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第38話 戻らずの森3

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 森に入った3人は中を進んでいく、下草は生えておらず意外に歩きやすいが昼なのに薄暗い。
 アシスタントが怯えたように
 「この森、変ですよ、さっきから鳥の鳴き声がしません。」
 「そうね、霊も全く見かけないわ。」
 「霊がいないとおかしいのですか。」
 「ええ、どこにでもいるものよ。」
沙也加は答える。
 沙也加は、空気中の水分を使って気配を探っている、周囲数百メートルに動くものがあれば感知できるはずであるが何もない。
 「何もないですね、毎年行方不明者が出ていればゴミか何か落ちていそうですが。」
たすくが言う。
 森の中は異常なほど何もない。
 半日、歩き回るが何も見つからない。
 3人は、森の中で夜を過ごすことになる。
 アシスタントは、怯え切っている
 「ここで夜を過ごすのですか。」
 「そうよ、ここには霊も何もいないから大丈夫よ。」
 「でも、気味か悪くて。」
 「仕事でしょ。」
沙也加が説得する。
 「そうでした、私の将来がかかっているのでした。」
 「何か約束してきたのですか。」
たすくが聞く
 「はい、何か情報を持ち帰れば昇進できるんです。」
沙也加は高額の報酬のために来た自分と同じだと思う。
 森の夜が更けていき、3人は眠る。
 沙也加は変化を感じ取る。
 急に空気中の水分が増加しているのだ。
 これは、沙也加が水を操るため感知できたものである。
 彼女は、たすくとアシスタントを起こし水の陣を張り、2人に声を出さないように指示する。
 あたりは濃い霧に包まれる、そして、祭りばやしがどこからか聞こえてくる。
 アシスタントが陣を出ようとする、それをたすくが止める。
 霧の中を何かが歩いて来る、霧の中から現れたそれは、異形のものであった。
 一つ目に耳まで裂けた口をしており、赤黒い肌をして裸に腰巻をしている姿は角があれば赤鬼である。
 それはあたりに探し物があるように見回す、しかし、水の陣の中にいる沙也加たちは見えない。
 それは、しばらくして立ち去って行く。
 沙也加は陣を張る続ける、夜明けまでまだ3時間近くある。
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