上 下
47 / 119
8章 たまより様

3話 沼頭

しおりを挟む
 沙衣は樹に電話する。
 「たまより様の退治の依頼を受けました。」「そうですか、依頼が来ましたか。」
 「あれから、たまより様の情報はありますか。」「あれから1件あります。」
 「これまで、女の霊の被害があった場所を教えてください。」「わかりました。」
沙衣は、被害場所を調べて、たまより様の活動範囲を特定しようとする。
 樹は離れで美月に報告する。
 「先日のたまより様の件ですが、沙衣が依頼を受けました。」「依頼が来ましたか。」
 「はい、沙衣なら何とかするでしょう。」「そうですね。」
沙衣は、祐二と活動を開始する。沙衣が夜の街を歩いていると若い男が声をかけてくる。
 「君、何しているの。」「あなたに関係ないわ。」
 「俺と遊ばない。」「ごめんなさい、恋人と一緒なの。」
沙衣は、祐二の腕を引っ張る。
 「そんなさえない男、君にふさわしくないよ。」「あら、あなたよりましよ。」
男は、文句を言いながら去って行く。祐二が沙衣に言う。
 「僕、沙衣の恋人になったんだね。」「違うわよ。振りだけよ。」
 「そんな、そろそろ恋人に格上げしてよ。」「あなたは、ただの虫よけよ。」
祐二の期待はかなえられない。
 沙衣と祐二は夜の町を探し回るがナンパ男が寄って来るだけである。
 何日か過ぎていく、沙衣はナンパ男に辟易する。追っ払っても次からとわいてくるのである。
 そんな中、妙齢の女性を介抱する若い男性を見つける。祐二には女性が見えていないので男が何をやっているのかわからない。
 沙衣が声をかける
 「お姉ちゃん、こんなところのにいたんだんね。」
男は女性に聞く
 「妹さん。」「いいえ違います。」
男は沙衣に言う
 「違うって言っているけど、君は誰。」「警察に通報しますよ。姉を攫おうとしたって。」
 「俺はそんなことしてないよ。」
男は逃げていく。沙衣は女性に近づく。
 「たまより様の所まで連れて行ってもらうわよ。」「知らないわ。」
女の霊は逃げようとするが体が動かない。気がつくと首に水の輪が巻き付いている。
 「見逃してよ。」「たまより様はどこ。」
沙衣は手のひらをかざす。すると陽の光が出る。女の霊は慌てて言う
 「案内するからやめて。」「嘘ついたら分かるよね。」
沙衣は念を押す。
 女の霊は、山の中に沙衣たちを案内する。しばらく進むと沼に出る。女の霊が大声で言う
 「沼頭ぬまがしら出ておいで若い女がいるわよ。」「だましたわね。」
 「若い女は私の敵なのさ。」「消えなさい。」
水の首輪は女の霊の首を落とす。女の霊は霧散する。
 沼が波立ち始める。沙衣は水の刀と盾を作りだす。沼の中から何かが飛び出し沙衣の足に絡みつく。
 祐二は沙衣を倒れないように抱きかかえる。2人は沼の中に引きずり込まれる。そして、大きな口に飲み込まれる。
 沙衣は口の中を切りつける。傷口から口の中に多量の沼の水がはいってくる。沙衣は水の槍を作って口の中を刺す。
 沙衣と祐二は口の中から吐き出される。沙衣は、祐二を抱え沼の水をコントロールして水から飛び出す。
 沼頭が姿を現す。姿は巨大なカエルのようだが手足には鋭い爪がある。沼頭は鋭い爪で沙衣を引き裂こうとする。
 沼から水の槍を飛ばして沼頭に突き刺そうとするが体表面がぬめぬめしたいるため滑って刺さらない。
 沙衣と祐二は逃げ出す。沼頭は沼から離れて追ってくる。山の中に霧が発生する。沙衣は沼頭の体表面の水分を使って霧を発生させている。
 沼頭の体表面はからからに乾く。沙衣は水の刀を作って動きの弱った沼頭を切る。沼頭は鋭い爪を振るって抵抗する。
 沙衣は水の刀で沼頭の右腕を切り落とす。すると沼頭は沼へ逃げようとする。沙衣は沼頭を逃さない。背中に飛び乗り手中に水の刀を刺すとそのまま尻の方に向かって走り出す。
 傷口からは多量の血が噴き出る。沼頭は動きを止める。沙衣は言う。
 「ただ働きしちゃった。」「服ねばねばですよ。」
沙衣は服の水分をコントロールして乾かす。しかし生臭い匂いは取れない。
 「散々ね。」「今日はここまでにしましょうよ。」
 「そうねこれでは仕事にならないわ。」「そうですよ。」
2人は、ひどい目に遭ってこの夜の調査を終える。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

闇に蠢く

野村勇輔(ノムラユーリ)
ホラー
 関わると行方不明になると噂される喪服の女(少女)に関わってしまった相原奈央と相原響紀。  響紀は女の手にかかり、命を落とす。  さらに奈央も狙われて…… イラスト:ミコトカエ(@takoharamint)様 ※無断転載等不可

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ゴーストバスター幽野怜Ⅱ〜霊王討伐編〜

蜂峰 文助
ホラー
※注意! この作品は、『ゴーストバスター幽野怜』の続編です!! 『ゴーストバスター幽野怜』⤵︎ ︎ https://www.alphapolis.co.jp/novel/376506010/134920398 上記URLもしくは、上記タグ『ゴーストバスター幽野怜シリーズ』をクリックし、順番通り読んでいただくことをオススメします。 ――以下、今作あらすじ―― 『ボクと美永さんの二人で――霊王を一体倒します』 ゴーストバスターである幽野怜は、命の恩人である美永姫美を蘇生した条件としてそれを提示した。 条件達成の為、動き始める怜達だったが…… ゴーストバスター『六強』内の、蘇生に反発する二名がその条件達成を拒もうとする。 彼らの目的は――美永姫美の処分。 そして……遂に、『王』が動き出す―― 次の敵は『十丿霊王』の一体だ。 恩人の命を賭けた――『霊王』との闘いが始まる! 果たして……美永姫美の運命は? 『霊王討伐編』――開幕!

ロスト・ボーイ・メディア 【このCM探してください】

二階堂まりい
ホラー
ある夜に、私が見ていたネット上の匿名掲示板で起こっていたことの記録です。 過去ログが消失しているようなので、記憶を元に当時の私の感想も交えながらまとめました。 特定を避けるために固有名詞は極力出さないようにしております。 ご理解いただけると幸いです。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

処理中です...