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番外編~出港~
熱い夜に弾ける
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結婚式を巡視船の上で行い、披露宴は海が見えるホテルで参列客をもてなした。若手海上保安官たちは余興で上半身裸になり、なんとボディビルダーの真似をしてみせた。それには新婦側の独身女性たちは悲鳴をあげた。もちろん、喜びの悲鳴だ。とにかく新郎側の男臭いことといったらなかった。順番に高砂に来てお祝いの言葉を贈るのだけど、必ずお酒を一杯飲まされる。それが何人も続く者だから海音は気が気じゃない。もちろん、酒を飲むのは勝利で海音がすすめられることはなかった。でも……。
「ショウさん、大丈夫? ここ、下に」
「ん? ああ。適当に躱すよ、ありがとう」
高砂のテーブルの下にはバケツが用意されてあり、こっそりそこに飲み残しを入れられるようになっている。まともに全部飲んでいたら、さすがの勝利も倒れてしまう。
(バケツ、ひとつじゃ足りないかも……)
そんな心配をしながらも気づけば宴もたけなわ。筋肉を披露した男たちも、浴びるほど酒を煽った男たちもビシッとスーツを整えて、凛々しい海上保安官へと戻っていた。
「嘘みたいに、もとに戻ってる」
「ケジメだけはしっかりしてるだろ。多分な、警察官や消防、それに自衛隊も似たようなもんさ。こういう世界の嫁さんになってしまったんだが……よかったか?」
「ぷっ。いまさらやない? 覚悟は出来ています」
「そうか」
最後の挨拶を済ませ、参列客の見送りをした。耳がキーンと鳴りそうなほどホールは静まり返っている。祭りのあとのほんの少し寂しい空気が二人を包んだ。
「新郎様、新婦様、お着替えに」
「はい」
翌日に新婚旅行を控えているため、二次会はやらない事にした。友人同士できっと飲みに行くのだろう。そこで新たな出会があれば良いなと海音は密かに思う。海の男はいいものよとすでに宣伝済で、友人たちも乗り気だったのを思い出す。
「ふふっ」
「なんだよ。気持ち悪いな」
「あ、ごめっ。いい出会いがあるといいなぁって、お友達のこと考えてた」
「ああ。そうだな、あるといいな」
二人は外に続くエントランスを見ながら友の良き出会いを願った。そして向き合って、見つめ合って、笑う。幸せを噛み締めながら。
□
「うわぁー。見て見て、ショウさーん」
「海音? どこにいる、海音」
「ここ、ここっ。海と街の夜景が両方見えて綺麗よ」
「こんなところにいたのかっ」
披露宴をしたホテルからスイートルーム一泊がお祝いとして贈られ、二人はこれからその部屋で寛ぐところだった。着替えも済ませ、お風呂も終わりあとは寝るだけのガウン姿で海音は出窓に登って夜景を見ているところ。そこは船の船首のように先が尖っていて、対局する窓から二通りの景色が見えるようになっている。
「今日来れなかった人たちだったりして」
「ん? 巡回してるかって?」
「分からんけど、言ってみただけ。ほら、船の灯りが」
「じゃあ、見せつせてやるか」
「え? あっ、ちょっ」
窓の外を見るために一段高いところに座っていた海音が振り返ると、そのまま勝利が被さってきた。海音の背中が窓に当たると、勝利はガウンの腰紐をスルリと解いてすぐさまその胸に顔を埋めた。
「やっ、ショウさん、んー」
「夜景、見ていていいぞ」
「えっ……ひゃん」
胸の谷間を勝利の舌が上から下に滑って行った。思わず海音は仰け反る。窓の外、その先にキラと小さな星が瞬いた。
「ぁ……星が光ってる」
「ん?」
勝利も顔を上げ窓の外を見上げた。決して明るくはない星だけど、私はここに居るよとチカチカ一生懸命に光らせているように見えた。海から遥か彼方に存在する星は何光年、何万光年という気が遠くなる単位で離れている。もう今は存在しないかもしれない。それでもその光は今、ここに届いている。
「小さな光なのに、見てると元気になるね」
勝利は仰け反った海音の肩に腕を回して背中を支えながら、その星を見つめた。
「自然て凄いよな。人間にはとうてい敵わないよ。あの光がここに届くまで、どんだけの年月がかかってるんだろな。人間が存在しなかった時代から輝いているのかもしれない」
「うん。そして、もうあの星は存在しないかもしれない」
「海音」
「はい」
勝利は海音の躰を起こして元のように座らせた。出窓に座ったお転婆な嫁は勝利の肩に手を置いた。勝利はそんな嫁の腰を自分の躰に引き寄せてピタリと隙間なく抱きしめた。こうして抱き合えることは奇跡なのかもしれない。心が通じ合うこと、そして共に生きることさえ神の導きのように思える。そんなふうに思える日がくるなんて、勝利自身が一番驚いていた。
「どちらかが死ぬまで、離れない。いいな」
「イヤだ」
「っ、嫌って言うなよ」
「死ぬまでじゃない。死んでも離れんよ。追いかけたりはしないけど、その時が来たらショウさんの所に行くけん」
「……俺が先に逝くのが前提、か」
「んふふ。普通はそうやろ? 女の人は長生きするんよ。私が年上やったらよかったのにね。そこがちょっと残念。だから、長生きしてよ。オレンジのお猿さん」
「ああ、分かって……。今、オレンジのお猿さんって、言ったか」
「んー、記憶にございません」
「そうか、そうか。だったら思い出してもらうまでだ。猿の嫁さん」
勝利はそのまま海音を抱え上げると、くるりと回れ右をした。そのままクイーンサイズのベッドにドッブーンと飛び込んだ。
「ふわぁ。跳ねるね」
「このお転婆が。じっくり可愛がってやる。新婚初夜だからな、覚悟しろ」
海音は明日から旅行だしと訴えてみたけれど、何のために夜便にしたんだよと言われてしまう。これも勝利の罠なのかしらと思ってしまう海音。でも、大好きな勝利から求められるのは嬉しい。こうなったら徹底的に迎え撃つからと腹をくくった。
「んっ、ショウさん。明日起きれなかったらおんぶして行ってね」
「まかせとけって」
もう既に暴かれていた海音の躰は勝利の手によって桜色に染まっていく。お化粧を落とした花嫁はいつもの勝利が知った顔。でも、今夜からは違う。
(俺の嫁さん)
恋人ではなく妻となった12歳も年下の可愛い女。勝利の下から潤んだ瞳がくるんと見上げてくる。十分に大人の女なのに、時々見せるあどけなさが勝利の胸を激しく焦がす。
「あっ、ん。ショウさん……舐めて」
「どこを舐めて欲しいんだ。言わないと分からないな」
分かっているけれど、どうしても言わせたい。イイ所は全部知っている。知っているけど分からないふりをする困ったオレンジさん。海音も今夜はいつもと違う。恋人ではなくなったこの男は自分の夫だ。硬い絆で結ばれて法律でも結ばれたから、恥ずかしいことなんて何もない。どんな自分でも勝利は受け入れてくれる、大切にしてくれる。だから、
「イジワルね。……おっぱい舐めて、いっぱい舐めっ、っあんんっ!」
勝利が口を開いて赤い舌を出し、その舌先で海音の乳房の赤い実をベロリと下から舐った。想像通りの感触に海音は躰を震わせた。生温いそれが触れた跡がとても熱い。何度か転がすように舐めたあとそれを口の中に吸い込んだ。
「ああっ……はんっ。ショウさっ、ん。……ちイイ。気持ち、イイッ」
いつも以上に感じていると海音は自覚している。もう遠慮は要らない、自分が望めば勝利の昂りはいつでも満たしてくれる。
「やっ、あん……もうっ、やぁ」
「いやぁ、か? それとも他に要望があるのか。あるなら言えよ、全力で応える」
大人の余裕を見せる勝利も本当は全然余裕はない。今すぐにでも海音の中に入りたい、海音に抱きしめられて果てたい。でも、今夜は初夜だから花嫁の要求は全て呑みたい、格好つけたい。海音は少し躊躇いを見せるものの、勝利に溺れた躰は我慢ができなった。
「ココも触ってほしいと」
「ん。じゃあ開くんだな」
「ふ、あぁ」
海音の脚を開き、その間に勝利が躰を入れた。両膝裏を抱え上げると海音が触ってほしいと望む場所がある。そこへ無骨な男の指が触れる。触れただけでトプトプと溢れる愛の雫に勝利は思わず目を閉じた。今まで何度も触れたし何度も進入してきた場所。つっぷりと指を沈めると海音は胸を突き出して鳴き、そこをきゅうきゅうと締め付けた。
「海音? もしかして今ので」
「やぁ、聞かないで」
(イッちゃったの、ショウさんの指入れられただけで、イッちゃった)
言わないでと顔を手で覆う海音の姿に勝利は白旗を上げる。
「降参だ! くそぅ、んな可愛いことしやがって。挿れるぞ、いいか」
うん、と頷いたのを確認して勝利は避妊具に手を伸ばした。夫婦とは言え同意なしにそのままを挿れるわけにはいかない。すると、気配を察した海音が躰を起こした。
「なんだ、海音がつけてくれるのか」
「いいよ。今夜はつけん、でいい」
「……なに!」
海音は勝利の手から避妊具を抜き取ってナイトテーブルの上に置いた。その行動に脳が反応しなかった勝利は固まったまま。
「ちょっと、ショウさん。ぷっ、ふはっ。びっくりせんでもいいやん。あ、それとも嫌だったとか」
「違う!」
「ひっ」
「嫌なわけないだろう。いいのか、避妊しなくて。このまま海音の中に入ってもいいのか」
「うん。ショウさんとの赤ちゃん、いつでも歓迎」
その言葉を聞いて勝利は堪らず海音の躰を抱きしめた。嬉しくて嬉しくて、どう表現したらいいか分からない。自分との子供を望んでくれている、それだけで全てを受け入れられたような気がした。
「ありがとう」
それが精一杯。ゆっくりと海音の躰をベッドに押し倒して、自分が入る場所に口を寄せた。まを開けてしまったけれどそこは十分に潤ったままだった。それでも丁寧に今からはいるよと愛撫をした。
「あっ、ん。ショウ……さん。勝利、さん」
「海音……っ、海音」
隔たりなく勝利のそれは海音の中へ導かれた。硬く滾ったそれは溢れる愛に包まれて難なく入っていった。きゅ、きゅとランダムに抱きしめられたり、膣癖で撫でられる度に勝利は悶絶した。海音の名前を呼んで奥歯を食いしばって、自身を最奥へ送り込んで耐えた。海音は大きく広げた脚の片方を勝利の腰に巻きつけて、挿入に合わせて腰を浮かした。もっと遠慮なく来ていいのに、いつもこの瞬間はとても優しい。
「ぁ……ふ、ああっ」
「まだイクなよ」
「ん」
ピンと張られたシーツが波を作る。海音は勝利に振り落とされまいと首に腕を絡めた。突かれる度に子宮がうねり、引かれるごとに隘路が逃すまいと抱きしめる。ポタリ、と勝利の汗が海音の胸の谷間に落ちた。引き締った口元、眉間の歪み、盛り上がった肩の筋肉、海音の躰を支える逞しい腕。そして、熱を放つ太い腰に海音の胸がキュンと鳴く。
(今は、私だけのオレンジヒーロー)
「あっ、あっ……もうっ」
「海音っ」
『一緒に!!』
ー ピンポパンポーン♪ お客様にお知らせいたします。成田行き……は、間もなく搭乗を開始いたします。
「ショウさん、成田での乗り換え時間てあると?」
「ああ、3時間もあるぞ」
「よかった」
「どうした」
「だって、速歩きできんちゃもん」
ぷうっと膨れる海音。まさか本当に腰が辛くなるとは思わなかった。同じ態勢でいるのが正直辛い。
「背負ってやるぞ?」
「やだよ。恥ずかしいやんっ」
愛されすぎるのも限度がある。二人はこれから成田に移動して、南の島へ新婚旅行だ。瑠璃色の海が見たい! 海音の願いを叶えるために日本の裏側へ向かって出発する。
(そこは流石に飛行機だけどね!)
「ショウさん、大丈夫? ここ、下に」
「ん? ああ。適当に躱すよ、ありがとう」
高砂のテーブルの下にはバケツが用意されてあり、こっそりそこに飲み残しを入れられるようになっている。まともに全部飲んでいたら、さすがの勝利も倒れてしまう。
(バケツ、ひとつじゃ足りないかも……)
そんな心配をしながらも気づけば宴もたけなわ。筋肉を披露した男たちも、浴びるほど酒を煽った男たちもビシッとスーツを整えて、凛々しい海上保安官へと戻っていた。
「嘘みたいに、もとに戻ってる」
「ケジメだけはしっかりしてるだろ。多分な、警察官や消防、それに自衛隊も似たようなもんさ。こういう世界の嫁さんになってしまったんだが……よかったか?」
「ぷっ。いまさらやない? 覚悟は出来ています」
「そうか」
最後の挨拶を済ませ、参列客の見送りをした。耳がキーンと鳴りそうなほどホールは静まり返っている。祭りのあとのほんの少し寂しい空気が二人を包んだ。
「新郎様、新婦様、お着替えに」
「はい」
翌日に新婚旅行を控えているため、二次会はやらない事にした。友人同士できっと飲みに行くのだろう。そこで新たな出会があれば良いなと海音は密かに思う。海の男はいいものよとすでに宣伝済で、友人たちも乗り気だったのを思い出す。
「ふふっ」
「なんだよ。気持ち悪いな」
「あ、ごめっ。いい出会いがあるといいなぁって、お友達のこと考えてた」
「ああ。そうだな、あるといいな」
二人は外に続くエントランスを見ながら友の良き出会いを願った。そして向き合って、見つめ合って、笑う。幸せを噛み締めながら。
□
「うわぁー。見て見て、ショウさーん」
「海音? どこにいる、海音」
「ここ、ここっ。海と街の夜景が両方見えて綺麗よ」
「こんなところにいたのかっ」
披露宴をしたホテルからスイートルーム一泊がお祝いとして贈られ、二人はこれからその部屋で寛ぐところだった。着替えも済ませ、お風呂も終わりあとは寝るだけのガウン姿で海音は出窓に登って夜景を見ているところ。そこは船の船首のように先が尖っていて、対局する窓から二通りの景色が見えるようになっている。
「今日来れなかった人たちだったりして」
「ん? 巡回してるかって?」
「分からんけど、言ってみただけ。ほら、船の灯りが」
「じゃあ、見せつせてやるか」
「え? あっ、ちょっ」
窓の外を見るために一段高いところに座っていた海音が振り返ると、そのまま勝利が被さってきた。海音の背中が窓に当たると、勝利はガウンの腰紐をスルリと解いてすぐさまその胸に顔を埋めた。
「やっ、ショウさん、んー」
「夜景、見ていていいぞ」
「えっ……ひゃん」
胸の谷間を勝利の舌が上から下に滑って行った。思わず海音は仰け反る。窓の外、その先にキラと小さな星が瞬いた。
「ぁ……星が光ってる」
「ん?」
勝利も顔を上げ窓の外を見上げた。決して明るくはない星だけど、私はここに居るよとチカチカ一生懸命に光らせているように見えた。海から遥か彼方に存在する星は何光年、何万光年という気が遠くなる単位で離れている。もう今は存在しないかもしれない。それでもその光は今、ここに届いている。
「小さな光なのに、見てると元気になるね」
勝利は仰け反った海音の肩に腕を回して背中を支えながら、その星を見つめた。
「自然て凄いよな。人間にはとうてい敵わないよ。あの光がここに届くまで、どんだけの年月がかかってるんだろな。人間が存在しなかった時代から輝いているのかもしれない」
「うん。そして、もうあの星は存在しないかもしれない」
「海音」
「はい」
勝利は海音の躰を起こして元のように座らせた。出窓に座ったお転婆な嫁は勝利の肩に手を置いた。勝利はそんな嫁の腰を自分の躰に引き寄せてピタリと隙間なく抱きしめた。こうして抱き合えることは奇跡なのかもしれない。心が通じ合うこと、そして共に生きることさえ神の導きのように思える。そんなふうに思える日がくるなんて、勝利自身が一番驚いていた。
「どちらかが死ぬまで、離れない。いいな」
「イヤだ」
「っ、嫌って言うなよ」
「死ぬまでじゃない。死んでも離れんよ。追いかけたりはしないけど、その時が来たらショウさんの所に行くけん」
「……俺が先に逝くのが前提、か」
「んふふ。普通はそうやろ? 女の人は長生きするんよ。私が年上やったらよかったのにね。そこがちょっと残念。だから、長生きしてよ。オレンジのお猿さん」
「ああ、分かって……。今、オレンジのお猿さんって、言ったか」
「んー、記憶にございません」
「そうか、そうか。だったら思い出してもらうまでだ。猿の嫁さん」
勝利はそのまま海音を抱え上げると、くるりと回れ右をした。そのままクイーンサイズのベッドにドッブーンと飛び込んだ。
「ふわぁ。跳ねるね」
「このお転婆が。じっくり可愛がってやる。新婚初夜だからな、覚悟しろ」
海音は明日から旅行だしと訴えてみたけれど、何のために夜便にしたんだよと言われてしまう。これも勝利の罠なのかしらと思ってしまう海音。でも、大好きな勝利から求められるのは嬉しい。こうなったら徹底的に迎え撃つからと腹をくくった。
「んっ、ショウさん。明日起きれなかったらおんぶして行ってね」
「まかせとけって」
もう既に暴かれていた海音の躰は勝利の手によって桜色に染まっていく。お化粧を落とした花嫁はいつもの勝利が知った顔。でも、今夜からは違う。
(俺の嫁さん)
恋人ではなく妻となった12歳も年下の可愛い女。勝利の下から潤んだ瞳がくるんと見上げてくる。十分に大人の女なのに、時々見せるあどけなさが勝利の胸を激しく焦がす。
「あっ、ん。ショウさん……舐めて」
「どこを舐めて欲しいんだ。言わないと分からないな」
分かっているけれど、どうしても言わせたい。イイ所は全部知っている。知っているけど分からないふりをする困ったオレンジさん。海音も今夜はいつもと違う。恋人ではなくなったこの男は自分の夫だ。硬い絆で結ばれて法律でも結ばれたから、恥ずかしいことなんて何もない。どんな自分でも勝利は受け入れてくれる、大切にしてくれる。だから、
「イジワルね。……おっぱい舐めて、いっぱい舐めっ、っあんんっ!」
勝利が口を開いて赤い舌を出し、その舌先で海音の乳房の赤い実をベロリと下から舐った。想像通りの感触に海音は躰を震わせた。生温いそれが触れた跡がとても熱い。何度か転がすように舐めたあとそれを口の中に吸い込んだ。
「ああっ……はんっ。ショウさっ、ん。……ちイイ。気持ち、イイッ」
いつも以上に感じていると海音は自覚している。もう遠慮は要らない、自分が望めば勝利の昂りはいつでも満たしてくれる。
「やっ、あん……もうっ、やぁ」
「いやぁ、か? それとも他に要望があるのか。あるなら言えよ、全力で応える」
大人の余裕を見せる勝利も本当は全然余裕はない。今すぐにでも海音の中に入りたい、海音に抱きしめられて果てたい。でも、今夜は初夜だから花嫁の要求は全て呑みたい、格好つけたい。海音は少し躊躇いを見せるものの、勝利に溺れた躰は我慢ができなった。
「ココも触ってほしいと」
「ん。じゃあ開くんだな」
「ふ、あぁ」
海音の脚を開き、その間に勝利が躰を入れた。両膝裏を抱え上げると海音が触ってほしいと望む場所がある。そこへ無骨な男の指が触れる。触れただけでトプトプと溢れる愛の雫に勝利は思わず目を閉じた。今まで何度も触れたし何度も進入してきた場所。つっぷりと指を沈めると海音は胸を突き出して鳴き、そこをきゅうきゅうと締め付けた。
「海音? もしかして今ので」
「やぁ、聞かないで」
(イッちゃったの、ショウさんの指入れられただけで、イッちゃった)
言わないでと顔を手で覆う海音の姿に勝利は白旗を上げる。
「降参だ! くそぅ、んな可愛いことしやがって。挿れるぞ、いいか」
うん、と頷いたのを確認して勝利は避妊具に手を伸ばした。夫婦とは言え同意なしにそのままを挿れるわけにはいかない。すると、気配を察した海音が躰を起こした。
「なんだ、海音がつけてくれるのか」
「いいよ。今夜はつけん、でいい」
「……なに!」
海音は勝利の手から避妊具を抜き取ってナイトテーブルの上に置いた。その行動に脳が反応しなかった勝利は固まったまま。
「ちょっと、ショウさん。ぷっ、ふはっ。びっくりせんでもいいやん。あ、それとも嫌だったとか」
「違う!」
「ひっ」
「嫌なわけないだろう。いいのか、避妊しなくて。このまま海音の中に入ってもいいのか」
「うん。ショウさんとの赤ちゃん、いつでも歓迎」
その言葉を聞いて勝利は堪らず海音の躰を抱きしめた。嬉しくて嬉しくて、どう表現したらいいか分からない。自分との子供を望んでくれている、それだけで全てを受け入れられたような気がした。
「ありがとう」
それが精一杯。ゆっくりと海音の躰をベッドに押し倒して、自分が入る場所に口を寄せた。まを開けてしまったけれどそこは十分に潤ったままだった。それでも丁寧に今からはいるよと愛撫をした。
「あっ、ん。ショウ……さん。勝利、さん」
「海音……っ、海音」
隔たりなく勝利のそれは海音の中へ導かれた。硬く滾ったそれは溢れる愛に包まれて難なく入っていった。きゅ、きゅとランダムに抱きしめられたり、膣癖で撫でられる度に勝利は悶絶した。海音の名前を呼んで奥歯を食いしばって、自身を最奥へ送り込んで耐えた。海音は大きく広げた脚の片方を勝利の腰に巻きつけて、挿入に合わせて腰を浮かした。もっと遠慮なく来ていいのに、いつもこの瞬間はとても優しい。
「ぁ……ふ、ああっ」
「まだイクなよ」
「ん」
ピンと張られたシーツが波を作る。海音は勝利に振り落とされまいと首に腕を絡めた。突かれる度に子宮がうねり、引かれるごとに隘路が逃すまいと抱きしめる。ポタリ、と勝利の汗が海音の胸の谷間に落ちた。引き締った口元、眉間の歪み、盛り上がった肩の筋肉、海音の躰を支える逞しい腕。そして、熱を放つ太い腰に海音の胸がキュンと鳴く。
(今は、私だけのオレンジヒーロー)
「あっ、あっ……もうっ」
「海音っ」
『一緒に!!』
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「ショウさん、成田での乗り換え時間てあると?」
「ああ、3時間もあるぞ」
「よかった」
「どうした」
「だって、速歩きできんちゃもん」
ぷうっと膨れる海音。まさか本当に腰が辛くなるとは思わなかった。同じ態勢でいるのが正直辛い。
「背負ってやるぞ?」
「やだよ。恥ずかしいやんっ」
愛されすぎるのも限度がある。二人はこれから成田に移動して、南の島へ新婚旅行だ。瑠璃色の海が見たい! 海音の願いを叶えるために日本の裏側へ向かって出発する。
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