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第17話 見える人2

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 逢神たけると鈴鹿はカメラマンを連れて木村尚子の勤め先である建築会社の事務所へ行く。
 「お邪魔するよ。」
たけるは声をかけ事務所に入る。
 人の目にはどこにもありそうな会社の事務所である。
 社長と思われる男性と事務員の若い女性がいる。
 しかし、たけるのこの世ならざるものを見る目は2人の正体を暴く。
 「何か用ですか。」
事務員がいうが
 「鬼が人間のように働いているのか笑わせる。」
たけるは獲物を見つけた獣のような目で2人を見る。
 「何だ、お前たちはー」
社長と思われる男が怒鳴りながら近づいて来る。
 たけるの血が騒ぐ早く刀を出して、その刀に鬼の血を与えろと・・・
彼は心に呪われた鬼切りの刀の名をつぶやく
 「来い、羽左衛門ノ贄ノ夜叉」
虚空から護符に包まれた鞘に収まった刀が虚空から浮かびあがる。
 たけるが刀を手に取り、抜き祓うと、心の中が鬼への憎しみで満たされる。
 鈴鹿も虚空から大通連を抜き出す。
 男の体が近づくにつれだんだん膨れ上がっていく、そして着ている服は避け、こぶだらけの大きな体と共に角と牙を生やし正体を現す。
 事務員も鬼の正体を現す、やはりこぶだらけの大きな体をしている。
 たけるは右腕を振りかぶる鬼の懐に入り横一閃にする、鬼は腹の所で2つになる。
 鬼の傷は回復せず、傷口から干からびていく。
 鈴鹿はカウンターを踏み台にして飛び、鬼の左腕と首を同時に切り落とす。
 たけると鈴鹿は鬼を求めて会社内を探し作業場で働いている鬼を3匹見つける。
 人の姿をした鬼は刀を見ると正体を現す。
 1匹の鬼が鈴鹿に向かっていく、鈴鹿は鬼の懐に入ると下から切り上げ鬼を真っ二つに切り裂く。
 たけるは2匹の鬼を相手にする、鬼はたけるを叩き潰そうと右腕を振り下ろすが、腕を刀で切り落とされる。
 さらに彼はもう1匹の左足を切り動きを止める。
 たけるは腕を切り落とした鬼の後ろに回り込み首をはねる。
 残った鬼は腕を振り回し抵抗するが、両腕を切り飛ばし、首をはねる。
 会社には鬼は残っていなかった、残りは建築現場に出ているはずだ。
 たけるは鬼たちが戻ってくるのを待つことにする。
 たけるは呼吸を整え鬼へに憎しみを押さえようとする
 刀はまだ鬼狩りが終わっていないと抵抗する
 彼は気持ちを押さえ刀を鞘に収める。
 しかし鬼への憎しみは消えていない。
 彼は憎しみの沼から抜け出し憎しみを押さえる。
 鈴鹿が横に来る
 「憎しみコントロールできたね。」
 「なんとか、次は分からないよ。」
 「その時はいいよ、私は大丈夫だから。」
たけるは答えず、困った顔をする。
 1時間ほど待ち午後7時になる頃トラックとワゴンが1台ずつ入って来る。
 トラックから2人、ワゴンから6人降りてくる。
 8人はたけると鈴鹿の姿を見ると正体を現す
 鈴鹿が言う
 「私が5匹引き受けようか。」
 「大丈夫、4匹ずつやろう。」
 「承知。」
たけるは再び呪われた刀を呼ぶ
 「来い、羽左衛門ノ贄ノ夜叉」
虚空から護符に包まれた鞘に収まった刀が虚空から浮かびあがる。
 彼が刀を手に取り、抜き祓うと、心の中が鬼への憎しみで満たされる。
 彼は憎しみの力を高め、一番近い鬼に迫ると正面から切りつける、鬼は真っ二つに左右が分かれる、さらに手近な鬼の腹を横に切り裂く、鬼は腹から臓物を流し苦しむ。
 鬼は左手で横に振り、爪でたけるを切り裂こうとする、彼は姿勢を低くし避けるとそのまま鬼の懐に飛び込み下から切り上げる。
 縦に真っ二つに裂けた鬼は左右に分かれて倒れる、さらに彼は4匹目の鬼の後ろを取り首をはね落とす。

 鈴鹿は神速で移動し鬼が反応する前に首をはねる、さらに次の鬼も鈴鹿に反応できずに首をはねられる。
 3匹目の鬼は両腕で首をガードするが彼女は腹を一閃する、鬼は2つに分かれる。
 4匹目の鬼は向かって来るが鈴鹿にすれ違いざまに首をはねられる。
 鈴鹿は自分の分が終わるとたけるの戦いを見る。
 彼の戦いはいつもに増して鬼気迫るものがある。
 鈴鹿はたけるが刀に飲まれるのを覚悟する。

 たけるは鬼を殺し終えると、その目を鈴鹿に向ける、顔は鬼への憎しみに歪んでいる。
 彼は彼女に正面から切りかかる。
 鈴鹿は刀をかわし、すれ違いざまにたけるの刀の柄頭を大通連の柄頭で突き上げ、彼の刀をはね飛ばす。
 刀は彼の手から離れる。
 しかし、たけるは憎しみの沼の水底に沈んでいる、もがく力もない。
 刀は手放したが意識は刀に乗っ取られている。
 たけるは鈴鹿に近づき両手で彼女の首を締め上げる。
 彼女は抵抗しない、苦しみに耐えながら微笑んでいる。
 そして、彼女の呼吸は止まる。
 彼は意識を失い鈴鹿の上に倒れ込み動かなくなる。
 
 カメラマンはたけるが鈴鹿を殺したことに信じられない気持ちを残して、この光景に腰が引けている。
 すると鈴鹿が生き返る。
 彼女はたけるをいとおし気に抱きしめる。
 そして、たけるのために涙を流す。
 しばらくすると、たけるが目を覚ます、表情は普段の顔に戻っている。
 「すまない、鈴鹿。」
 「いいの、大丈夫だから。」
2人は抱きしめ合う。

 仕事が終わり、木村尚子は自宅に向かう。
 たけるには異形を見かけたらすぐ連絡してくださいと頼まれる。
 尚子は帰宅が遅くなり、夫と息子に謝らなければと思い玄関のドアを開ける。
 玄関には夫と息子が来ている。
 尚子の目には居るはずの夫と息子は異形であった。
 すぐ玄関から出ようとするが息子が
 「お母さん、どこ行くの。」
と尚子を捕まえ家の中に引きずり込む。
 その後、木村尚子からの連絡はない。
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