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4章 影から出(いづ)るもの
6話 和解
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沙衣は、みおに言う
「今から、おかげ様に会いに行きましょう。」
「どうするつもり。」
「話をして考えを変えてもらいます。」
「荒っぽい話し方をするのね。」
「はい、おかげ様次第です。」
沙衣が答えるとたくみが言う
「治めることが出来るのか。」
「はい、けが人も出しません。」
「分かった。俺がおかげ様の所へ案内しよう。」
たくみが申し出る。
たくみは、沙衣たちを連れて家を出る。
彼は見つからないように道を選んで進む。
すると神社の階段下に出る。
たくみは、皆に言う
「神社に黒川家がある。あとは任せるよ。」
たくみは、暗闇に消え帰って行く。
沙衣たち4人は、階段を上って行き、境内に入る。
拝殿は真っ暗であるが、拝殿の横にある屋敷には灯りがついている。
沙衣は黒川の水をコントロールして霧を発生させる。
霧は屋敷の中に入って行く。
沙衣は家の中に5人おり、1人は子供であることを探知する。
彼女は、3人を先導して屋敷に近づく。
玄関の引き戸に手をかけるとカギはかかっていない。
4人は引き戸を開けて玄関に入る。
玄関を閉めると人が来る
「誰だ。」
「お邪魔します。話をしに来ました。」
沙衣が答える。
家人は逃げ出す。
沙衣は水で両手両足を縛る。
彼女は家人たちの動きを把握している。
1人がスマホを手にする。
沙衣は、
「させないわよ。」
と言うと、その人物の両手両足を水で縛り拘束する。
沙衣は、残りの3人も拘束する。
彼女は、祐二と順二に言う
「みんな拘束したから居間に集めて。」
「僕たち強盗みたいですね。」
祐二が言うと沙衣は
「さっさとしなさい。」
と言う。
祐二は黙って従う。
祐二と順二は5人を居間に集める。
老夫婦と、中年の夫婦、10歳代の娘である。
老夫婦は怯え、10歳代の娘は涙目である。
沙衣は中年の女性に向かって言う
「あなたがおかげ様ね。」
女性はうつむき、代わりに中年の男性が言う
「俺たちを殺すつもりか。」
「話し合いに来たのです。」
「話し合いをする態度ではないな。」
「拘束を解くと土使いを呼ぶでしょ。」
「当たり前だ。お前たちは殺すことになっているからな。」
「私は、おかげ様のお言葉を変えてほしいのです。」
沙衣は言いながら水の刀を作り出す。
みおが言う
「誰も傷つけないのではないの。」
「そちらの態度次第です。」
沙衣は答えると続けて言う
「娘さんは、おかげ様の跡継ぎかしら。」
中年男性が顔色を変えて言う
「何をするつもりだ。娘に手を出したら許さないぞ。」
「おかげ様が考えを変えてくれないと困りますの。」
「どうせ村からは生きて出られないんだ。俺たちを解放しろ。」
「そんなこと言える立場ですか。私たちを殺すというのなら集落の人を皆殺しにするだけですよ。」
「土使いにかなわなかったろ。」
「殺すつもりがなかっただけですよ。」
「信じられるか。」
祐二が言う
「沙衣は本当にやりますよ。土使いは弱いからあてになりませんよ。」
中年男性の顔から汗が流れる。
中年女性が言う
「私が、おかげ様です。何をすればいいのですか。」
「祐二の影からもう1人の祐二を引っ張り出してもらいます。生きている人間からでもできるでしょ。」
「試してみますが、それが何になるの。」
「その様子を私たちがスマホで動画撮影します。」
「まさかネットに拡散するのですか。」
「いいえ、私たちの保険です。わかるでしょ。」
「私は、あなたたちを殺すことをやめればいいのですね。」
「今後、私たちに干渉しないこともよ。」
「私たちはどうなるのですか。」
「これまでと変わりませんよ。私たちは干渉しません。」
みおがうなずく。
おかげ様は言う
「分かりました言う通りにします。」
中年男性が言う
「信じていいのか。」
「こちらの方が良い解決方法よ。誰も死ななくて済むわ。」
おかげ様は答える。
おかげ様は、拝殿に沙衣たち4人を連れていく。
拝殿に明かりが灯される。
沙衣、みお、順二がスマホで撮影を開始する。
祐二は立ったままである。
おかげ様は、祐二の影に右手をつくと影から引っ張り出す。
影からはもう1人の祐二が出てくる。
沙衣とみおが見ると影から出てきた祐二は、モノクロ写真の様に色が無く見えている。
祐二が言う
「そっくりですね。」
もう1人の祐二が言う
「本当にそっくりですね。」
おかげ様が言う
「これでいいかしら。」
「はい、十分です。」
沙衣が答える。
みおが柏手を打つともう1人の祐二は消える。
祐二は、自分が消されたようで良い感じはしない。
拝殿に明かりが灯ったため、それを見つけた黒田家の土使いがやってくる。
こわもての男が言う
「おかげ様に何をしている。」
おかげ様が男に言う
「控えてください。この方たちと交渉が成立しました。」
「交渉ですか。」
「はい、お互い干渉しないということになりました。」
「おかげ様の秘密も守られるのですね。」
「その通りです。」
土使いたちの緊張が和らぐ。
沙衣たちは、黒川家に泊まることになる。
沙衣とみお、祐二と順二が同じ部屋に寝ることになる。
沙衣はみおに聞く
「これでよかったですか。」
「浅子のこともわかったし、これ以上どうこうするつもりはないわ。」
「この集落の人たちは、いつまでおかげ様に頼るつもりですかね。」
「分からないわ。ここの人たちが決めることだもの。」
沙衣は、おかげ様も龍神の巫女もいずれ消えていくものだと思う。
翌朝、沙衣たちは、集落の人々が見守る中、みおの車で集落を去る。
順二が言う
「生きて出られましたね。」
「これからも危険はあるわよ。続けられる。」
「退屈しないので良いのではないかと思います。」
順二の神経は意外に太かった。
「今から、おかげ様に会いに行きましょう。」
「どうするつもり。」
「話をして考えを変えてもらいます。」
「荒っぽい話し方をするのね。」
「はい、おかげ様次第です。」
沙衣が答えるとたくみが言う
「治めることが出来るのか。」
「はい、けが人も出しません。」
「分かった。俺がおかげ様の所へ案内しよう。」
たくみが申し出る。
たくみは、沙衣たちを連れて家を出る。
彼は見つからないように道を選んで進む。
すると神社の階段下に出る。
たくみは、皆に言う
「神社に黒川家がある。あとは任せるよ。」
たくみは、暗闇に消え帰って行く。
沙衣たち4人は、階段を上って行き、境内に入る。
拝殿は真っ暗であるが、拝殿の横にある屋敷には灯りがついている。
沙衣は黒川の水をコントロールして霧を発生させる。
霧は屋敷の中に入って行く。
沙衣は家の中に5人おり、1人は子供であることを探知する。
彼女は、3人を先導して屋敷に近づく。
玄関の引き戸に手をかけるとカギはかかっていない。
4人は引き戸を開けて玄関に入る。
玄関を閉めると人が来る
「誰だ。」
「お邪魔します。話をしに来ました。」
沙衣が答える。
家人は逃げ出す。
沙衣は水で両手両足を縛る。
彼女は家人たちの動きを把握している。
1人がスマホを手にする。
沙衣は、
「させないわよ。」
と言うと、その人物の両手両足を水で縛り拘束する。
沙衣は、残りの3人も拘束する。
彼女は、祐二と順二に言う
「みんな拘束したから居間に集めて。」
「僕たち強盗みたいですね。」
祐二が言うと沙衣は
「さっさとしなさい。」
と言う。
祐二は黙って従う。
祐二と順二は5人を居間に集める。
老夫婦と、中年の夫婦、10歳代の娘である。
老夫婦は怯え、10歳代の娘は涙目である。
沙衣は中年の女性に向かって言う
「あなたがおかげ様ね。」
女性はうつむき、代わりに中年の男性が言う
「俺たちを殺すつもりか。」
「話し合いに来たのです。」
「話し合いをする態度ではないな。」
「拘束を解くと土使いを呼ぶでしょ。」
「当たり前だ。お前たちは殺すことになっているからな。」
「私は、おかげ様のお言葉を変えてほしいのです。」
沙衣は言いながら水の刀を作り出す。
みおが言う
「誰も傷つけないのではないの。」
「そちらの態度次第です。」
沙衣は答えると続けて言う
「娘さんは、おかげ様の跡継ぎかしら。」
中年男性が顔色を変えて言う
「何をするつもりだ。娘に手を出したら許さないぞ。」
「おかげ様が考えを変えてくれないと困りますの。」
「どうせ村からは生きて出られないんだ。俺たちを解放しろ。」
「そんなこと言える立場ですか。私たちを殺すというのなら集落の人を皆殺しにするだけですよ。」
「土使いにかなわなかったろ。」
「殺すつもりがなかっただけですよ。」
「信じられるか。」
祐二が言う
「沙衣は本当にやりますよ。土使いは弱いからあてになりませんよ。」
中年男性の顔から汗が流れる。
中年女性が言う
「私が、おかげ様です。何をすればいいのですか。」
「祐二の影からもう1人の祐二を引っ張り出してもらいます。生きている人間からでもできるでしょ。」
「試してみますが、それが何になるの。」
「その様子を私たちがスマホで動画撮影します。」
「まさかネットに拡散するのですか。」
「いいえ、私たちの保険です。わかるでしょ。」
「私は、あなたたちを殺すことをやめればいいのですね。」
「今後、私たちに干渉しないこともよ。」
「私たちはどうなるのですか。」
「これまでと変わりませんよ。私たちは干渉しません。」
みおがうなずく。
おかげ様は言う
「分かりました言う通りにします。」
中年男性が言う
「信じていいのか。」
「こちらの方が良い解決方法よ。誰も死ななくて済むわ。」
おかげ様は答える。
おかげ様は、拝殿に沙衣たち4人を連れていく。
拝殿に明かりが灯される。
沙衣、みお、順二がスマホで撮影を開始する。
祐二は立ったままである。
おかげ様は、祐二の影に右手をつくと影から引っ張り出す。
影からはもう1人の祐二が出てくる。
沙衣とみおが見ると影から出てきた祐二は、モノクロ写真の様に色が無く見えている。
祐二が言う
「そっくりですね。」
もう1人の祐二が言う
「本当にそっくりですね。」
おかげ様が言う
「これでいいかしら。」
「はい、十分です。」
沙衣が答える。
みおが柏手を打つともう1人の祐二は消える。
祐二は、自分が消されたようで良い感じはしない。
拝殿に明かりが灯ったため、それを見つけた黒田家の土使いがやってくる。
こわもての男が言う
「おかげ様に何をしている。」
おかげ様が男に言う
「控えてください。この方たちと交渉が成立しました。」
「交渉ですか。」
「はい、お互い干渉しないということになりました。」
「おかげ様の秘密も守られるのですね。」
「その通りです。」
土使いたちの緊張が和らぐ。
沙衣たちは、黒川家に泊まることになる。
沙衣とみお、祐二と順二が同じ部屋に寝ることになる。
沙衣はみおに聞く
「これでよかったですか。」
「浅子のこともわかったし、これ以上どうこうするつもりはないわ。」
「この集落の人たちは、いつまでおかげ様に頼るつもりですかね。」
「分からないわ。ここの人たちが決めることだもの。」
沙衣は、おかげ様も龍神の巫女もいずれ消えていくものだと思う。
翌朝、沙衣たちは、集落の人々が見守る中、みおの車で集落を去る。
順二が言う
「生きて出られましたね。」
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