の西端にハイキング部の部室がある。部室に入ると男子が3人のんびりと座っている。
 つよしが声をかける
 「部長、見学者を連れてきました。」
 「よくやった。そして、ハイキング部にようこそ。」
いかつい顔の筋肉質の体をした男子が部長らしい。
 九郎は質問する
 「ハイキング部は、何をするんですか。」
 「ハイキングに決まっているよ。そしてペンションに泊まって、キャンプファイヤーなどをして遊ぶクラブだ。」
 「普段は何をするんですか。」
 「部室でお茶会をする。つまり、お菓子を食べながら雑談するのだ。」
九郎はあやめに聞く
 「どうする。」「どうしましょ。」
ここで部長が話を始める
 「ハイキング部は今年から始まったんだ。去年までは第2ワンダーフォーゲル部だった。」
 「もう一つワンダーフォーゲル部があるのですか。」
 「あちらはアルプス縦走などして過酷だぞ。そこで第2ワンダーフォーゲル部を作ったのさ。」
 「ゆるい感じのワンダーフォーゲル部なら山ガールとか入ってくれると考えたんだがこの状態だった。」
部長は、テーブルの上に写真をぶちまける。そこには、いかつい山男が映っている。女子の姿はない。
 「そこで、今年はハイキング部にしたのだ。おかげでみこ君をはじめ3人の女子が入ってくれた。」
九郎は、世界中のワンダーフォーゲル部に謝れと思う。九郎とあやめは帰ろうとする。
 部長が泣きつく
 「そちらの彼女だけでも入ってくれないか。」
 「私は翼君と一緒でないと入りません。」
あやめの言葉に部長は言う
 「君もぜひ入ってくれ。参加は自由だ。男子部員は50人以上いるぞ。」
正直者が50人以上もいるとは、九郎は頭が痛くなる。部長は九郎に懇願する。つよしを見ると手を合わせている。
 九郎は言う
 「とりあえず名前だけですよ。」「だったら、私も名前書いてもいいですよ。」
あやめも入部することになる。九郎とあやめが席に座るとコーヒーとお菓子が出てくる。本当にゆるい部活のようだ。
 「楽しそうなところ見つけたね。私も参加したいわ。」
玉枝が興味ありげに言う。
 結局、2時間ほど雑談して過ごすことになる。そして昨年までは、きちんと訓練して山に挑んでいたことが判る。そのため2年生以上の先輩は5人しかいない。
 ほとんどが1年生のクラブで幽霊部員が多そうである。
 九郎とあやめは2人で帰宅する。
 「本当にハイキング部入ってよかったの。」
 「様子見で、雰囲気悪かったら出ないことにするよ。」
 「そうね、今はだらけているだけだわ。」
 「そうだね、ゆるいよね。」
 「うん、明日はお願いね。」
 「お祓いのこと。」
 「そうよ。」
 「ご期待にかなうようにするよ。」
2人はスーパーの前まで来ると分かれて帰って行く。九郎がスーパーに寄るので、あやめとはスーパーまで一緒することになっている。
 九郎はスーパーで買い物をすると下宿へ帰る。
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