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そして、愛
増していく存在
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目覚めがこんなにもスッキリしているなんて、どれくらい振りだろう。夕凪はシーツの下で「うーん」と背伸びをした。あんなにダルかった腰も太腿も今朝はなんともない。夕凪は沢柳のマッサージの威力に驚きと感謝の気持ちでいっぱいになる。
その沢柳はもう起きてキッチンで忙しくしていた。時計はまだ6時を少し過ぎたばかり。夕凪はシーツに包まったまま頭だけ起こしてキッチンに向かう沢柳の後ろ姿を見た。
(いい匂い……自分で作ると気づかないんだよね。浩太、お母さんみたい)
「ふふっ。さて、私も起きて手伝いますか」
夕凪はシーツの中で服を身につけてベッドから出た。何気なく振り返ると乱れたそれらが目に入る。見るとまた思い出して頬が熱くなるので、せめて寝る前の状態に戻るよう整え、シワシワのシーツは剥ぎ取った。
「おはよう」
「もう起きたのか。おはよう」
「ありがとう。体、とてもスッキリしてる。あ、シーツ洗濯機に入れてもいい?」
「ああ、適当に放り込んでおいてくれ」
「うん」
夕凪はシーツを洗濯機に入れ、洗面台で顔を洗った。よく寝たせいか目の下のクマも薄くなったような気がする。
(あんなふうに抱かれたのに……て、忘れて、忘れて!)
鏡に映った自分が見る見る赤くなる。夕凪はもう一度水で顔を洗った。何度も何度も、その赤らんだ顔が治まるように。そして、数分ほど経ってやっとキッチンにいる沢柳の隣に立った。
「私も手伝うよ。何をしたらいい?」
「では、そこのおかずを弁当箱に詰めてもらえるか。冷えるまで蓋はしないでくれ」
「了解!」
本当にお母さんだと夕凪は心の中で思った。沢柳が豆腐を掌に乗せ、包丁で切る。そして、味噌を取り出し目分量で入れ溶いていく。無駄のない流れるような動作に、夕凪は自分の手を止めて見惚れていた。
「あまりじっと見られるとやり難い」
「えっ、ああ。あんまりにも慣れてて驚いてた。それに左手なのに器用だなぁって」
「あんた、何言ってる。くくっ……利き手なんだから器用にできて当たり前だろ。俺が夕凪に右手なのに上手ですねって言ってるようなものだ」
「そうなんだけどぉ。見慣れないからさ、珍しくってつい」
「昔は右に矯正したらしいが、今はしない者が増えた。それでも右利きに比べたら圧倒的に少ないな。右利きが前提のような世の中だから不便も少なくない」
「でも、格好いいよね……左利き」
「は?」
自分に無いもの、自分にはできないこと、自分とは違う性格や物事の見方ができる人を、夕凪は特にそう思っていた。
沢柳には夕凪がそう思えるものがたくさんあった。左利きもそうだけれど何事にも動じない落ち着いた心。そして自分に与えてくれるたくさんの優しさ。
「格好いいよ。浩太は、格好いい」
「……有難く受け取っておく」
「ん? あ、ふふっ。照れてる? ねえ、顔、見せてよ! ねえってば」
「遅刻するぞ。あんた家に一回帰るんだろ。送るから早く準備を進めてくれ」
沢柳の仏頂面にほんのり赤みが差したのを夕凪は見逃さなかった。眼鏡をかけていない沢柳の少し幼い顔がとても可愛らしかったなんて、本人には言わない方がいい。なんとなく夕凪はそう感じ取っていた。
(もしかしたら眼鏡をかけるのって、そう言うことが理由なのかな)
朝食を済ませたあと沢柳は夕凪を車で送った。3日もゼファーにエンジンをかけていないと、眉を下げて訴えられては、さすがの沢柳も一緒に通勤したいとは言えなかった。でも、朝作ったお弁当を夕凪に渡すときにもう一度、自分の気持ちを伝えた。
「毎日、弁当を持たせたいんだが離れていてはそうもいかないな。俺としては昼休みに届けたいくらいだ」
「え、それは……ちょっと」
「分かっている。あんたを困らせたくはない。それより、一緒に暮らすことを考えてほしい。ゼファーの置き場所もあるし、これまで通り通勤もバイクを使えばいい」
沢柳は本気で同棲をしたいようだ。それも、夕凪に自分のマンションに来てほしいという。男が夕凪の部屋に転がり込んだことはあったけれど、男に自分の部屋に来いと言われたのは沢柳が初めてだった。
「少し、時間をちょうだい? こう見えても一応あの部屋にも愛着あるし。しがらみも無くはないの」
「分かった」
「じゃあ、お仕事がんばってね」
「ああ」
夕凪は沢柳の車が角を曲がり見えなくなるまで見送って、マンションのエントランスに入った。
3日振りの我が家。当たり前だけれど、出たときと変わらないいつもの匂いがした。でもこの部屋で沢柳に抱かれた。しかも日のまだ高い時間に。
ゼファーを見てもそうだけど、至る所に沢柳の気配があることに夕凪は戸惑う。今まで付き合ってきた男はどうだっただろうか。もちろんその時その時を真剣に付き合ってきたはず。だけど、こんなふうにその面影を感じることはなかった。
夕凪はリビングの端にある小さな仏壇の扉を開いて祖父の写真に手を合わせる。
「ねぇ、おじいちゃん。このまえ来た人が、一緒に暮らさないかって。どう思う?」
一緒に暮らして、上手くいったら結婚となるかもしれない。結婚なんてしなくてもいいし、一人で生きていく覚悟はできている。なのに、覚悟を揺さぶる人が現れた。沢柳にまだ話していないことがある。自分には家族と呼べるものが居ないこと。祖父に育てられたこと。そして、もしここを出て沢柳の部屋に住むことになったら、この小さくなった祖父も一緒だと言うことを。
自分の過去が寂しいものだったとは決して思ってはいない。辛いことより楽しいこと、嬉しいことの方が多かった。でも、一般的な家庭で育った人から見たらどうだろうか。そんな女を妻にしたいと、思えるのだろうか。
(だから、結婚って想像がつかないの。例え本人同士はよくても、あちらのご両親は……)
もう一度ふぅと息を吐いて、夕凪は仕事に向かった。
*
沢柳は夕凪を降ろしたあと、マンションに戻り車を駐車場に停めた。そしていつものように眼鏡をかけて電車に乗って出社した。
沢柳にとって夕凪の存在は日に日に増していくばかりだ。港湾研修でエスコートする女の背中に惚れたと言ったら、周りからどう思われるだろうか。
男の世界で働く女の背中は本社で働くどの女性社員よりも凛々しく美しかった。作業服でガントリークレーンに乗り込んで見せる姿は、言い表しようのないほど眩しかった。その彼女の肩には普通の女性とは違う何か大きなものが乗っているような気さえした。そして極めつけはバイクだ。久しぶりに走った峠で、後ろを追ってきたのがまさか彼女だなんて、流石に沢柳も面食らった。
「沢柳っ、悪いけど昨日頼んだヤツ」
「あれは机の上にまとめて置いてあります。検疫検査は午後一時からです」
「おぅ、サンキュー」
沢柳の仕事は通関業務。輸出入する際にパッキングリストに載った品それぞれに、税番の振り分けをして税関に申告をする。また、動植物の検疫に伴う書類の作成などを行っている。
決められた事を決められた時間までに行う。時間までに書類が揃わない場合は検査が先送りになる。不備がないように提出書類をまとめ、それを指導するのも通関士の仕事だった。他の部署に比べると、一番法に近い場所で役所のような硬い仕事だと言われている。その分、全ては時間と期限で区切られた仕事であるため、残業をする事はめったになかった。
「沢柳さん。まだ先方が書類を揃えられないらしくて、来週の出港には間に合わないそうです」
「そうですか。では、検査の予約は一旦取り消しておきます」
「宜しくお願いします」
税申告をして、輸出入の許可をもらう。デスクの上で淡々と決められたように、計られたように仕事をこなしてきた。
入社してからずっと繰り返してきたことだ。ミスも少なく、社内からも社外からも信頼されていた。過去に心を揺さぶられた女性はいた。しかし力づくで欲しいとは思わなかったし、その彼女が掴んだ幸せに沢柳自身ほっとした記憶がある。
しかし夕凪に出会って、沢柳の知っている世界は変わった。自分がデスクに座って淡々と振り分けた物を彼女が実際に動かしている。そう思うと自分の仕事はとても重要なポジションにあるのだと再認識することができた。
動くことのなかった心が、たったそれだけで弾む。申告された数量や重量に間違いはないか書類の細部まで目を通してしまう。ほんの僅かな誤差の積み重ねが、夕凪の仕事に影響を及ぼすからだ。気付けばモノクロだった沢柳の世界が、夕凪を想うだけで色づいていく。
仕事でもプライベートでも彼女が抱える憂いの全てから護ってやりたい。
何かあったときいちばんに頼ってもらいたい。
そんな気持ちが自発的に表れたことに、沢柳本人が一番驚いていた。
ふと時計を見るとまもなく12時をさす頃だった。今朝作った弁当に夕凪が手を合わせて「いただきます」をする姿が目に浮ぶ。
仕事の合間にそんな事を思い浮かべるようになった事に本人は気付かない。
ただ、パソコンのスクリーンに映る男の表情はここでは見たことがないほど穏やかだった。
その沢柳はもう起きてキッチンで忙しくしていた。時計はまだ6時を少し過ぎたばかり。夕凪はシーツに包まったまま頭だけ起こしてキッチンに向かう沢柳の後ろ姿を見た。
(いい匂い……自分で作ると気づかないんだよね。浩太、お母さんみたい)
「ふふっ。さて、私も起きて手伝いますか」
夕凪はシーツの中で服を身につけてベッドから出た。何気なく振り返ると乱れたそれらが目に入る。見るとまた思い出して頬が熱くなるので、せめて寝る前の状態に戻るよう整え、シワシワのシーツは剥ぎ取った。
「おはよう」
「もう起きたのか。おはよう」
「ありがとう。体、とてもスッキリしてる。あ、シーツ洗濯機に入れてもいい?」
「ああ、適当に放り込んでおいてくれ」
「うん」
夕凪はシーツを洗濯機に入れ、洗面台で顔を洗った。よく寝たせいか目の下のクマも薄くなったような気がする。
(あんなふうに抱かれたのに……て、忘れて、忘れて!)
鏡に映った自分が見る見る赤くなる。夕凪はもう一度水で顔を洗った。何度も何度も、その赤らんだ顔が治まるように。そして、数分ほど経ってやっとキッチンにいる沢柳の隣に立った。
「私も手伝うよ。何をしたらいい?」
「では、そこのおかずを弁当箱に詰めてもらえるか。冷えるまで蓋はしないでくれ」
「了解!」
本当にお母さんだと夕凪は心の中で思った。沢柳が豆腐を掌に乗せ、包丁で切る。そして、味噌を取り出し目分量で入れ溶いていく。無駄のない流れるような動作に、夕凪は自分の手を止めて見惚れていた。
「あまりじっと見られるとやり難い」
「えっ、ああ。あんまりにも慣れてて驚いてた。それに左手なのに器用だなぁって」
「あんた、何言ってる。くくっ……利き手なんだから器用にできて当たり前だろ。俺が夕凪に右手なのに上手ですねって言ってるようなものだ」
「そうなんだけどぉ。見慣れないからさ、珍しくってつい」
「昔は右に矯正したらしいが、今はしない者が増えた。それでも右利きに比べたら圧倒的に少ないな。右利きが前提のような世の中だから不便も少なくない」
「でも、格好いいよね……左利き」
「は?」
自分に無いもの、自分にはできないこと、自分とは違う性格や物事の見方ができる人を、夕凪は特にそう思っていた。
沢柳には夕凪がそう思えるものがたくさんあった。左利きもそうだけれど何事にも動じない落ち着いた心。そして自分に与えてくれるたくさんの優しさ。
「格好いいよ。浩太は、格好いい」
「……有難く受け取っておく」
「ん? あ、ふふっ。照れてる? ねえ、顔、見せてよ! ねえってば」
「遅刻するぞ。あんた家に一回帰るんだろ。送るから早く準備を進めてくれ」
沢柳の仏頂面にほんのり赤みが差したのを夕凪は見逃さなかった。眼鏡をかけていない沢柳の少し幼い顔がとても可愛らしかったなんて、本人には言わない方がいい。なんとなく夕凪はそう感じ取っていた。
(もしかしたら眼鏡をかけるのって、そう言うことが理由なのかな)
朝食を済ませたあと沢柳は夕凪を車で送った。3日もゼファーにエンジンをかけていないと、眉を下げて訴えられては、さすがの沢柳も一緒に通勤したいとは言えなかった。でも、朝作ったお弁当を夕凪に渡すときにもう一度、自分の気持ちを伝えた。
「毎日、弁当を持たせたいんだが離れていてはそうもいかないな。俺としては昼休みに届けたいくらいだ」
「え、それは……ちょっと」
「分かっている。あんたを困らせたくはない。それより、一緒に暮らすことを考えてほしい。ゼファーの置き場所もあるし、これまで通り通勤もバイクを使えばいい」
沢柳は本気で同棲をしたいようだ。それも、夕凪に自分のマンションに来てほしいという。男が夕凪の部屋に転がり込んだことはあったけれど、男に自分の部屋に来いと言われたのは沢柳が初めてだった。
「少し、時間をちょうだい? こう見えても一応あの部屋にも愛着あるし。しがらみも無くはないの」
「分かった」
「じゃあ、お仕事がんばってね」
「ああ」
夕凪は沢柳の車が角を曲がり見えなくなるまで見送って、マンションのエントランスに入った。
3日振りの我が家。当たり前だけれど、出たときと変わらないいつもの匂いがした。でもこの部屋で沢柳に抱かれた。しかも日のまだ高い時間に。
ゼファーを見てもそうだけど、至る所に沢柳の気配があることに夕凪は戸惑う。今まで付き合ってきた男はどうだっただろうか。もちろんその時その時を真剣に付き合ってきたはず。だけど、こんなふうにその面影を感じることはなかった。
夕凪はリビングの端にある小さな仏壇の扉を開いて祖父の写真に手を合わせる。
「ねぇ、おじいちゃん。このまえ来た人が、一緒に暮らさないかって。どう思う?」
一緒に暮らして、上手くいったら結婚となるかもしれない。結婚なんてしなくてもいいし、一人で生きていく覚悟はできている。なのに、覚悟を揺さぶる人が現れた。沢柳にまだ話していないことがある。自分には家族と呼べるものが居ないこと。祖父に育てられたこと。そして、もしここを出て沢柳の部屋に住むことになったら、この小さくなった祖父も一緒だと言うことを。
自分の過去が寂しいものだったとは決して思ってはいない。辛いことより楽しいこと、嬉しいことの方が多かった。でも、一般的な家庭で育った人から見たらどうだろうか。そんな女を妻にしたいと、思えるのだろうか。
(だから、結婚って想像がつかないの。例え本人同士はよくても、あちらのご両親は……)
もう一度ふぅと息を吐いて、夕凪は仕事に向かった。
*
沢柳は夕凪を降ろしたあと、マンションに戻り車を駐車場に停めた。そしていつものように眼鏡をかけて電車に乗って出社した。
沢柳にとって夕凪の存在は日に日に増していくばかりだ。港湾研修でエスコートする女の背中に惚れたと言ったら、周りからどう思われるだろうか。
男の世界で働く女の背中は本社で働くどの女性社員よりも凛々しく美しかった。作業服でガントリークレーンに乗り込んで見せる姿は、言い表しようのないほど眩しかった。その彼女の肩には普通の女性とは違う何か大きなものが乗っているような気さえした。そして極めつけはバイクだ。久しぶりに走った峠で、後ろを追ってきたのがまさか彼女だなんて、流石に沢柳も面食らった。
「沢柳っ、悪いけど昨日頼んだヤツ」
「あれは机の上にまとめて置いてあります。検疫検査は午後一時からです」
「おぅ、サンキュー」
沢柳の仕事は通関業務。輸出入する際にパッキングリストに載った品それぞれに、税番の振り分けをして税関に申告をする。また、動植物の検疫に伴う書類の作成などを行っている。
決められた事を決められた時間までに行う。時間までに書類が揃わない場合は検査が先送りになる。不備がないように提出書類をまとめ、それを指導するのも通関士の仕事だった。他の部署に比べると、一番法に近い場所で役所のような硬い仕事だと言われている。その分、全ては時間と期限で区切られた仕事であるため、残業をする事はめったになかった。
「沢柳さん。まだ先方が書類を揃えられないらしくて、来週の出港には間に合わないそうです」
「そうですか。では、検査の予約は一旦取り消しておきます」
「宜しくお願いします」
税申告をして、輸出入の許可をもらう。デスクの上で淡々と決められたように、計られたように仕事をこなしてきた。
入社してからずっと繰り返してきたことだ。ミスも少なく、社内からも社外からも信頼されていた。過去に心を揺さぶられた女性はいた。しかし力づくで欲しいとは思わなかったし、その彼女が掴んだ幸せに沢柳自身ほっとした記憶がある。
しかし夕凪に出会って、沢柳の知っている世界は変わった。自分がデスクに座って淡々と振り分けた物を彼女が実際に動かしている。そう思うと自分の仕事はとても重要なポジションにあるのだと再認識することができた。
動くことのなかった心が、たったそれだけで弾む。申告された数量や重量に間違いはないか書類の細部まで目を通してしまう。ほんの僅かな誤差の積み重ねが、夕凪の仕事に影響を及ぼすからだ。気付けばモノクロだった沢柳の世界が、夕凪を想うだけで色づいていく。
仕事でもプライベートでも彼女が抱える憂いの全てから護ってやりたい。
何かあったときいちばんに頼ってもらいたい。
そんな気持ちが自発的に表れたことに、沢柳本人が一番驚いていた。
ふと時計を見るとまもなく12時をさす頃だった。今朝作った弁当に夕凪が手を合わせて「いただきます」をする姿が目に浮ぶ。
仕事の合間にそんな事を思い浮かべるようになった事に本人は気付かない。
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