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7章 四條家の行く末

10話 日奈、町に出る

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 翌朝、俺と清音は街に出ることにする。
 日奈が俺に頼み込む
 「私も一緒に連れて行ってください。」
 「歩くんだけど大丈夫。」
俺は、日奈が四條家の人間であり、町の人々は四條家が乱を起こしたと思っているので日奈を誘わなかったのだ。
 「歩くのは慣れています。」
 「日奈も一緒の方が楽しいわ。」
清音が日奈を援護する
 「なら、一緒に行こう。」
日奈を知る町人はいないと考え了承する。
 俺たちは町に出て、店を回る。
 日奈は物珍しそうに見ている。
 俺と清音は、町のみんなに顔を知られており、入れない店はない。
 昼近くになり、屋台で昼食をとる。
 食事処で昼食を食べてもよかったのだが、久しぶりに屋台で食べたくなったのだ。
 日奈は町中の屋台で食べることに落ち着かない様子である。
 「つな様と清音様は屋台でよく食事をしていたのですか。」
 「屋台でないと食事できなかった。」
 「私が忌み人だから食事処に入れなかったの。」
 「そうなんですか。大変だったのですね。」
 「苦にはなっていなかったわ。」
清音は苦になっていなかっただろうが、最初のころまともな食事にありつけていなかった思い出がある。
 午後は、着物を見る。
 入った店の通りの反対側で何かもめているようだが、清音の新しい着物姿の方が優先される。
 俺と清音は、着物を選ぶ。
 通りの反対の店では、みのるが店の対応が悪いと言いがかりをつけている。
 店主は、相手は9位の官位持ちである、対応に苦慮している。
 そこへ声がかかる
 「おやめなさい、穏便に話せないのですか。」
 「なーにー、俺に意見する奴は誰だ。」
みのるは振り向き怒鳴る。
 「私は、四條兼隆の娘。日奈です。」
日奈は堂々と名乗り
 「恥ずかしくはないのですか。」
 「四條だって、この反逆者の一族が。」
 「それはもう道隆が罪を負っています。」
 「何言っていやがる。立場を教えてやる。」
みのるは標的を日奈に替える。
 町人が店に飛び込んできて俺に言う
 「つなさんの連れではないのか、みのるに絡まれているぞ。」
俺と清音は、店を飛び出し、人ごみに入る。
 見るとみのるが日奈の髪を引っ張っている
 「おい、何をしている。」
俺はみのるに近づきながら言う。
 「世間というものを・・・」
みのるは俺に気づく。
 俺はみのるの顔を殴ると当て身を加える。
 みのるはその場に倒れる。
俺は言う
 「暑さで倒れたようだ。水をかけてやってくれ。」
絡まれていた店主がみのるに水をかける。
 みのるは気が付き、走り去っていく。
 みんな笑いながら拍手をする。
 店主が日奈に礼を言う。
 帰り道の途中、日奈は俺に聞く
 「四條家は反逆者の家ですか。」
 「違うよ。兼隆様は九条様と仲良くしているだろ。」
 「日奈には、菊姫がいるから大丈夫。」
清音も元気づける。
 四條家には罪はない、しかし、世間の目は厳しいのだろうか。
 3日目、俺たちは四宮に向かって旅立つ。
 菊姫の行列を町の人々は見送る。
 「つなさん、清音さん、また来てくれよ。」
 「日奈さん、ありがとう。」
声援の中に日奈に対するものがある。
 日奈の勇気ある行動が受け入れられていたのである。
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