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14章 囚われの菊姫

11話 帝の裁き

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 俺たち3人は、国府の門を通り、大通りの突き当りにある城の外門に着く。
 俺は門兵に言う
 「熊野つなである。帝の勅命を果たしてきた。」
門兵は一緒に馬に乗っている菊に気づくと大声で言う
 「開門。」
木製の両扉がゆっくりと開く。
 中に入り100メートルほど進むと馬を降りて中門に入る。
 中門の中には、兵がいて
 「鬼柳の首は取れましたか。」
と尋ねる。
 俺は残鬼の首を取り出して言う
 「鬼柳の配下の首を取りました。」
 「お使いください。」
兵は首桶を渡してくれる。
 兵は俺たちを中庭へ案内する。
 俺と清音は中庭の中央に来ると片膝をつく。
 菊は立ったままにしている。
 貴族たちが中庭に集まり始め、首桶を見ると
 「鬼柳を討ち取ったのか。」
 「さすがはつな殿と清音殿じゃ。」
とうわさを始める。
 帝が来ると静かになる。
 俺は帝に
 「菊姫、救出の勅命果たしました。」
 「それは、当然のことです。首桶の中身は鬼柳ですか。」
 「いいえ、配下の残鬼という者です。」
 「それでは功をなしたとは言えませんね。処罰を言い渡します。」
 「お待ちください。」
菊が帝に口をはさむ
 「何ですか。温情はかけませんよ。」
 「2人には功があります。」
 「鬼柳を取り逃がして功があると言えますか。」
 「洞戸村で待ち構えていたのは、残鬼です。鬼柳はいませんでした。」
 「そうですか。」
 「それに3匹の黒鬼を討伐しています。」
 「ほう、城で1匹退治しましたね。」
 「他に扶桑と大治で退治しています。」
 「2人で退治したのですか。」
 「そうです。」
帝は菊の発言に考え込むと俺に聞く
 「残鬼は手強かったですか。」
 「はい、私と清音より強かったです。」
 「よく勝てましたね。」
 「残鬼は、私たちを侮っていたのです。」
 「分かりました。首をあらためます。」
俺は首桶から残鬼の首を取り出して掲げる。
 さらに帝は俺に聞く
 「他に言うことはありますか。」
 「氏原殿の書簡と黒鬼の角を預かっています。」
俺は書簡と2本の角を差し出す。
 帝の後ろに控えていた正虎と勝時が受け取り、書簡を帝に渡す。
 帝は書簡を読むと俺と清音に言う
 「菊姫を攫われた罪は大きいが、4つの功をなしたと認める。よって、つなと清音の罪は問わないことにする。」
 「ありがとうございます。」
俺と清音は安堵する。
 「つな、黒鬼の角が6本あるがどうする。」
 「刀に仕立てて、弥次郎、千代音、達郎、美代、正虎殿、勝時殿にお与えください。」
 「2人に与えた黒鬼の刀は役に立ちましたか。」
 「はい、黒鬼も切ることが出来ます。最高の刀になるでしょう。」
 「分かりましたそのようにしましょう。」
 「はい。」
俺たちは部屋に戻る。
 菊は俺と清音に言う
 「危なかったわね。」
 「菊が助けてくれなければどうなっていましたか。」
 「貴族の地位はなくなるわ。官位も全部なくなっていたかもしれないわ。」
 「そうですか。」
 「危機感がないわな。」
 「少し前まで官位ありませんでしたから。」
 「私と別れてもよいの。」
 「よくありません。」
清音が俺と菊に聞く
 「黒い牛鬼の角で作ったかわせみ丸とうぐいす丸はどうするの。」
 「今は、黒揮と黒曜があるから使えないよな。」
 「私が預かります。ふさわしい者が現れれば渡しますがよいですか。」
 「お願いします。」
俺たちは城に数日泊まることになる。
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