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2章 鏡界
2話 沙衣、探偵の仕事をする
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会社員の赤城宗一は、商談の待ち合わせに時間があったので、たまたま通りかかったリサイクルショップにたちよる。
特に今欲しい物があるわけではない。
家電のコーナーを見た後、家具のコーナーを回る。
そして、姿見に目が行く。
姿見は、鏡の枠に繊細な彫刻がされている。
値段を見ると5万円である。
宗一は、姿見が気になるが5万円は高いと思う。
そして、商談の待ち合わせ時間が迫ってきたので店を後にする。
彼は、仕事が終わり、帰宅すると姿見のことを思い出す。
ボーッと考えていると妻の静子が宗一に話しかける
「なに、ボーッとしているの。」
「仕事の合間にリサイクルショップに寄ったんだけど、良い姿見を見つけたんだ。」
「姿見、玄関にあるでしょ。」
「でも、気になるんだよなー」
「余計なもの買って来ないでよ。」
「分かったよ。」
宗一は、姿見を諦める。
赤城夫婦は一戸建て住宅に住み、まだ子供はいない。
宗一は、将来、子供部屋にする部屋を書斎に使っている。
数日後、宗一は、商談を成立させ、会社の同僚と飲みに行く。
彼は飲みながら仕事の話をしていたが姿見のことを思い出し
「今回の商談の時、姿見を見つけたんだ。」
「姿見?、そんなものどうするんだ。」
「なぜか、気に入ってしまってなー」
「買えばいいだろ。」
「それが妻に反対されてしまったんだ。」
「今回の仕事成功のご褒美にすればいいだろ。」
「うん、そうだな。」
「買ってしまえー」
「買うぞー」
宗一たちは、変なところで盛り上がる。
彼は帰宅すると静子に
「姿見買うぞ。」
と言う。
静子は宗一が酔っ払っているとみて
「はい、はい、どうぞ。」
と適当に返事をする。
翌日は休日である。
宗一は静子に言う
「姿見買いに行こう。」
「まだ言っているの。」
「昨日、どうぞと言ったろ。」
「そんなに欲しいのなら買ってきたら。」
宗一はムッとして1人で車を運転してリサイクルショップに行く。
家具のコーナーに行くとお目当ての姿見は、まだ売れずにある。
彼は迷わず姿見を買って行く。
自宅に帰り、姿見を運び込んでいると静子が言う
「素敵な鏡ね。」
「そうだろ。」
「でも家の玄関に合わないから、自分の部屋においてね。」
「使わないのかい。」
「私には安っぽい姿見が合っているのよ。」
「そうかい、君も気に入ると思ったんだけど。」
宗一は、姿見を書斎に置くことにする。
その日の夕方、宗一は夕食に書斎から出てこない。
静子は宗一が機嫌を悪くして出てこないと思う。
そして、その晩は寝室にも来ない。
静子は翌朝、朝食を作るが宗一は出てこない。
彼女は
「いい加減にして。」
と思いながら書斎のドアを開ける。
書斎には宗一の姿はない。
静子は外に出て車を確認するが車庫に車はある。
彼女は宗一はすでに会社に出かけたのではと考える。
しかし、宗一が会社に持っていくかばんはある。
次に靴を調べるが宗一が普段履く靴はなくなっていない。
家のどこかに隠れているのではと家の中を探すが見つからない。
静子は失踪と言う言葉が頭に浮かぶ。
彼女は、最近の宗一の写真をスマホからプリンターでプリントして警察署へ行く。
彼女は事情を話し、宗一の写真を提出する。
彼女は警察官が総出で宗一を探してくれるのかと期待したがそうではないらしい。
警察には何人か来客がいて忙しそうである。
この状態で探してもらえるのか不安になる。
静子は、探偵を雇うことを考える。
しかし、どんな探偵を選べばよいのかわからない。
彼女は家に近い探偵を探すことにする。
スマホで検索すると隣町の朝宮町に中野沙衣探偵事務所があることが判る。
その探偵事務所は、ネットに広告は上げていない。
掲示板の書き込みに除霊してもらったことが書きこまれている。
中野沙衣探偵事務所について検索すると除霊や悪霊退治の書き込みが出てくる。
場所は朝宮駅の近くで、事務所は夕方から夜にかけて2時間くらい営業しているらしい。
静子は、心配になってくるが朝倉町からはすぐそこなので行ってみることにする。
彼女は、夕方、中野沙衣探偵事務所に行く。
事務所には人影があり、開いているようである。
静子が事務所に入ると祐二が応対する
「どうかされましたか。」
「あの、あなた探偵ですか。」
静子はどう見ても高校生にしか見えない祐二に言う
「僕は、助手です。」
「高校生が助手をしているのですか。」
「僕、大学生です。」
「失礼しました。」
沙衣が奥から出てくる
「どのような要件でしょうか。」
彼女も高校生くらいにしか見えない
「助手の方でなくて探偵と話したいのですが。」
「私が所長の中野沙衣です。」
静子の不安は的中する。
どう見ても、良くて大学生である。
「あの、本当に探偵なのですか。」
「はい、依頼はすべて解決しています。」
沙衣は、すべて霊がらみの案件とは言わない。
「あの、夫が失踪したのですが探せますか。」
「いなくなった時のことを話してください。」
沙衣が言うと祐二が
「座って話してもらったら。」
とソファを勧める。
静子はソファに座ると話し始める
「夫の宗一は、姿見を買ってきたんです。そして口喧嘩のようなことになって夫は書斎に引きこもりました。」
「それがいなくなったのですか。」
「夫は夕食に出てきませんでした。朝食にも出てこなかったので部屋を見るといなくなっていたのです。」
「分かりました。ご主人の写真はありますか。」
「はい。」
「それから、親しい友人を教えてください。」
「分かりました。」
沙衣は探偵らしい仕事に力が入る。
彼女は静子から家からなくなっている物はないか、車は使われていないかなど詳細に聞く。
沙衣は、静子の依頼を引き受ける。
静子が帰った後、祐二が心配して聞く
「沙衣、探偵の仕事したことあるの。」
「初めてよ。」
「大丈夫。」
「除霊のように危険はないわよ。」
「変な事件に巻き込まれたらどうするの。」
「何とかするわ。」
沙衣は言い切る。
祐二は、沙衣の自信がどこから来るのか理解できず不安になる。
沙衣は、翌日から捜索を開始する。
まず、仕事場の仲の良い同僚に会う。
沙衣は、同僚に探偵であることを告げると質問を始める
「宗一さんはいつから仕事に来なくなりましたか。」
「商談の成功祝いに飲みに行って、それから会社に来ていません。」
「その時何か言っていましたか。」
「そういえば、姿見の話をしました。」
「宗一さんは奥さん以外の女と付き合いがありましたか。」
「ないと思います。あいつはそんなに器用ではありません。それより俺と飲みに行きませんか。」
「良い情報があるなら付き合いますよ。」
「残念、ありません。」
同僚は残念がる。
沙衣は、静子から聞いた関係者から聞き込んでいくが情報は得られない。
特に今欲しい物があるわけではない。
家電のコーナーを見た後、家具のコーナーを回る。
そして、姿見に目が行く。
姿見は、鏡の枠に繊細な彫刻がされている。
値段を見ると5万円である。
宗一は、姿見が気になるが5万円は高いと思う。
そして、商談の待ち合わせ時間が迫ってきたので店を後にする。
彼は、仕事が終わり、帰宅すると姿見のことを思い出す。
ボーッと考えていると妻の静子が宗一に話しかける
「なに、ボーッとしているの。」
「仕事の合間にリサイクルショップに寄ったんだけど、良い姿見を見つけたんだ。」
「姿見、玄関にあるでしょ。」
「でも、気になるんだよなー」
「余計なもの買って来ないでよ。」
「分かったよ。」
宗一は、姿見を諦める。
赤城夫婦は一戸建て住宅に住み、まだ子供はいない。
宗一は、将来、子供部屋にする部屋を書斎に使っている。
数日後、宗一は、商談を成立させ、会社の同僚と飲みに行く。
彼は飲みながら仕事の話をしていたが姿見のことを思い出し
「今回の商談の時、姿見を見つけたんだ。」
「姿見?、そんなものどうするんだ。」
「なぜか、気に入ってしまってなー」
「買えばいいだろ。」
「それが妻に反対されてしまったんだ。」
「今回の仕事成功のご褒美にすればいいだろ。」
「うん、そうだな。」
「買ってしまえー」
「買うぞー」
宗一たちは、変なところで盛り上がる。
彼は帰宅すると静子に
「姿見買うぞ。」
と言う。
静子は宗一が酔っ払っているとみて
「はい、はい、どうぞ。」
と適当に返事をする。
翌日は休日である。
宗一は静子に言う
「姿見買いに行こう。」
「まだ言っているの。」
「昨日、どうぞと言ったろ。」
「そんなに欲しいのなら買ってきたら。」
宗一はムッとして1人で車を運転してリサイクルショップに行く。
家具のコーナーに行くとお目当ての姿見は、まだ売れずにある。
彼は迷わず姿見を買って行く。
自宅に帰り、姿見を運び込んでいると静子が言う
「素敵な鏡ね。」
「そうだろ。」
「でも家の玄関に合わないから、自分の部屋においてね。」
「使わないのかい。」
「私には安っぽい姿見が合っているのよ。」
「そうかい、君も気に入ると思ったんだけど。」
宗一は、姿見を書斎に置くことにする。
その日の夕方、宗一は夕食に書斎から出てこない。
静子は宗一が機嫌を悪くして出てこないと思う。
そして、その晩は寝室にも来ない。
静子は翌朝、朝食を作るが宗一は出てこない。
彼女は
「いい加減にして。」
と思いながら書斎のドアを開ける。
書斎には宗一の姿はない。
静子は外に出て車を確認するが車庫に車はある。
彼女は宗一はすでに会社に出かけたのではと考える。
しかし、宗一が会社に持っていくかばんはある。
次に靴を調べるが宗一が普段履く靴はなくなっていない。
家のどこかに隠れているのではと家の中を探すが見つからない。
静子は失踪と言う言葉が頭に浮かぶ。
彼女は、最近の宗一の写真をスマホからプリンターでプリントして警察署へ行く。
彼女は事情を話し、宗一の写真を提出する。
彼女は警察官が総出で宗一を探してくれるのかと期待したがそうではないらしい。
警察には何人か来客がいて忙しそうである。
この状態で探してもらえるのか不安になる。
静子は、探偵を雇うことを考える。
しかし、どんな探偵を選べばよいのかわからない。
彼女は家に近い探偵を探すことにする。
スマホで検索すると隣町の朝宮町に中野沙衣探偵事務所があることが判る。
その探偵事務所は、ネットに広告は上げていない。
掲示板の書き込みに除霊してもらったことが書きこまれている。
中野沙衣探偵事務所について検索すると除霊や悪霊退治の書き込みが出てくる。
場所は朝宮駅の近くで、事務所は夕方から夜にかけて2時間くらい営業しているらしい。
静子は、心配になってくるが朝倉町からはすぐそこなので行ってみることにする。
彼女は、夕方、中野沙衣探偵事務所に行く。
事務所には人影があり、開いているようである。
静子が事務所に入ると祐二が応対する
「どうかされましたか。」
「あの、あなた探偵ですか。」
静子はどう見ても高校生にしか見えない祐二に言う
「僕は、助手です。」
「高校生が助手をしているのですか。」
「僕、大学生です。」
「失礼しました。」
沙衣が奥から出てくる
「どのような要件でしょうか。」
彼女も高校生くらいにしか見えない
「助手の方でなくて探偵と話したいのですが。」
「私が所長の中野沙衣です。」
静子の不安は的中する。
どう見ても、良くて大学生である。
「あの、本当に探偵なのですか。」
「はい、依頼はすべて解決しています。」
沙衣は、すべて霊がらみの案件とは言わない。
「あの、夫が失踪したのですが探せますか。」
「いなくなった時のことを話してください。」
沙衣が言うと祐二が
「座って話してもらったら。」
とソファを勧める。
静子はソファに座ると話し始める
「夫の宗一は、姿見を買ってきたんです。そして口喧嘩のようなことになって夫は書斎に引きこもりました。」
「それがいなくなったのですか。」
「夫は夕食に出てきませんでした。朝食にも出てこなかったので部屋を見るといなくなっていたのです。」
「分かりました。ご主人の写真はありますか。」
「はい。」
「それから、親しい友人を教えてください。」
「分かりました。」
沙衣は探偵らしい仕事に力が入る。
彼女は静子から家からなくなっている物はないか、車は使われていないかなど詳細に聞く。
沙衣は、静子の依頼を引き受ける。
静子が帰った後、祐二が心配して聞く
「沙衣、探偵の仕事したことあるの。」
「初めてよ。」
「大丈夫。」
「除霊のように危険はないわよ。」
「変な事件に巻き込まれたらどうするの。」
「何とかするわ。」
沙衣は言い切る。
祐二は、沙衣の自信がどこから来るのか理解できず不安になる。
沙衣は、翌日から捜索を開始する。
まず、仕事場の仲の良い同僚に会う。
沙衣は、同僚に探偵であることを告げると質問を始める
「宗一さんはいつから仕事に来なくなりましたか。」
「商談の成功祝いに飲みに行って、それから会社に来ていません。」
「その時何か言っていましたか。」
「そういえば、姿見の話をしました。」
「宗一さんは奥さん以外の女と付き合いがありましたか。」
「ないと思います。あいつはそんなに器用ではありません。それより俺と飲みに行きませんか。」
「良い情報があるなら付き合いますよ。」
「残念、ありません。」
同僚は残念がる。
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