56 / 119
10章 管狐
2話 呪い
しおりを挟む
直之は辻家の者を集めて言う。
「辻電工の社長は、私の兄の辻直高です。会社の発展は管狐によるものでしょう。我々は一族のため管狐を取り戻さなくてはなりません。」
「あの行方をくらました直高が会社の社長をやっているのですか。」
「そうです。今頃、のこのこ出てきて、一族の恥です。」
「直高が管狐を持っているのは本当ですか。」
「まず、間違いありません。でなければ辻電工は大きくなっていないでしょう。」
「管狐が直高の元にいるなら、辻家に呼び戻せばいいのではないですか。」
「裏切り者を家長と仰ぐのですか。私には耐えられません。」
「直高が死ねば、管狐は直之の所に来るのではないか。」
「良い考えですね。しかし、あてはあるのですか。」
「殺し屋を雇うのか。ばれれば辻家は破滅だぞ。」
「呪いをかけてはいかがですか。」
「そのようなものに頼るのですか。」
「管狐の恩恵にあずかる我々が呪いを馬鹿にはできますまい。」
「私に呪い屋の当てがあります。直高を呪い殺してもらいましょう。」
直之のいとこが言う。直之は直高が死ねばすべてが手に入ると考える。
辻電工も管狐の力で手に入れようと考える。
「直高の件は任せる。金はいくらかかってもいい。辻家が関わっているとわからないように呪い殺してくれ。」
「分かりました。」
いとこは、以前、ライバル会社のプロジェクトを責任者を呪い殺すことでつぶしたことがある。今回も同じ呪い屋に仕事を依頼する。
五條琢磨は、数年前独立して名前が売れてきている呪い屋である。
いとこは、琢磨に言う。
「辻電工の社長辻直高を呪い殺してくれ。金はいくらでも出す。」
「分かりました。確実に仕留めて見せます。」
琢磨は依頼を引き受ける。
数日後、直高は体調がすぐれなくなる。管狐が直高に言う。
「主よ。呪いをかけられています。」
「そうか、辻家は私を殺すつもりか。呪いは防ぐことはできないのか。」
「私の力では無理です。五條美月に依頼してください。」
「誰だ、それは。」「呪い屋の実力者です。」
「分かった。いうとおりにしよう。」「五條の者に呪いをかけられていると言えば何とかなります。」
直高は、五條家に電話する。
「辻と申します。五條美月さんをお願いします。」「分かりました電話を代わります。」
しばらく待つと電話に美月が出る。
「五條美月です。どのような要件でしょうか。」「私は辻直高と言います。呪いをかけられています。助けてください。」
「依頼は受けかねます。あなたはご高齢でしょう。助けることは難しいです。」「私は五條の者に呪いをかけられています。何とかしてください。」
「分かりました。依頼料は高いですよ。」「お願いします。」
美月はすぐに琢磨に連絡を入れる。
「琢磨さん、対象に呪いをかけていることがばれていますよ。」「そんなはずはありません。」
「今、私に電話がありました。手を引いてください。」「分かりました。」
琢磨は自分がミスをした覚えはない。しかし、美月には逆らえない。琢磨は依頼者に失敗したことを伝える。
「対象を呪い殺すことに失敗しました。」「呪うことが出来なかったのですか。」
「いいえ、私が呪ったことがばれたようです。」「辻家のこともばれていますか。」
「それはありません。」「そうですか残念です。」
直之のいとこは辻家のことがばれなかったことが幸いだと受け取る。
美月は直高に連絡する。
「呪いの件はやめさせました。」「誰が呪いをかけたのですか。」
「教えることはできません。なぜ私に連絡したのですか。」「お答えすることはできません。」
「そうですか、お互い知らないことにしましょう。」「そうですね。」
直高は辻家の者が呪いを依頼したに違いないと考えているが証拠はない。
「辻電工の社長は、私の兄の辻直高です。会社の発展は管狐によるものでしょう。我々は一族のため管狐を取り戻さなくてはなりません。」
「あの行方をくらました直高が会社の社長をやっているのですか。」
「そうです。今頃、のこのこ出てきて、一族の恥です。」
「直高が管狐を持っているのは本当ですか。」
「まず、間違いありません。でなければ辻電工は大きくなっていないでしょう。」
「管狐が直高の元にいるなら、辻家に呼び戻せばいいのではないですか。」
「裏切り者を家長と仰ぐのですか。私には耐えられません。」
「直高が死ねば、管狐は直之の所に来るのではないか。」
「良い考えですね。しかし、あてはあるのですか。」
「殺し屋を雇うのか。ばれれば辻家は破滅だぞ。」
「呪いをかけてはいかがですか。」
「そのようなものに頼るのですか。」
「管狐の恩恵にあずかる我々が呪いを馬鹿にはできますまい。」
「私に呪い屋の当てがあります。直高を呪い殺してもらいましょう。」
直之のいとこが言う。直之は直高が死ねばすべてが手に入ると考える。
辻電工も管狐の力で手に入れようと考える。
「直高の件は任せる。金はいくらかかってもいい。辻家が関わっているとわからないように呪い殺してくれ。」
「分かりました。」
いとこは、以前、ライバル会社のプロジェクトを責任者を呪い殺すことでつぶしたことがある。今回も同じ呪い屋に仕事を依頼する。
五條琢磨は、数年前独立して名前が売れてきている呪い屋である。
いとこは、琢磨に言う。
「辻電工の社長辻直高を呪い殺してくれ。金はいくらでも出す。」
「分かりました。確実に仕留めて見せます。」
琢磨は依頼を引き受ける。
数日後、直高は体調がすぐれなくなる。管狐が直高に言う。
「主よ。呪いをかけられています。」
「そうか、辻家は私を殺すつもりか。呪いは防ぐことはできないのか。」
「私の力では無理です。五條美月に依頼してください。」
「誰だ、それは。」「呪い屋の実力者です。」
「分かった。いうとおりにしよう。」「五條の者に呪いをかけられていると言えば何とかなります。」
直高は、五條家に電話する。
「辻と申します。五條美月さんをお願いします。」「分かりました電話を代わります。」
しばらく待つと電話に美月が出る。
「五條美月です。どのような要件でしょうか。」「私は辻直高と言います。呪いをかけられています。助けてください。」
「依頼は受けかねます。あなたはご高齢でしょう。助けることは難しいです。」「私は五條の者に呪いをかけられています。何とかしてください。」
「分かりました。依頼料は高いですよ。」「お願いします。」
美月はすぐに琢磨に連絡を入れる。
「琢磨さん、対象に呪いをかけていることがばれていますよ。」「そんなはずはありません。」
「今、私に電話がありました。手を引いてください。」「分かりました。」
琢磨は自分がミスをした覚えはない。しかし、美月には逆らえない。琢磨は依頼者に失敗したことを伝える。
「対象を呪い殺すことに失敗しました。」「呪うことが出来なかったのですか。」
「いいえ、私が呪ったことがばれたようです。」「辻家のこともばれていますか。」
「それはありません。」「そうですか残念です。」
直之のいとこは辻家のことがばれなかったことが幸いだと受け取る。
美月は直高に連絡する。
「呪いの件はやめさせました。」「誰が呪いをかけたのですか。」
「教えることはできません。なぜ私に連絡したのですか。」「お答えすることはできません。」
「そうですか、お互い知らないことにしましょう。」「そうですね。」
直高は辻家の者が呪いを依頼したに違いないと考えているが証拠はない。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
終焉の教室
シロタカズキ
ホラー
30人の高校生が突如として閉じ込められた教室。
そこに響く無機質なアナウンス――「生き残りをかけたデスゲームを開始します」。
提示された“課題”をクリアしなければ、容赦なく“退場”となる。
最初の課題は「クラスメイトの中から裏切り者を見つけ出せ」。
しかし、誰もが疑心暗鬼に陥る中、タイムリミットが突如として加速。
そして、一人目の犠牲者が決まった――。
果たして、このデスゲームの真の目的は?
誰が裏切り者で、誰が生き残るのか?
友情と疑念、策略と裏切りが交錯する極限の心理戦が今、幕を開ける。

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる