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12章 宗七の働き
4話 交易手形
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3日目も宗七は俵屋に顔を出す。
壮吉は宗七に言う
「宗七さん、何度来ても何も出ないよ。」
「私から何か出ればいいのですか。」
「欲しいものはないよ。」
「大治の商人の奴国の商人の交易の権利はどうですか。」
「弱いな。今でも交易はしている。」
「それなら協力した商人だけに権利を与えるのはどうですか。」
「出来るのかい。」
「帝に上申します。」
「帝のお墨付きかい。」
「そうです。どうでしょう。」
「権利をもらえる商人はうちだけかい。」
「俵屋を入れて4軒です。」
「うちだけにしないのか。」
「そうすれば、俵屋が大治で商売できなくなるでしょう。」
「よくわかっているな。いいだろう。」
「権利がもらえたら協力してもらいますよ。」
「分かっているよ。」
宗七は話が付くと宿に戻り、帝への上申書を書く。
使用人が帰ってくると相談して、あと3軒協力してくれる店を絞る。
宗七は、翌日、その3軒の店を使用人と回って話を付ける。
宗七と使用人は、その後も毎日店に顔を出す。
情報があれば、帝に送るためである。
国府と大治は、馬で5日の距離がある。
帝の元に能鬼師の笛が届き、翌日には能鬼師の里について書簡が届く。
帝は、宗七の情報収集能力に感心する。
そして、さらに4軒の商人に奴国の商人と正式に交易する権利を与えることを望む上申書が届く。
帝は、九条正親に聞く
「大治の商人に奴国の商人と正式に交易する権利を与えることをどう思いますか。」
「奴国とは鎖国状態です。やめたほうがよろしいかと。」
「しかし、密輸は行われています。」
「そうですが。」
「宗七は、奴国の商人から情報を得るために必要だと言っていています。」
「倭のためなら交易の権利など安いでしょう。」
「そうですね。」
帝は、4人の商人に奴国の商人と正式に交易する権利を書面で発行する。
そして、領主の氏原勝成にもそのことを書面で知らせる。
宗七は、今日も俵屋に顔を出している。
彼は、壮吉に聞く
「交易の権利をもらったら何を商いしますか。」
「織物だな。奴国の織物は柄が繊細で貴族に人気があるんだ。交易の権利があれば、堂々と貴族に売り込める。」
「倭からは何を売りますか。」
「食料だよ。」
「穀物ですか。」
「食料全般だ。」
「奴国は戦争でもしているのですか。」
「分からないが農村が疲弊しているらしい。」
「働き手を搾取しているのですね。」
「あの国は軍が大きいからな。」
「奴国は軍事国家なのですね。」
宗七は、宿に帰ると奴国について知り得た内情を帝に書簡にして送る。
そして、宗七の元に、4人の商人の交易手形が届く。
壮吉は宗七に言う
「宗七さん、何度来ても何も出ないよ。」
「私から何か出ればいいのですか。」
「欲しいものはないよ。」
「大治の商人の奴国の商人の交易の権利はどうですか。」
「弱いな。今でも交易はしている。」
「それなら協力した商人だけに権利を与えるのはどうですか。」
「出来るのかい。」
「帝に上申します。」
「帝のお墨付きかい。」
「そうです。どうでしょう。」
「権利をもらえる商人はうちだけかい。」
「俵屋を入れて4軒です。」
「うちだけにしないのか。」
「そうすれば、俵屋が大治で商売できなくなるでしょう。」
「よくわかっているな。いいだろう。」
「権利がもらえたら協力してもらいますよ。」
「分かっているよ。」
宗七は話が付くと宿に戻り、帝への上申書を書く。
使用人が帰ってくると相談して、あと3軒協力してくれる店を絞る。
宗七は、翌日、その3軒の店を使用人と回って話を付ける。
宗七と使用人は、その後も毎日店に顔を出す。
情報があれば、帝に送るためである。
国府と大治は、馬で5日の距離がある。
帝の元に能鬼師の笛が届き、翌日には能鬼師の里について書簡が届く。
帝は、宗七の情報収集能力に感心する。
そして、さらに4軒の商人に奴国の商人と正式に交易する権利を与えることを望む上申書が届く。
帝は、九条正親に聞く
「大治の商人に奴国の商人と正式に交易する権利を与えることをどう思いますか。」
「奴国とは鎖国状態です。やめたほうがよろしいかと。」
「しかし、密輸は行われています。」
「そうですが。」
「宗七は、奴国の商人から情報を得るために必要だと言っていています。」
「倭のためなら交易の権利など安いでしょう。」
「そうですね。」
帝は、4人の商人に奴国の商人と正式に交易する権利を書面で発行する。
そして、領主の氏原勝成にもそのことを書面で知らせる。
宗七は、今日も俵屋に顔を出している。
彼は、壮吉に聞く
「交易の権利をもらったら何を商いしますか。」
「織物だな。奴国の織物は柄が繊細で貴族に人気があるんだ。交易の権利があれば、堂々と貴族に売り込める。」
「倭からは何を売りますか。」
「食料だよ。」
「穀物ですか。」
「食料全般だ。」
「奴国は戦争でもしているのですか。」
「分からないが農村が疲弊しているらしい。」
「働き手を搾取しているのですね。」
「あの国は軍が大きいからな。」
「奴国は軍事国家なのですね。」
宗七は、宿に帰ると奴国について知り得た内情を帝に書簡にして送る。
そして、宗七の元に、4人の商人の交易手形が届く。
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