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12章 宗七の働き

7話 達郎の贈り物

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 達郎が門番に言う
 「菊姫である。植松様にお目通り願う。」
門番の1人が領主の館に走る。
 俺たちは扶桑の町の中を通って行く。
 町の人々が行列を迎える
 「菊姫様の行列だ。」
 「弥次郎さん千代音さん、お帰り。」
 「角倉の守り人はどこだ。」
 「貴族だから牛車の中だよ。」
町の人々は口々に言う。
 領主の館に着くと牛車から降りる。
 植松良房が迎えに出ている。
 彼は菊に言う
 「菊姫様お待ちしておりました。」
 「お世話になります。」
 「中へどうぞ。」
俺たちは良房に広間に通される。
 良房は俺に言う
 「つな様、ケガはどうですか。」
 「おかげさまで、完治しました。」
 「それはよかった。」
 「ありがとうございます。」
 「宗七の調査が終わった様です。」
 「宗七は無事ですか。」
菊が良房に聞く
 「はい、今頃、国府へ向かっていると思います。」
 「情報を得ることが出来たのですね。」
 「鬼柳は、佐山と言う国境の町の領主でした。」
 「それがなぜ倭に手を出しているのですか。」
 「彼は奴国で影の権力者で逆らう者はいないそうです。」
 「では、倭も裏から支配するつもりでしたか。」
 「かもしれません。」
 「また、商人たちから恐れられているようです。」
 「分かりました詳しくは帝から聞きます。」
良房は帝に届いた情報を逐一知っている。
 彼の情報網は帝まで及んでいるらしい。
 俺たちは良房の館を出ると角倉に行く。
 角倉では番頭が菊を出迎える
 菊は番頭に
 「3日間、世話になります。」
と言うと離れに入って行く。
 番頭は緊張で冷や汗をかいている。
 俺が、番頭に言う
 「お世話になります。あとで菊姫に旅で補充するものを聞きに来てください。」
 「分かりました。」
俺たちは離れに行く。
 「俺たちは離れでいつものように過ごす。」
達郎は訓練が終わった後、美代を誘って町に出る。
 達郎たちは店を見て回る。
 きもの屋へ行くと達郎は美代の服を買う。
 達郎は着物を美代に贈るつもりである。
 店主と達郎が話をしている間、美代は店の外に出る。
 すると男が美代にぶつかってくる。
 男は美代がぶつかってきたと言い、金を要求する。
 美代は男に言う
 「ぶつかったのはあなたの方です。謝罪をお願いします。」
男は忌み人の予想外の言葉に鳩が豆鉄砲を食らったようになる。
 しかし、我に返ると
 「忌み人風情が何を言う。」
と怒鳴り、美代は5人の男に囲まれる。
 店に中にいた達郎に店の人が知らせに来る
 「お客さんの連れの女の人が男に絡まれているよ。」
達郎が慌てて店の外に出ると美代が5人の男を叩きのめしていた。
 達郎は店の人に官7位の証の鉄製の札を見せて役人を呼んできてもらう。
 5人の男たちは役人に連れられて行く。
 3日目の早朝、達郎は店に仕立ててもらった着物を取りに行く。
 達郎は美代に着物を贈る
 「頂戴してもよいのですか。」
 「美代のために仕立てたんだ。もらってくれ。」
 「ありがとうございます。」
美代は嬉しそうにする。
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