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11章 池の中から
1話 失恋
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濁池のある地区は、都市への通勤圏に入り、宅地化が進み、住宅がとなっている。
濁池は昔のままになっていたが、埋め立てて公園にする計画が立てられる。濁池の封印の件は忘れられて久しい。
重機が投入され濁池の周囲は様変わりする。さらに濁池の水をポンプで抜き用水に流し水位を下げる。
池にはまだ多量の泥が残っている。ショベルカーが池の土手を削り始める。そして、濁池を封印していた5か所の要石の1つが取り省かれる。
この時、ショベルカーは突然バランスを崩して池の泥の中に転落する。ショベルカーは作業員を乗せたまま泥の中に沈んでいく。
レスキューが作業員を探すが、作業員もショベルカーも発見できない。捜索は泥のため難航して進まず、1か月続けられるが作業員もショベルカーも発見できず捜索は打ち切られる。
市は、公園の計画の変更を迫られ、濁池を残す形で公園を作ることにする。池の周りには遊歩道が作られ、柵が設けられ池に近づけないようにされる。
計画から3年遅れて公園は完成する。公園は住宅街の中にあり、憩いの場になるはずだった。
しかし、完成当初から幽霊を見たなど怪異のうわさが広がり、心霊スポットとなる。
ついにはテレビ局が取材に来るようになり、市は事故の慰霊碑を建立してお祓いをする。
高校3年生の村上たくとと三浦音羽は、吹奏楽部に在籍しており、家が近いため、いつも一緒に登下校していた。
公園が出来てからは、濁池の遊歩道を通るのが登下校のコースとなっている。
たくとは、音羽と登下校する時間が楽しみである。彼は、彼女のことを好きであるがまだ告白はしていない。
ある日、2人が帰宅途中、濁池の遊歩道に差し掛かると音羽がたくとに言う。
「たくと、聞いて欲しいの。」「なにかな。」
「結城君のことなんだけど。たくと仲が良いでしょ。」「そうだけど。」
同じクラスの結城ひろやは、たくとと1年の時から同じクラスで仲が良い。当然、音羽も知っていることである。
「お願い。私、結城君が好きなの。協力して。」「そんなのできないよ。」
たくとは音羽の言葉にショックを受ける。
「どうして?」「僕は、音羽が好きなんだ。」
「私のこと好きなの。」「好きだよ。付き合って欲しい。」
「ごめんなさい。友達以上にはなれないわ。」「分かった。協力できなくて、ごめんね。」
たくとは落ち込む。音羽のことを考えると胸が痛い。その後も音羽はたくとと一緒に登下校してくれる。
たくとが告白して3週間後、音羽は結城ひろやと付き合うことになる。たくとは音羽に言う。
「登下校、一緒じゃなくてもいいよ。」「友達でしょ。」
「そうだけど。ひろやと付き合うんだろ。」「結城君と付き合うけど、たくととは友達だよ。」
「僕は今でも音羽が好きなんだ。諦められないよ。」「嫌ったりしないからね。」
たくとは、音羽に嫌われた方が諦めがつくと感じる。
それから、3か月後、たくとと音羽は一緒に帰宅すると音羽の様子がおかしい。たくとは音羽に聞く。
「音羽、何かあったの。」「結城君に振られたの。好きな子が出来たんだって。」
たくとは、ひろやに怒りを覚える。
「納得できるの。」「仕方ないよ。その子かわいいから。私たちふられたの者同士ね。」
「僕は、音羽のことまだ好きだよ。」「ごめんなさい。友達でいて欲しいの。」
たくとと音羽の距離が近づくことはなかった。
濁池は昔のままになっていたが、埋め立てて公園にする計画が立てられる。濁池の封印の件は忘れられて久しい。
重機が投入され濁池の周囲は様変わりする。さらに濁池の水をポンプで抜き用水に流し水位を下げる。
池にはまだ多量の泥が残っている。ショベルカーが池の土手を削り始める。そして、濁池を封印していた5か所の要石の1つが取り省かれる。
この時、ショベルカーは突然バランスを崩して池の泥の中に転落する。ショベルカーは作業員を乗せたまま泥の中に沈んでいく。
レスキューが作業員を探すが、作業員もショベルカーも発見できない。捜索は泥のため難航して進まず、1か月続けられるが作業員もショベルカーも発見できず捜索は打ち切られる。
市は、公園の計画の変更を迫られ、濁池を残す形で公園を作ることにする。池の周りには遊歩道が作られ、柵が設けられ池に近づけないようにされる。
計画から3年遅れて公園は完成する。公園は住宅街の中にあり、憩いの場になるはずだった。
しかし、完成当初から幽霊を見たなど怪異のうわさが広がり、心霊スポットとなる。
ついにはテレビ局が取材に来るようになり、市は事故の慰霊碑を建立してお祓いをする。
高校3年生の村上たくとと三浦音羽は、吹奏楽部に在籍しており、家が近いため、いつも一緒に登下校していた。
公園が出来てからは、濁池の遊歩道を通るのが登下校のコースとなっている。
たくとは、音羽と登下校する時間が楽しみである。彼は、彼女のことを好きであるがまだ告白はしていない。
ある日、2人が帰宅途中、濁池の遊歩道に差し掛かると音羽がたくとに言う。
「たくと、聞いて欲しいの。」「なにかな。」
「結城君のことなんだけど。たくと仲が良いでしょ。」「そうだけど。」
同じクラスの結城ひろやは、たくとと1年の時から同じクラスで仲が良い。当然、音羽も知っていることである。
「お願い。私、結城君が好きなの。協力して。」「そんなのできないよ。」
たくとは音羽の言葉にショックを受ける。
「どうして?」「僕は、音羽が好きなんだ。」
「私のこと好きなの。」「好きだよ。付き合って欲しい。」
「ごめんなさい。友達以上にはなれないわ。」「分かった。協力できなくて、ごめんね。」
たくとは落ち込む。音羽のことを考えると胸が痛い。その後も音羽はたくとと一緒に登下校してくれる。
たくとが告白して3週間後、音羽は結城ひろやと付き合うことになる。たくとは音羽に言う。
「登下校、一緒じゃなくてもいいよ。」「友達でしょ。」
「そうだけど。ひろやと付き合うんだろ。」「結城君と付き合うけど、たくととは友達だよ。」
「僕は今でも音羽が好きなんだ。諦められないよ。」「嫌ったりしないからね。」
たくとは、音羽に嫌われた方が諦めがつくと感じる。
それから、3か月後、たくとと音羽は一緒に帰宅すると音羽の様子がおかしい。たくとは音羽に聞く。
「音羽、何かあったの。」「結城君に振られたの。好きな子が出来たんだって。」
たくとは、ひろやに怒りを覚える。
「納得できるの。」「仕方ないよ。その子かわいいから。私たちふられたの者同士ね。」
「僕は、音羽のことまだ好きだよ。」「ごめんなさい。友達でいて欲しいの。」
たくとと音羽の距離が近づくことはなかった。
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