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8章 見えない脅威
10話 討伐軍の敗退
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頼之は、土蜘蛛が考えているより手ごわい相手であると思い知らされる。
兵士を吊り上げた木とは、別の方向からクモの糸のようなものが飛んできて新たな犠牲者に絡まる。
頼之は、狩られているのは自分たちだと知る。
彼は退却を判断する。
「よく聞け、我々は死地にいる。」
「全員、林の外へ退却。」
兵たちは、ばらばらに逃げ出す。
副官が頼之に言う
「これでよろしいのですか。」
「犠牲が増えるだけだ、お前も逃げよ。」
頼之は、副官に言うと自分も逃げ始める。
林から討伐軍が出てきたとき、300人近くまで減っていた。
200人近くの犠牲者を出したのである。
頼之は、国府への帰還を命じる。
帰還の途中、兵士たちは無言である。
まともに戦う前に破れてしまったのである。
討伐軍は街の門を通ると城の門まで大通りを歩くが兵たちの様子に街の人々は負けたことを知る。
城に入ると頼之は、中庭の中央で正座をして帝を待つ。
貴族たちが中庭に集まっているが頼之の雰囲気に誰も近寄らない。
帝が来ると貴族たちは両側に並ぶ。
頼之は、片膝をつき
「陛下、申し訳ありません。陛下の意かなえることが出来ませんでした。」
「500の兵をもって失敗したのか。」
「はい、御貸しいただいた兵のうち200近くを失いました。」
「何たる失態だ。どう責任を取るつもりだ。」
今泉清光がここぞとばかりに𠮟責する
「今泉、やめよ。」
「はい。」
「頼之の処遇は調査の後、決める。」
「はい。」
「頼之、土蜘蛛と戦ってどうだった。」
「土蜘蛛は強敵です。林の中では立場が逆転して我々が狩られる側になっていました。」
「討伐軍でも難しいか。」
「はい。」
「土蜘蛛の対策は、頼之の討伐軍を調査した後、行うこととする。」
「はい。」
頼之は、処分が決まるまで屋敷で待つことになる。
九条正親が、頼之を訪ねる
「九条の名を辱める結果となってしまいました。」
「よい、よく生きて帰ってきてくれた。」
「土蜘蛛は本当の化け物です。」
「お前にそこまで言わせるのか。」
「戦っているのに土蜘蛛の姿を見ることが出来ませんでした。」
「林の中を調査しなかったのか。」
「しました、2回斥候を出しましたがだれも戻りませんでした。」
「それでどうしたのだ。」
「全軍で林の中に進軍しました。」
「ほかに手はないな。」
「しかし、気づかないうちに兵が襲われ、気づいた時には手遅れでした。」
「そんな化け物をどうするのか。」
「林を焼くしかありません。」
「めったなことは言うでないぞ。」
「はい。」
正親は次につなの名が挙がるのを危惧する。
兵士を吊り上げた木とは、別の方向からクモの糸のようなものが飛んできて新たな犠牲者に絡まる。
頼之は、狩られているのは自分たちだと知る。
彼は退却を判断する。
「よく聞け、我々は死地にいる。」
「全員、林の外へ退却。」
兵たちは、ばらばらに逃げ出す。
副官が頼之に言う
「これでよろしいのですか。」
「犠牲が増えるだけだ、お前も逃げよ。」
頼之は、副官に言うと自分も逃げ始める。
林から討伐軍が出てきたとき、300人近くまで減っていた。
200人近くの犠牲者を出したのである。
頼之は、国府への帰還を命じる。
帰還の途中、兵士たちは無言である。
まともに戦う前に破れてしまったのである。
討伐軍は街の門を通ると城の門まで大通りを歩くが兵たちの様子に街の人々は負けたことを知る。
城に入ると頼之は、中庭の中央で正座をして帝を待つ。
貴族たちが中庭に集まっているが頼之の雰囲気に誰も近寄らない。
帝が来ると貴族たちは両側に並ぶ。
頼之は、片膝をつき
「陛下、申し訳ありません。陛下の意かなえることが出来ませんでした。」
「500の兵をもって失敗したのか。」
「はい、御貸しいただいた兵のうち200近くを失いました。」
「何たる失態だ。どう責任を取るつもりだ。」
今泉清光がここぞとばかりに𠮟責する
「今泉、やめよ。」
「はい。」
「頼之の処遇は調査の後、決める。」
「はい。」
「頼之、土蜘蛛と戦ってどうだった。」
「土蜘蛛は強敵です。林の中では立場が逆転して我々が狩られる側になっていました。」
「討伐軍でも難しいか。」
「はい。」
「土蜘蛛の対策は、頼之の討伐軍を調査した後、行うこととする。」
「はい。」
頼之は、処分が決まるまで屋敷で待つことになる。
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「九条の名を辱める結果となってしまいました。」
「よい、よく生きて帰ってきてくれた。」
「土蜘蛛は本当の化け物です。」
「お前にそこまで言わせるのか。」
「戦っているのに土蜘蛛の姿を見ることが出来ませんでした。」
「林の中を調査しなかったのか。」
「しました、2回斥候を出しましたがだれも戻りませんでした。」
「それでどうしたのだ。」
「全軍で林の中に進軍しました。」
「ほかに手はないな。」
「しかし、気づかないうちに兵が襲われ、気づいた時には手遅れでした。」
「そんな化け物をどうするのか。」
「林を焼くしかありません。」
「めったなことは言うでないぞ。」
「はい。」
正親は次につなの名が挙がるのを危惧する。
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