龍神の巫女の助手になる～大学生編～

3章 不老不死

2話 祐二いなくなる

　祐二は、沙衣に言う
　「やっと思いが通じたんだね。愛しているよ、沙衣。」
沙衣は、祐二を蹴り倒し、頭を足でグリグリしながら言う
　「説明したでしょ。分かった。」
　「はい、白です。」
沙衣は、スカートを抑え、赤くなる。
　祐二がおかしくなってハイなのも訳がある。
　次の仕事は古い民家に１泊の予定である。
　しかも、沙衣と祐二は恋人どおしと言う設定である。
　沙衣は、祐二に言う
　「あくまで振りだからね。」
　「でもぎくしゃくしてたら怪しまれるよ。」
　「そうね。でも変な事したら後で後悔させるわよ。」
　「僕は後悔しないよ。」
　「祐二、たちが悪いわよ。」
　「どこまで許されるのかな。キスはいいよね。」
　「ダメです。」
　「今時、キスくらいはするよ。」
　「分かった。口はだめだからね。」
　「一緒に風呂入るよね。」
　「入りません。」
　「最近の恋人は一緒に風呂に入るよ。」
　「祐二、どこから知識得ているの。」
　「沙衣、顔が怖いよ。」
祐二は、楽しみで仕方ない。
　「寝る部屋、別にするから。」
　「そんな、ちゃんと責任取るから。」
　「やましいことするつもりでしょ。」
　「何もしません。」
　「信じられません。」
沙衣は、態度を硬化させる。
　沙衣は、次の仕事で朝霧家に行き、お方様を退治するつもりである。
　お方様の目的は、若い女性である。
　そのため、祐二に危険が及ぶ可能性は低いと判断している。
　７月１０日は、大学の夏休みが始まる日である。
　祐二にとって、仕事ではあるが仮にも沙衣の恋人になるのである。
　夏休み最大のイベントと言って間違えない。

　７月１０日、沙衣と祐二は沙衣のマツダ・ロードスター赤色　令和２年式で幸田村へ向かう。
　２人が朝霧家に着くと祐二は速攻で車から降り、運転席に回り込む。
　そして、ドアを開けると車から降りる沙衣の手を取る。
　沙衣は、ここまでやるのかと思いながら祐二に従う。
　２人が車から降りると翔馬が出迎える。
　翔馬は２人に言う
　「当主の朝霧翔馬です。ようこそ。」
　「中野沙衣と・・・」
　「恋人の中井祐二です。」
　「そうですか、元気ですね。」
翔馬はにこやかに言う。
　沙衣は、朝霧家に着いてから異様な気配を感じている。
　２人は囲炉裏のある部屋に通される。
　祐二が沙衣はの腕を取り
　「本物の囲炉裏だよ。」
と指をさす。
　沙衣は、我慢しながら
　「そうね、本物だわ。」
と話を合わせる。
　この後、３人は家について話をする。
　この間、祐二は何かにつけて沙衣の手に触れようとする。
　沙衣は、ストレスをため込む。
　夕方になり風呂の時間になる。
　沙衣は、ここぞとばかりに言う
　「祐二、この前みたいにのぞかないでね。」
　「分かっているよ。」
祐二はめげない。
　翔馬が質問する
　「中井君は、風呂をのぞいたりするのですか。」
　「誤解ですよ。」
祐二はこのままではのぞき魔にされてしまうと焦る。
　夕食も２人は仲良く食べる。
　沙衣が翔馬に聞く
　「ご家族はどうしたのですか。」
　「みんな旅行に行っています。今、家には３人しかいません。」
　「私たちのためにすみません。」
　「気になさらずにくつろいでください。」
沙衣は、これで家族にも被害が及ぶ恐れがないことを確認する。
　寝る時間が来ると沙衣と祐二は別々の部屋で寝る。
　沙衣は、襲って来るなら夜ではないかと考えている。
　祐二は、沙衣にキスできなかってことを悔やんでいる。
　沙衣は、口でなければキスしていいと言ったのだ。
　だが、いざするとなると恥ずかしいのである。
　沙衣は、気配が動くのを感じ取る。
　彼女は、ミネラルウォーターのペットボトルの蓋を開ける。
　彼女は、風呂場と台所に水を用意している。
　後はお方様が現れるのを待つだけである。
　その頃、祐二は眠っている。
　そこには若い男がおり、祐二を見下ろしている。
　お方様は祐二の方に現れたのだ。
　彼は、祐二を見てただ寝ているだけだと判断する。
　彼は、祐二に家の外に出るように技をかけたが反応しなかった。
　そこで、祐二は精神統一などをして技を防いだと思ったが、祐二の様子を見てただ鈍いだけだと考える。
　お方様は、祐二を担いで開かずの倉へ行く。
　彼は、祐二を乱暴に床へ投げる。
　祐二は、やっと起きだす。
　お方様は祐二に言う
　「やっと目が覚めたか、しれ者め。」
　「うん、ここはー」
　「まだ寝ぼけているのか。」
お方様は祐二を蹴る
　「何するんですか。」
　「私の贄といちゃつきおって。」
　「沙衣は、僕の恋人です。」
　「あれは、わしの獲物だ。」
　「沙衣は、渡さないぞ。」
　「おまえはそこでじっとしておれ。」
お方様は祐二に手をかざす。
　これで、技を解除するまで祐二は動けない。
　しかし、祐二は右こぶしでお方様を殴る。
　お方様にとっては衝撃である。
　人間風情が、技が効かないどころか、殴ってきたのである。
　お方様は、怒り祐二を殴り続ける。
　しかし、殺しては意味がない。
　お方様は言う
　「女をお前の前で食ってやる。」
祐二は、やめろと言いたいが声が出ない。
　彼は動けなくなっている。
　沙衣は、部屋で気配を探っている。
　気配でお方様が何か動いたように感じるが沙衣の所には来ない。
　沙衣は一睡もすることもなく朝を迎える。
　その頃、祐二は倉の中で寝ている。
　お方様は、祐二の神経の図太さに苛立ちを感じる。
　沙衣は、囲炉裏のある部屋に朝食を食べに行く。
　すでに翔太は朝食の用意をしている。
　しかし、祐二の姿が見えない。
翔太が沙衣に言う
　「中井君は、まだ見ていませんよ。」
　「まだ寝ているのですね。」
沙衣は、祐二の部屋に行く。
　しかし、祐二はおらず、布団は冷たい。
　沙衣は、お方様にやられたと思う。