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7章 四條家の行く末

11話 影平、青くなる

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 扶桑から四宮まで牛車で5日かかる。
 護衛は襲撃を警戒している。
 牛鬼や赤鬼に続けて襲われているからだ。
 1日目は何事もなく夕方を迎える。
 俺は練場所に陣を張る。
 深夜、一つ目が4匹来る。
 護衛たちは静かにしてやり過ごそうとする。
 しかし、牛が鳴いてしまう。
 一つ目に俺たちの居場所がばれてしまう。
 弥次郎と千代音が陣の外に飛び出す。
 弥次郎は、すれ違いざま1匹目の胴を切り、2匹目の心臓を刀で突き刺す。
 千代音は、低い姿勢で、一つ目の爪を避けると、腹を切り上げる。
 さらに2匹目の首をはねる。
 2人は一瞬にして一つ目を狩る。
 2日目は、無事に旅を続ける。
 3日目に川に出る。
 菊は水浴びをするとは言わない。
 菊も襲撃を心配しているのだろうか。
 清音は水浴びをしたそうにしている。
 4日目菊は、清音を牛車に呼ぶ。
 菊は退屈して清音を呼んだのだろう。
 俺と日奈は牛車に二人きりになる。
 俺と日奈は見つめあう
 日奈が俺に言う
 「今日は、ダメですからね。」
 「何がだめなの。」
日奈は赤くなり
 「あれです。」
 「あれってなんだい。」
日奈はさらに赤くなり
 「男女のすることです。」
日奈はうつむきながら言う。
 俺は日奈の可愛さに思わず抱きしめる。
 「ダメ。」
日奈がささやくように言う
 俺は日奈を押し倒す。
 日奈はこらえるように
 「ダメです。」
俺は欲望を抑えられない
 「ダメ・・・」
日奈の言葉が背徳感をくすぐる。
 俺は我を忘れてしまう。
 気が付くと牛車が止まっている。
 清音が俺たちを見下ろしている
 「お猿さんね。」
清音は俺を酷評する。
 俺は清音を怒らせたかもしれない。
 しかし、清音は黙って牛車に乗る。
 外では、千代音が刀に手をかけている。
 牛車は動き出す。
 俺は清音に言い訳する
 「日奈がかわいかったからつい。」
 「かわいい女はみんな抱いちゃうの。」
 「清音や千代、日奈だけだよ。」
 「分かったけど。外に丸聞こえだったわよ。」
俺は赤くなり、日奈は涙目になる。
 5日目の午後、四宮に到着する。
 俺たちが門に到着すると門番の1人が館に走る。
 これたちはそのまま通り、菊の館へ行く。
 館では石川影平が出迎えている。
 菊が影平に言う。
 「留守中、無理をさせました。」
 「いえ、姫様ご無事で何よりです。」
菊の後に千代が続く
 「千代様、お帰りなさいませ。」
次に日奈が続く
 「こちらのお方は・・・」
 「四條兼隆の娘、日奈です。よろしくお願いします。」
 「四條・・・」
影平は青くなり、菊を見る。
 菊は影平に言う
 「つな様が連れてきた。」
影平の首が、ギギギ・・・と俺の方を向く。
 彼は目をむいて言う
 「また、貴様か。四條家の者を引き入れてどうする。反逆者の家だぞ。」
 「反逆者の家ではありません。」
俺が答える。
 「世間ではそう思われているのだぞ。」
影平は収まらない。
 菊が影平に言う
 「情報が四宮まで来ていないようだが。四條家は再興したぞ。」
影平は、口を開けたままになる。
 「・・・」
 「今は九条家と四條家は良好な関係だぞ。」
 「は、はい、わかりました。」
影平は答えると俺を睨みつける。
 俺たちは、屋敷に入る。
 ここでも俺は、清音と日奈と同じ部屋である。
 俺が中庭でのんびりしていると影平が話しかけてくる
 「先ほどは失礼しました。」
 「いいえ、驚かせたのは私ですから。」
 「つな殿は、知っていて日奈様を引き入れたのですか。」
 「偶然、町で助けたら来ることになりまして、それから四條家が再興したのです。」
 「つな殿は運がよいようですね。失礼します。」
影平は去って行く。
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