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後日章
日々の営み
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桜の季節が終わると、ここ箱館はすぐに夏へと移り変わった。枝が折れそうなほどに満開だった桜の木は、瑞々しい葉をつけ風にそよいでいる。私の胸の傷痕はすっかり薄れ痛みもなくなった。しかし土方の傷は深く、銃弾が体を貫通したせいでまだ以前のようには振る舞えない。
「これでよしっと」
ふう、と額の汗を拭って畑を見わたした。この辺りの小さな集落は戦争の被害を避けるため、村から逃げて誰一人残っていない。春の農作業に向けて用意されていただろう野菜の種を、私は植えた。
「ひと様のものを勝手に申し訳ないけれど、暫くは此処に留まるしかないもの。ごめんなさい」
遠い先のことまでは考えられなかった。ずっとこの民家に住むことはできないと分かっている。いつか、家主が戻ってくると思う。それも、そう遠くないはずだ。そんな事を考えていると後ろで小枝が折れるような音がした。
私はハッと振り返る。
「歳三さん! 歩いて、大丈夫なんですか」
「ずっと寝ていたら体が鈍っちまうだろ。適当に動かさねえと、死んじまう」
私は土方のそばに駆け寄った。まだ痛むらしい腹部を庇いながら立つ姿は痛々しい。土方は私の肩に手をおいて「ふぅ」と息を吐いた。
「さあ、家に戻りましょう。あれ、杖を持ってこなかったんですか。取ってきますから此処に腰を下ろして待っていてください。さあ、ここに……えっ、ちょっと、歳三さん!」
「俺はジジイじゃないんだよ。もう杖はいらない。あれに頼ってちゃいつまで経っても治らねえ」
土方は石の上に腰を下ろすと、私を自分の膝の上に乗せてしまう。あまり心配しすぎても、気を使いすぎてもいけない。武士だった男の誇りまで傷つけることになるから。
「でも、無理はいけません」
「無理するくらいが、丁度いいんだ。見ろお前、こんなに汚れちまって。なんで顔にまで土がつくんだよ。まったく」
「え、だって」
土方は私の顔についているらしい土を指先で払った。その仕草があまりにも優しくて擽ったい。つい首を竦めてしまう。
「ガキが……」
「だからっ、もうガキではありませっ……んっ」
土方の唇が私の頬をちうっと吸い、それにピクッと反応した私の唇を塞いだ。それから、陽に晒されて汗ばんだ首筋に、その唇を寄せてきて吸った。
「あっ、駄目です。汗をかいていますからっ、きたなっ。ひうっ」
駄目だと言っているそばから、土方は私の首を吸っては舐めた。チロ、ペロと舌先が私の肌を味わっている。忘れかけていた熱が顔を出し始めた。
「常葉の体から出るもんが何で汚いんだよ。大人しくしろ、落ちるぞ」
「汚いですよっ、汗ですよ! 汗っ。ああんっ、やぁ」
「いい声を、出すじゃないか」
「歳三さん」
土方の眼の奥が光った。男の眼だ。でも、五稜郭のときに私を抱いたときの眼とは違う。今思えばあのときは、とても悲しそうな顔をしていた。
「湯を、沸かしてある。風呂に入れ」
「え、歳三さんがお風呂を入れたんですか! 水を汲んで溜めたんですか! 体、痛かったでしょう」
「俺はもうこの通り、問題ない」
「歳三さん……」
土方がほんの一瞬、切なげに瞳を揺らした。こんな体になっても、生きていることが辛いのかもしれない。まともに動かない体、私に頼らなければ生きていけない現状を悲しんでいるのかも、しれない。
「行くぞ。なんだ、その顔は」
「その顔とはなんですか」
「ここに皺を入れるんじゃねえよ。仕方がねえな、背中でも流してやるか」
土方はここと言いながら私の眉間を人差し指でつついた。私はすぐに顔に出てしまっていけない。
「そんな、歳三さんにはお手間取らせませんから。大丈夫です。一人で入ります。それより歳三さんが先に入ったらどうですか。きれいなお湯で体を流したほうがいいです」
「俺はお前のために風呂を入れたんだぞ。ああ、分かった。そういうことか」
土方はにやりと笑って勝手に何かを納得してしまう。
(この笑い、何か企んでるときの顔よね!)
*
確かこの風景、初めてではない。ぽちゃんと水面が弾んで、私は土方の腕の中に囚えられてしまった。私は土方と湯船に浸かっていた。
「あの、歳三さん。これは、どういう」
「一緒に浸かれば、二人とも一番風呂だろ。俺はなんもしてないが、お前はひと仕事したあとだからな。ちゃんと体を温めないとだめだぞ。女は冷やしちゃいけねえって」
「歳三さん、ありがとうございます」
今は土方が言うように甘えておこうと、その逞しい胸に顔を寄せた。小さくお湯がうねり、それが私の肩に何度も滴った。冷やさないようにと土方が片手で湯をすくって掛けてくれている。
私は目を閉じた。
「寝てもいいぞ。ちゃんと部屋まで連れて行ってやる」
「寝ませんよ。こんな幸せな時間を過ごしているんですから。寝たくないです」
「そうかよ」
それから二人で体を洗いあった。背中にまで到達している土方の傷。これは一生残ると思う。そして、この土地の冬が土方の体を痛めつけるかもしれない。
「常葉」
「はい」
「今夜はお前を抱かせろ」
「はい。え! えっ」
「なんだその顔は。そろそろ限界だ。毎晩お前は俺に、可愛い寝顔を晒しやがって、何度喰っちまおうかって思ったか。知らねえだろ」
「し、知りません……でした」
湯で体を流すと土方が私の手を引いて立ち上がった。
繋がれた手がじんじんしていた。
夕餉も食べずにこんな事になるなんて、本当に思ってもみなかった。土方は私を布団に寝かせ、その上からじっと私を見ている。そして、土方は手で私の頬に触れた。
「あの晩は、悪かったと思っている。俺から引き離すために、お前の女の心を利用した。けど、そんなふうにしてでもお前を抱きたかった。俺に捨てられたと、苦しかっただろう」
「歳三さん、わたしっ」
「よく生きて戻ってきたな」
土方はそう言って私の髪を何度も梳いた。私は今にも泣きそうな土方の顔を見て、撫でるその手を掴んで引き寄せた。その手のひらに口づけをして、自分の頬に擦り付けた。
「歳三さんの遺言に、答えられなくてごめんなさい。でも、諦めたくなくてっ……私は歳三さんを逝かせたくなかった。これで、よかったですか。無理にこの世にとどめてしまって……。本当は私も一緒に逝けば」
「常葉。莫迦なことを言うんじゃねえ。よかったよ……この世に残れて、良かったさ」
「うっ、としぞうさぁん! 戻ってきてくれてっ、ありがとうございます」
私は泣いた。土方の命を救ったことを後悔したこともあった。なかなか癒えぬ傷、いつまでも下がらぬ熱は土方を随分と苦しめた。私は土方に、生き地獄を与えているのではないかと思ったからだ。
「おい。泣かすために押し倒したんじゃねえぞ。まあ、鳴かすには違いないんだがな」
「もぅ……」
土方が優しく微笑んだ。温かみのあるその笑みに胸が熱くなる。もう私は小姓じゃない。土方の女としてこの時を迎えるんだ。そう思うと我慢ができなくなって、土方を引き寄せ薄い唇を奪った。
「んっ、は、あっ。歳三さん」
「女になりやがって」
「あなたの、あなたの女ですよ。あなたの好きにしてください」
そう言うと土方はぎゅっと眉間に皺を寄せた。鋭い眼光を私に向ける。
「後悔するなよ。俺はどうもしつこいらしいからな」
「あ、ふっ……ん」
土方は私の着物を適当に広げ、無骨な手で私の体を撫で回した。出会ったときよりも、ふっくらとした私の体を確認しているようにも思える。
「あっ、や」
「ちゃんと気持ちよくしてやる。あの晩よりも、もっとな。お前の弱いところは知っている。吸われる方がいいんだろ……あん?」
「あっああっ。そんな、いっぺんにっ。はぁん」
「いいぞ。声は我慢するな」
土方は私の乳房を咥えて吸ったり舌で舐ったりする。それだけでも十分にいいのに、反対の乳房まで揺らされ先端も摘まれ、私の息は上がりっぱなしだ。
「そろそろ頃合いか……」
「やっ、待って下さい。そこは、ああっ」
迷うことなく土方は私の下肢へ手を伸ばし、濡れそぼった窪みに指を差し込んだ。痛くはないけれど、自分でも驚くほどに体が反応をしてしまう。
「待たせすぎたか。お前、凄いことになっているぞ。指を食いちぎるつもりか」
「ああんっ、やだっ、やぁ。お腹が勝手に……ん、あん。止まらないっ、わたし、おかしくて」
「おかしくない。最高の反応だろ……男にはたまんねえよ。こいつが、誘っている」
「あっ、あっ、あっ」
うまく言葉が紡げない。土方の指が私の胎内で蠢いて、とても恥ずかしい音を鳴らし続けている。
「まだキツいな。けど、俺もそろそろ収まりたいんだよ。常葉の中に」
「あっ、ん。き、来てっ、くださ……あっ」
土方が突然、私の脚の間に顔を埋めた。次の瞬間、声が出せないほどの激しい悦が私を襲った。腰がおかしいくらいに揺れ始めて、自分から脚を大きく開いていた。手で土方の頭を押さえるけれど、まったく力が入らない。
「常葉。随分と良さそうだな」
「な、舐めっないで! もう、いいです。あ、ああっ! 止まらない……いやぁぁ」
ビクン、ビクンと揺れて尻が浮いた。中からあり得ないほど何かが溢れ出る。
(わたし……大変なことをしてっ)
「派手に達したな」
「ごめんなさい。わたし、こんなことっ」
腰のあたりまで敷布が濡れているのが分かった。私は子供みたいな粗相をしてしまったのだ。羞恥で涙が溢れた。土方に顔を見せられず、両手で隠すことしかできなかった。
「うっ、ううっ」
「何で泣くんだ。もしかしてお前、やっぱ知らねえのか……だよな。知るわけねえよな」
「ううっ、うわぁぁん。ごめんなさい、ごめんなさい」
土方は泣きわめく私を横になって抱きしめてくれた。額に口付けをして、鼻先を私の顔に擦り付けてきた。
(なんで、甘えているの……)
「お前は俺の女として最高の反応をしてくれたんだよ。今からもっと善くしてやるから、覚悟しろ」
「えっ、え……」
土方がもう一度、私の脚の間に割り込んできた。両足の膝裏を持ち上げる。そして、
「入るぞ」
ずんっと、重い衝撃が私を貫いた。
「あっ……っああ!」
「これでよしっと」
ふう、と額の汗を拭って畑を見わたした。この辺りの小さな集落は戦争の被害を避けるため、村から逃げて誰一人残っていない。春の農作業に向けて用意されていただろう野菜の種を、私は植えた。
「ひと様のものを勝手に申し訳ないけれど、暫くは此処に留まるしかないもの。ごめんなさい」
遠い先のことまでは考えられなかった。ずっとこの民家に住むことはできないと分かっている。いつか、家主が戻ってくると思う。それも、そう遠くないはずだ。そんな事を考えていると後ろで小枝が折れるような音がした。
私はハッと振り返る。
「歳三さん! 歩いて、大丈夫なんですか」
「ずっと寝ていたら体が鈍っちまうだろ。適当に動かさねえと、死んじまう」
私は土方のそばに駆け寄った。まだ痛むらしい腹部を庇いながら立つ姿は痛々しい。土方は私の肩に手をおいて「ふぅ」と息を吐いた。
「さあ、家に戻りましょう。あれ、杖を持ってこなかったんですか。取ってきますから此処に腰を下ろして待っていてください。さあ、ここに……えっ、ちょっと、歳三さん!」
「俺はジジイじゃないんだよ。もう杖はいらない。あれに頼ってちゃいつまで経っても治らねえ」
土方は石の上に腰を下ろすと、私を自分の膝の上に乗せてしまう。あまり心配しすぎても、気を使いすぎてもいけない。武士だった男の誇りまで傷つけることになるから。
「でも、無理はいけません」
「無理するくらいが、丁度いいんだ。見ろお前、こんなに汚れちまって。なんで顔にまで土がつくんだよ。まったく」
「え、だって」
土方は私の顔についているらしい土を指先で払った。その仕草があまりにも優しくて擽ったい。つい首を竦めてしまう。
「ガキが……」
「だからっ、もうガキではありませっ……んっ」
土方の唇が私の頬をちうっと吸い、それにピクッと反応した私の唇を塞いだ。それから、陽に晒されて汗ばんだ首筋に、その唇を寄せてきて吸った。
「あっ、駄目です。汗をかいていますからっ、きたなっ。ひうっ」
駄目だと言っているそばから、土方は私の首を吸っては舐めた。チロ、ペロと舌先が私の肌を味わっている。忘れかけていた熱が顔を出し始めた。
「常葉の体から出るもんが何で汚いんだよ。大人しくしろ、落ちるぞ」
「汚いですよっ、汗ですよ! 汗っ。ああんっ、やぁ」
「いい声を、出すじゃないか」
「歳三さん」
土方の眼の奥が光った。男の眼だ。でも、五稜郭のときに私を抱いたときの眼とは違う。今思えばあのときは、とても悲しそうな顔をしていた。
「湯を、沸かしてある。風呂に入れ」
「え、歳三さんがお風呂を入れたんですか! 水を汲んで溜めたんですか! 体、痛かったでしょう」
「俺はもうこの通り、問題ない」
「歳三さん……」
土方がほんの一瞬、切なげに瞳を揺らした。こんな体になっても、生きていることが辛いのかもしれない。まともに動かない体、私に頼らなければ生きていけない現状を悲しんでいるのかも、しれない。
「行くぞ。なんだ、その顔は」
「その顔とはなんですか」
「ここに皺を入れるんじゃねえよ。仕方がねえな、背中でも流してやるか」
土方はここと言いながら私の眉間を人差し指でつついた。私はすぐに顔に出てしまっていけない。
「そんな、歳三さんにはお手間取らせませんから。大丈夫です。一人で入ります。それより歳三さんが先に入ったらどうですか。きれいなお湯で体を流したほうがいいです」
「俺はお前のために風呂を入れたんだぞ。ああ、分かった。そういうことか」
土方はにやりと笑って勝手に何かを納得してしまう。
(この笑い、何か企んでるときの顔よね!)
*
確かこの風景、初めてではない。ぽちゃんと水面が弾んで、私は土方の腕の中に囚えられてしまった。私は土方と湯船に浸かっていた。
「あの、歳三さん。これは、どういう」
「一緒に浸かれば、二人とも一番風呂だろ。俺はなんもしてないが、お前はひと仕事したあとだからな。ちゃんと体を温めないとだめだぞ。女は冷やしちゃいけねえって」
「歳三さん、ありがとうございます」
今は土方が言うように甘えておこうと、その逞しい胸に顔を寄せた。小さくお湯がうねり、それが私の肩に何度も滴った。冷やさないようにと土方が片手で湯をすくって掛けてくれている。
私は目を閉じた。
「寝てもいいぞ。ちゃんと部屋まで連れて行ってやる」
「寝ませんよ。こんな幸せな時間を過ごしているんですから。寝たくないです」
「そうかよ」
それから二人で体を洗いあった。背中にまで到達している土方の傷。これは一生残ると思う。そして、この土地の冬が土方の体を痛めつけるかもしれない。
「常葉」
「はい」
「今夜はお前を抱かせろ」
「はい。え! えっ」
「なんだその顔は。そろそろ限界だ。毎晩お前は俺に、可愛い寝顔を晒しやがって、何度喰っちまおうかって思ったか。知らねえだろ」
「し、知りません……でした」
湯で体を流すと土方が私の手を引いて立ち上がった。
繋がれた手がじんじんしていた。
夕餉も食べずにこんな事になるなんて、本当に思ってもみなかった。土方は私を布団に寝かせ、その上からじっと私を見ている。そして、土方は手で私の頬に触れた。
「あの晩は、悪かったと思っている。俺から引き離すために、お前の女の心を利用した。けど、そんなふうにしてでもお前を抱きたかった。俺に捨てられたと、苦しかっただろう」
「歳三さん、わたしっ」
「よく生きて戻ってきたな」
土方はそう言って私の髪を何度も梳いた。私は今にも泣きそうな土方の顔を見て、撫でるその手を掴んで引き寄せた。その手のひらに口づけをして、自分の頬に擦り付けた。
「歳三さんの遺言に、答えられなくてごめんなさい。でも、諦めたくなくてっ……私は歳三さんを逝かせたくなかった。これで、よかったですか。無理にこの世にとどめてしまって……。本当は私も一緒に逝けば」
「常葉。莫迦なことを言うんじゃねえ。よかったよ……この世に残れて、良かったさ」
「うっ、としぞうさぁん! 戻ってきてくれてっ、ありがとうございます」
私は泣いた。土方の命を救ったことを後悔したこともあった。なかなか癒えぬ傷、いつまでも下がらぬ熱は土方を随分と苦しめた。私は土方に、生き地獄を与えているのではないかと思ったからだ。
「おい。泣かすために押し倒したんじゃねえぞ。まあ、鳴かすには違いないんだがな」
「もぅ……」
土方が優しく微笑んだ。温かみのあるその笑みに胸が熱くなる。もう私は小姓じゃない。土方の女としてこの時を迎えるんだ。そう思うと我慢ができなくなって、土方を引き寄せ薄い唇を奪った。
「んっ、は、あっ。歳三さん」
「女になりやがって」
「あなたの、あなたの女ですよ。あなたの好きにしてください」
そう言うと土方はぎゅっと眉間に皺を寄せた。鋭い眼光を私に向ける。
「後悔するなよ。俺はどうもしつこいらしいからな」
「あ、ふっ……ん」
土方は私の着物を適当に広げ、無骨な手で私の体を撫で回した。出会ったときよりも、ふっくらとした私の体を確認しているようにも思える。
「あっ、や」
「ちゃんと気持ちよくしてやる。あの晩よりも、もっとな。お前の弱いところは知っている。吸われる方がいいんだろ……あん?」
「あっああっ。そんな、いっぺんにっ。はぁん」
「いいぞ。声は我慢するな」
土方は私の乳房を咥えて吸ったり舌で舐ったりする。それだけでも十分にいいのに、反対の乳房まで揺らされ先端も摘まれ、私の息は上がりっぱなしだ。
「そろそろ頃合いか……」
「やっ、待って下さい。そこは、ああっ」
迷うことなく土方は私の下肢へ手を伸ばし、濡れそぼった窪みに指を差し込んだ。痛くはないけれど、自分でも驚くほどに体が反応をしてしまう。
「待たせすぎたか。お前、凄いことになっているぞ。指を食いちぎるつもりか」
「ああんっ、やだっ、やぁ。お腹が勝手に……ん、あん。止まらないっ、わたし、おかしくて」
「おかしくない。最高の反応だろ……男にはたまんねえよ。こいつが、誘っている」
「あっ、あっ、あっ」
うまく言葉が紡げない。土方の指が私の胎内で蠢いて、とても恥ずかしい音を鳴らし続けている。
「まだキツいな。けど、俺もそろそろ収まりたいんだよ。常葉の中に」
「あっ、ん。き、来てっ、くださ……あっ」
土方が突然、私の脚の間に顔を埋めた。次の瞬間、声が出せないほどの激しい悦が私を襲った。腰がおかしいくらいに揺れ始めて、自分から脚を大きく開いていた。手で土方の頭を押さえるけれど、まったく力が入らない。
「常葉。随分と良さそうだな」
「な、舐めっないで! もう、いいです。あ、ああっ! 止まらない……いやぁぁ」
ビクン、ビクンと揺れて尻が浮いた。中からあり得ないほど何かが溢れ出る。
(わたし……大変なことをしてっ)
「派手に達したな」
「ごめんなさい。わたし、こんなことっ」
腰のあたりまで敷布が濡れているのが分かった。私は子供みたいな粗相をしてしまったのだ。羞恥で涙が溢れた。土方に顔を見せられず、両手で隠すことしかできなかった。
「うっ、ううっ」
「何で泣くんだ。もしかしてお前、やっぱ知らねえのか……だよな。知るわけねえよな」
「ううっ、うわぁぁん。ごめんなさい、ごめんなさい」
土方は泣きわめく私を横になって抱きしめてくれた。額に口付けをして、鼻先を私の顔に擦り付けてきた。
(なんで、甘えているの……)
「お前は俺の女として最高の反応をしてくれたんだよ。今からもっと善くしてやるから、覚悟しろ」
「えっ、え……」
土方がもう一度、私の脚の間に割り込んできた。両足の膝裏を持ち上げる。そして、
「入るぞ」
ずんっと、重い衝撃が私を貫いた。
「あっ……っああ!」
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