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7章 麗姫
4話 沙衣、依頼を受ける
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今泉頼幸は、町長の家に帰る。
白井は、待ちわびたように頼幸を出迎える。
「今泉さんどうでしたか。」「麗姫は私のかなう相手ではありませんでした。」
「それではダメだったのですか。」「はい、負けました。」
「どうすればいいんだ。」「私に心当たりがあります。」
「誰ですか。」「中野沙衣です。お座敷様を退治した霊能者です。」
「その人には断られています。」「依頼料を渋りましたか。」
「いいえ、言い値を払うと言ったのですが。」「私が彼女を引きずり出しましょう。」
「どうするのですか。」「私に任さて下さい。代わりに紹介料をいただきます。」
頼幸は、ただでは起きない。
彼は、町長の家を出るとマスコミに囲まれる。
「どのような要件で町長の家に行ったのですか。」「私は、白井さんの苦境を助けるために来た陰陽師です。」
「麗姫は退治することが出来たのですか。」「いいえ、一歩及ばず、退治することはかないませんでした。」
「町長の孫娘さんはどうなるのですか。」「希望はあります。それを町長にお伝えしました。」
「希望とは何ですか。」「皆さんはお座敷様を覚えていますでしょうか。」
「3年位前に多くの人が死んだ化け物の事件ですね。」「はい、そうです。誰がお座敷様と退治しましたか。」
「女子高生の2人組です。」「その通りです。彼女らの1人は探偵事務所を立ち上げ、今でも払い屋をやっています。」
「そうですか、素晴らしい。彼女に名は何というのですか。」「中野沙衣です。今頃、町長が依頼しているでしょう。」
「町長の孫娘さんは助かるのですね。」「そう信じています。」
頼幸の話は、テレビで繰り返し放送される。
沙衣が講義を終え大学を出るとマスコミに囲まれる。
「中野さん、麗姫に勝てますか。」「何のことですか。」
「国枝町の町長から電話はありませんでしたか。」「ありません。」
沙衣は町長にはめられたと思う。
沙衣が事務所に行くとすでに祐二が事務所にいる。そして、ここでもマスコミが事務所を取り囲んでいる。
マスコミが沙衣に言う
「これから国枝町に向かうのですか。」「何のことですか。」
「依頼を受けられるんでしょうね。」「仕事がありますので通してください。」
沙衣は何とか事務所に入ると祐二が言う
「大変ですよ。テレビを見てください。」
テレビを見ると今泉頼幸が沙衣を名指しする映像が出ている。
沙衣はやられたと思い、テレビの今泉を睨む。しかし、どうにもならない。
沙衣が五條家に電話すると樹が出る。
「大変なことになりましたね。」「あの今泉と言う男はなんですか。」
「私の方で調べておきます。」「国枝町の町長の電話番号を教えてください。」
「分かりました。依頼を受けるのですね。」「しかたありません。」
沙衣は、町長の電話番号を聞き出すと町長に電話する。
「白井です。」「中野沙衣です。」
「お電話お待ちしていました。」「やってくれましたね。」
「今泉さんにお任せをしたのです。あのようになるとは思っていませんでした。」「依頼なさるのですか。」
「はい、お願いします。」「依頼料は1憶ですがいいのですか。」
「そんな法外な。」「では話はなかったことで。」
「それは困ります。もう少し安くなりませんか。」「なりません。払わなければ、あなたが依頼料を出し渋ったということになりますね。」
「分かりました、払いますからお願いします。」「賢明な判断だと思います。」
沙衣は明日に備えて早めに事務所を閉める。マスコミにはノーコメントを通す。
翌朝早く、沙衣と祐二はロードスターで事務所を出発する。
後には、マスコミらしい車が何台か付いてくる。
沙衣は祐二に言う
「うっとおしいわね。」「えっ、ぼくのこと?」
「違うわよ。車が数台ついて来ているわ。」「マスコミの車だね。」
「そうね。」「放っておけばいいよ。」
「どうして。」「どうせ、町長の家に行けば集まっているよ。」
沙衣は黙り込み、難しい顔になる。途中、サービスエリアに休憩で止まるとマスコミに囲まれる。
「今、国枝町に向かっている途中ですか。」
沙衣はノーコメントを通す。祐二にマイクが向けられる。
「あなたは中野さんの関係者ですか。」「恋人・・・候補です。」
「中野さんに好意を持っているのですね。」「彼女かわいいですから。」
「そうですね。美人ですね。」「その通りです。」
沙衣は、祐二を殴ると引きずって行く。食事をとりながら沙衣は祐二に言う。
「何、マスコミの相手をしているの。」「恋人アピールをちょっと・・・」
「馬鹿なことするとここで捨てていくわよ。」「はい、慎みます。」
祐二の気持ちは、沙衣に届かない。祐二は沙衣に聞く。
「麗姫て強いんじゃないの。」「分からないわ。」
「沙衣なら勝てると思うけど。」「ちゃんと信じなさい。」
「分かったよ。」「それでいいわ。」
2人は早めの昼食を食べるとサービスエリアを出発する。
昼過ぎ沙衣と祐二は、国枝町町長の家に着く。
マスコミが待っていたと言わんばかりに駆け付けてくる。
「麗姫に勝てますか。」「意気込みを一言。」
マイクを向けるマスコミを無視して家に入る。
現場の中継では、レポータが説明する。
「3年前、お座敷様を退治した女子高生が、大学生になって再び立ち上がりました。愛らしかった彼女は美しく成長しています。どのような力を秘めているのでしょうか。」
中継を見ていた美湖が言う
「沙衣、災難ね。」「私たちの所にマスコミが来ないことが幸いですね。」
美月が一歩間違えれば巻き込まれかねないと思いながら言う。
白井は、待ちわびたように頼幸を出迎える。
「今泉さんどうでしたか。」「麗姫は私のかなう相手ではありませんでした。」
「それではダメだったのですか。」「はい、負けました。」
「どうすればいいんだ。」「私に心当たりがあります。」
「誰ですか。」「中野沙衣です。お座敷様を退治した霊能者です。」
「その人には断られています。」「依頼料を渋りましたか。」
「いいえ、言い値を払うと言ったのですが。」「私が彼女を引きずり出しましょう。」
「どうするのですか。」「私に任さて下さい。代わりに紹介料をいただきます。」
頼幸は、ただでは起きない。
彼は、町長の家を出るとマスコミに囲まれる。
「どのような要件で町長の家に行ったのですか。」「私は、白井さんの苦境を助けるために来た陰陽師です。」
「麗姫は退治することが出来たのですか。」「いいえ、一歩及ばず、退治することはかないませんでした。」
「町長の孫娘さんはどうなるのですか。」「希望はあります。それを町長にお伝えしました。」
「希望とは何ですか。」「皆さんはお座敷様を覚えていますでしょうか。」
「3年位前に多くの人が死んだ化け物の事件ですね。」「はい、そうです。誰がお座敷様と退治しましたか。」
「女子高生の2人組です。」「その通りです。彼女らの1人は探偵事務所を立ち上げ、今でも払い屋をやっています。」
「そうですか、素晴らしい。彼女に名は何というのですか。」「中野沙衣です。今頃、町長が依頼しているでしょう。」
「町長の孫娘さんは助かるのですね。」「そう信じています。」
頼幸の話は、テレビで繰り返し放送される。
沙衣が講義を終え大学を出るとマスコミに囲まれる。
「中野さん、麗姫に勝てますか。」「何のことですか。」
「国枝町の町長から電話はありませんでしたか。」「ありません。」
沙衣は町長にはめられたと思う。
沙衣が事務所に行くとすでに祐二が事務所にいる。そして、ここでもマスコミが事務所を取り囲んでいる。
マスコミが沙衣に言う
「これから国枝町に向かうのですか。」「何のことですか。」
「依頼を受けられるんでしょうね。」「仕事がありますので通してください。」
沙衣は何とか事務所に入ると祐二が言う
「大変ですよ。テレビを見てください。」
テレビを見ると今泉頼幸が沙衣を名指しする映像が出ている。
沙衣はやられたと思い、テレビの今泉を睨む。しかし、どうにもならない。
沙衣が五條家に電話すると樹が出る。
「大変なことになりましたね。」「あの今泉と言う男はなんですか。」
「私の方で調べておきます。」「国枝町の町長の電話番号を教えてください。」
「分かりました。依頼を受けるのですね。」「しかたありません。」
沙衣は、町長の電話番号を聞き出すと町長に電話する。
「白井です。」「中野沙衣です。」
「お電話お待ちしていました。」「やってくれましたね。」
「今泉さんにお任せをしたのです。あのようになるとは思っていませんでした。」「依頼なさるのですか。」
「はい、お願いします。」「依頼料は1憶ですがいいのですか。」
「そんな法外な。」「では話はなかったことで。」
「それは困ります。もう少し安くなりませんか。」「なりません。払わなければ、あなたが依頼料を出し渋ったということになりますね。」
「分かりました、払いますからお願いします。」「賢明な判断だと思います。」
沙衣は明日に備えて早めに事務所を閉める。マスコミにはノーコメントを通す。
翌朝早く、沙衣と祐二はロードスターで事務所を出発する。
後には、マスコミらしい車が何台か付いてくる。
沙衣は祐二に言う
「うっとおしいわね。」「えっ、ぼくのこと?」
「違うわよ。車が数台ついて来ているわ。」「マスコミの車だね。」
「そうね。」「放っておけばいいよ。」
「どうして。」「どうせ、町長の家に行けば集まっているよ。」
沙衣は黙り込み、難しい顔になる。途中、サービスエリアに休憩で止まるとマスコミに囲まれる。
「今、国枝町に向かっている途中ですか。」
沙衣はノーコメントを通す。祐二にマイクが向けられる。
「あなたは中野さんの関係者ですか。」「恋人・・・候補です。」
「中野さんに好意を持っているのですね。」「彼女かわいいですから。」
「そうですね。美人ですね。」「その通りです。」
沙衣は、祐二を殴ると引きずって行く。食事をとりながら沙衣は祐二に言う。
「何、マスコミの相手をしているの。」「恋人アピールをちょっと・・・」
「馬鹿なことするとここで捨てていくわよ。」「はい、慎みます。」
祐二の気持ちは、沙衣に届かない。祐二は沙衣に聞く。
「麗姫て強いんじゃないの。」「分からないわ。」
「沙衣なら勝てると思うけど。」「ちゃんと信じなさい。」
「分かったよ。」「それでいいわ。」
2人は早めの昼食を食べるとサービスエリアを出発する。
昼過ぎ沙衣と祐二は、国枝町町長の家に着く。
マスコミが待っていたと言わんばかりに駆け付けてくる。
「麗姫に勝てますか。」「意気込みを一言。」
マイクを向けるマスコミを無視して家に入る。
現場の中継では、レポータが説明する。
「3年前、お座敷様を退治した女子高生が、大学生になって再び立ち上がりました。愛らしかった彼女は美しく成長しています。どのような力を秘めているのでしょうか。」
中継を見ていた美湖が言う
「沙衣、災難ね。」「私たちの所にマスコミが来ないことが幸いですね。」
美月が一歩間違えれば巻き込まれかねないと思いながら言う。
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