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そして始まる二人の物語ー本編ー
まだまだ係留希望です。
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海音が目を覚ますと部屋はしんと静まり返り、カーテンの隙間から朝日がフローリングを照らしている。サイドテーブルの目覚ましは8時をさしていた。勝利はすでに出勤済みだ。
「また、勝利さんにヤられた」
気怠い躰を起こし、うーんと伸びをした。パジャマは着ているが、乱れた胸元には勝利が残した俺のモノが昨夜の情事を思い出させる。海音はその痕を指でつつきながら、暫くは消えない俺のモノに頬を緩めた。
「しつこくて熱苦しい海の男かぁ。ふふ、凄い人を捕まえちゃった」
ベッドから抜け出すと、ダイニングテーブルにおにぎり、ウインナーと目玉焼き、そして温めるようにとお味噌汁があることを示すメモ書きが置かれてあった。見た目とは逆で、家事も出来るちょっと訳ありバツイチの男。ベランダには洗濯物も掛かっている。
「これも訓練の賜物ってこと?」
勝利の仕事にあまり詳しくない海音はときどき聞かされる勝利の昔話を思い出していた。なんとなく、単なる海の警察官ではなさそうな事は最近少し感じている。
「いただきます」
勝利が作った朝食を食べながら、せめて掃除くらいはしてあげよう。そんなことを考えながら。
◇
掃除をすると言っても、掃除機をかけるだけで終わってしまう。男の一人暮らしだからかごちゃごちゃた小物はないし、キレイに整理整頓されてある。あっという間に終わった掃除に拍子抜けして、ぼんやりと寝室に置かれた本棚を眺めていた。
「どんな本を読むとかいな」
42歳の男はどんな本を好むのかという好奇心に、隠されていないから見ても大丈夫だろうと言い訳をして海音は本棚に手を伸ばした。
「エロ本出てきたらどうしよう。あってもおかしくはないよね。健康すぎる男子やもん……見らんかったことにすれば」
独身の健康な男ならあって当たり前、当たり前なんだと言い聞かせながら目についた書籍を端から手に取った。
出動!○○○レスキュー隊
警視庁○○捜査官の日常
気象予報士になるために
海洋科学
海上自衛隊の役割
戦える身体の作り方
「え? なにこれ。仕事に関することばっかり」
一番上のガラス扉を開けると、表彰された時の記念のたてや勲章が飾られてあった。その隣に写真立てが一つ。オレンジ色に染められたその写真には厳つい男たちが並んでいた。第三管区海上保安本部羽田特殊救難基地と文字が入っている。
オレンジ色のツナギの制服に同じくオレンジ色のベレー帽を被った集団。海上保安庁が誇る特殊救難隊、通称特救と呼ばれる男たち。
「じっくり見たことなかったけど、この中に勝利さんもおるとよね」
何度か通っているこの部屋は、愛されるばかりで勝利の仕事の話もこれまでの功績も聞いたことがなかった。知っているのは巡視船に乗って指揮を取る凛々しい船長ということだけだ。海洋生物の研究をしてきた海音も、少なからずお世話になった事のある機関。今後もお世話になるかもしれない。だったら勝利の仕事の事をもっと知るべきではないかと海音は思った。
「あ、見つけた。勝利さん若い! かっこいい!」
日焼けした浅黒い肌が任務の過酷さを物語っているように思えた。それに、そんなに今と変わりない。一線から離れてもトレーニングを欠かさないのは、元特殊救難隊としての意地と誇りなのかもしれない。
「他にもっと写真ないのかな。海猿? だっけ。その時代の写真とかさ。ダイビングスーツ着てるのとか」
時間が経つのも忘れ、海音は勝利の部屋で一日を過ごした。海を護る男の事が知りたくて、その男が学んだ全てを片っ端からなぞるように辿った。人間の身体の仕組みから宇宙に至るまでそれはとても幅広く、気づけば睡魔に抗えず眠ってしまった。若かりし日の勝利の姿を想像しながら……。
◇
ふと、目を開けたとき目に飛び込んできたのは今朝見た風景と同じで、カーテンの隙間から陽が射しこんでフローリングに線を描いていた。
「あれ?」
躰を起こすと海音はベッドに寝ていた事に気づく。確か自分はたくさんの本に埋もれていたはずだ。眠くなったまでは覚えているけれど、ベッドに潜っていたとは思わなかった。
(本が! 片付いてるっ。なんで!?)
「眠れる海の美女はお目覚めか」
「ひゃっ!」
低い男の声にビクリと跳ねた海音は、その声のする方へ視線を向けた。もちろんそれが誰の声なのかは分かっている。
「勝利さん。あれ? お仕事は?」
「言わなかったか。今日は早上がりだ」
「ぁ、だったっけ」
という事は、フローリングで本に埋もれたまま寝てしまった自分を勝利がベッドまで運び、散らかした本はこれまた勝利がもとの棚にキレイに元に戻したと言う事になる。
「ごめんなさい!」
「おっ、なんだ。なんで謝る」
「勝手に本を広げて、そのまま寝て。しかも、散らかしたまま」
「ああ、勉強熱心で感心していた。気に入った本があったなら持って行ってもいいぞ」
「怒らないの? 勝手に触ったんよ?」
「見られて困るものなんてないし、それに海音なら構わない。そりゃ破壊行為さらたんなら別だが」
「破壊行為とか、せんし」
ギシッとベッドが軋んだ。勝利は海音の隣に座り、寝起きの可愛らしい女にキスをした。長い睫毛を震わせてそれを受ける海音を見ると、抑えきれない感情が溢れてくる。女の存在がこの年になるまで心地いいと思うことがなかった。女って本来は男を癒してくれる貴重な存在で、なによりも海音は俺にとって最高のっ! と、感極まりつつあった。
「しょうさっ。く、苦しい」
「ん!? ああ、すまん」
力いっぱい、抱きしめていた。
「勝利さんは私に甘すぎるよ。怒っていいとよ? テリトリーに入るなって。いくら恋人同士でも守らなければならないものがあるでしょう。まぁ、勝手に見た私が言う言葉じゃないんやけどね」
「海音なら構わないと言っただろ」
勝利の太い腕が再び海音を抱きしめた。今度は優しく、いつでも解ける強さで。どうしてこんなに甘いのかと、海音は思った。これが年上の余裕なのか、それとも一度家庭を持った事が経験となっているからなのか。
(好き。初めて会った時から勝利さんのこの腕も、広くて分厚い背中も、少し強引なところも、全部好き)
「それじゃ、我儘な女になる」
「ならないだろ。海音はならない」
「なにその自信」
「で、なんの勉強をしていたんだ? 海保の女は何を知りたかったんだよ」
勝利は海音の頬を親指の腹で二、三撫でると本棚に視線を戻した。勝利の仕事のことをもっと知りたい。いや、勝利の過去を、自分の知らないトッキュー時代の、もっと言えばそれ以前に遡って知りたかった。
「海上保安庁のお仕事のこと」
「だったら俺に聞けば早いだろう」
「教えてくれるの?」
「ああ」
「何でも?」
「海音?」
貴方のことは全部知りたいの、とはまだ言えなかった。だから抱きついて、抱きしめて、今の勝利は自分のものだと心の中で訴えた。前の奥さんには負けない! と。
「じゃあ、海猿時代の話をして? ねえ、何で海猿って言うと?」
「海猿という言葉はもともとなかった。俺の時代は潜水士としか言わなかった」
「ええっ! そうなの!」
「ほら、ドラマとか映画で脚光を浴びただろ。海上保安庁の海難救助にあたる男たちの話で、地獄の特訓して潜水士になっていくやつ」
「うん」
「あのドラマで海猿という言葉が生まれた。制作者が海の中でも機敏に動ける猿って例えたとかなんとか」
「知らなかった」
「すごいよな、マスコミの力って。今じゃ普通に使われてる」
「へぇ」
因みに、特殊救難隊が発足した昭和50年から現在に至るまで殉職者はいないのだとか。自然災害にも対応する彼らは誰一人死なずに救助に当たっているのだ。
「俺達が死んだら、誰が助ける。俺達が諦めたら、そこで全てが終わってしまう。だから殉職できないんだ」
「家で待ってる人もいるしね」
「……まあ、な」
勝利は少しだけ言葉を濁らせて「夕飯はなにがいい」と立ち上がってリビングに向かった。過去を話すという事は、曾て持っていた家庭にも繋がる。苦い思い出はまだ海音に話す勇気がなかった。ただ一つだけ心に誓うのは、同じ過ちは二度と犯さないこと。
「お昼食べ損ねたから、ガッツリ食べたいなぁ」
「おい、飯は抜かすなよ。体の基本だぞ」
「はーい」
避けては通れないものだけれど、今はまだこの甘ったるい時間を過ごしたい。勝利も海音も心の中ではそう思っていた。
「また、勝利さんにヤられた」
気怠い躰を起こし、うーんと伸びをした。パジャマは着ているが、乱れた胸元には勝利が残した俺のモノが昨夜の情事を思い出させる。海音はその痕を指でつつきながら、暫くは消えない俺のモノに頬を緩めた。
「しつこくて熱苦しい海の男かぁ。ふふ、凄い人を捕まえちゃった」
ベッドから抜け出すと、ダイニングテーブルにおにぎり、ウインナーと目玉焼き、そして温めるようにとお味噌汁があることを示すメモ書きが置かれてあった。見た目とは逆で、家事も出来るちょっと訳ありバツイチの男。ベランダには洗濯物も掛かっている。
「これも訓練の賜物ってこと?」
勝利の仕事にあまり詳しくない海音はときどき聞かされる勝利の昔話を思い出していた。なんとなく、単なる海の警察官ではなさそうな事は最近少し感じている。
「いただきます」
勝利が作った朝食を食べながら、せめて掃除くらいはしてあげよう。そんなことを考えながら。
◇
掃除をすると言っても、掃除機をかけるだけで終わってしまう。男の一人暮らしだからかごちゃごちゃた小物はないし、キレイに整理整頓されてある。あっという間に終わった掃除に拍子抜けして、ぼんやりと寝室に置かれた本棚を眺めていた。
「どんな本を読むとかいな」
42歳の男はどんな本を好むのかという好奇心に、隠されていないから見ても大丈夫だろうと言い訳をして海音は本棚に手を伸ばした。
「エロ本出てきたらどうしよう。あってもおかしくはないよね。健康すぎる男子やもん……見らんかったことにすれば」
独身の健康な男ならあって当たり前、当たり前なんだと言い聞かせながら目についた書籍を端から手に取った。
出動!○○○レスキュー隊
警視庁○○捜査官の日常
気象予報士になるために
海洋科学
海上自衛隊の役割
戦える身体の作り方
「え? なにこれ。仕事に関することばっかり」
一番上のガラス扉を開けると、表彰された時の記念のたてや勲章が飾られてあった。その隣に写真立てが一つ。オレンジ色に染められたその写真には厳つい男たちが並んでいた。第三管区海上保安本部羽田特殊救難基地と文字が入っている。
オレンジ色のツナギの制服に同じくオレンジ色のベレー帽を被った集団。海上保安庁が誇る特殊救難隊、通称特救と呼ばれる男たち。
「じっくり見たことなかったけど、この中に勝利さんもおるとよね」
何度か通っているこの部屋は、愛されるばかりで勝利の仕事の話もこれまでの功績も聞いたことがなかった。知っているのは巡視船に乗って指揮を取る凛々しい船長ということだけだ。海洋生物の研究をしてきた海音も、少なからずお世話になった事のある機関。今後もお世話になるかもしれない。だったら勝利の仕事の事をもっと知るべきではないかと海音は思った。
「あ、見つけた。勝利さん若い! かっこいい!」
日焼けした浅黒い肌が任務の過酷さを物語っているように思えた。それに、そんなに今と変わりない。一線から離れてもトレーニングを欠かさないのは、元特殊救難隊としての意地と誇りなのかもしれない。
「他にもっと写真ないのかな。海猿? だっけ。その時代の写真とかさ。ダイビングスーツ着てるのとか」
時間が経つのも忘れ、海音は勝利の部屋で一日を過ごした。海を護る男の事が知りたくて、その男が学んだ全てを片っ端からなぞるように辿った。人間の身体の仕組みから宇宙に至るまでそれはとても幅広く、気づけば睡魔に抗えず眠ってしまった。若かりし日の勝利の姿を想像しながら……。
◇
ふと、目を開けたとき目に飛び込んできたのは今朝見た風景と同じで、カーテンの隙間から陽が射しこんでフローリングに線を描いていた。
「あれ?」
躰を起こすと海音はベッドに寝ていた事に気づく。確か自分はたくさんの本に埋もれていたはずだ。眠くなったまでは覚えているけれど、ベッドに潜っていたとは思わなかった。
(本が! 片付いてるっ。なんで!?)
「眠れる海の美女はお目覚めか」
「ひゃっ!」
低い男の声にビクリと跳ねた海音は、その声のする方へ視線を向けた。もちろんそれが誰の声なのかは分かっている。
「勝利さん。あれ? お仕事は?」
「言わなかったか。今日は早上がりだ」
「ぁ、だったっけ」
という事は、フローリングで本に埋もれたまま寝てしまった自分を勝利がベッドまで運び、散らかした本はこれまた勝利がもとの棚にキレイに元に戻したと言う事になる。
「ごめんなさい!」
「おっ、なんだ。なんで謝る」
「勝手に本を広げて、そのまま寝て。しかも、散らかしたまま」
「ああ、勉強熱心で感心していた。気に入った本があったなら持って行ってもいいぞ」
「怒らないの? 勝手に触ったんよ?」
「見られて困るものなんてないし、それに海音なら構わない。そりゃ破壊行為さらたんなら別だが」
「破壊行為とか、せんし」
ギシッとベッドが軋んだ。勝利は海音の隣に座り、寝起きの可愛らしい女にキスをした。長い睫毛を震わせてそれを受ける海音を見ると、抑えきれない感情が溢れてくる。女の存在がこの年になるまで心地いいと思うことがなかった。女って本来は男を癒してくれる貴重な存在で、なによりも海音は俺にとって最高のっ! と、感極まりつつあった。
「しょうさっ。く、苦しい」
「ん!? ああ、すまん」
力いっぱい、抱きしめていた。
「勝利さんは私に甘すぎるよ。怒っていいとよ? テリトリーに入るなって。いくら恋人同士でも守らなければならないものがあるでしょう。まぁ、勝手に見た私が言う言葉じゃないんやけどね」
「海音なら構わないと言っただろ」
勝利の太い腕が再び海音を抱きしめた。今度は優しく、いつでも解ける強さで。どうしてこんなに甘いのかと、海音は思った。これが年上の余裕なのか、それとも一度家庭を持った事が経験となっているからなのか。
(好き。初めて会った時から勝利さんのこの腕も、広くて分厚い背中も、少し強引なところも、全部好き)
「それじゃ、我儘な女になる」
「ならないだろ。海音はならない」
「なにその自信」
「で、なんの勉強をしていたんだ? 海保の女は何を知りたかったんだよ」
勝利は海音の頬を親指の腹で二、三撫でると本棚に視線を戻した。勝利の仕事のことをもっと知りたい。いや、勝利の過去を、自分の知らないトッキュー時代の、もっと言えばそれ以前に遡って知りたかった。
「海上保安庁のお仕事のこと」
「だったら俺に聞けば早いだろう」
「教えてくれるの?」
「ああ」
「何でも?」
「海音?」
貴方のことは全部知りたいの、とはまだ言えなかった。だから抱きついて、抱きしめて、今の勝利は自分のものだと心の中で訴えた。前の奥さんには負けない! と。
「じゃあ、海猿時代の話をして? ねえ、何で海猿って言うと?」
「海猿という言葉はもともとなかった。俺の時代は潜水士としか言わなかった」
「ええっ! そうなの!」
「ほら、ドラマとか映画で脚光を浴びただろ。海上保安庁の海難救助にあたる男たちの話で、地獄の特訓して潜水士になっていくやつ」
「うん」
「あのドラマで海猿という言葉が生まれた。制作者が海の中でも機敏に動ける猿って例えたとかなんとか」
「知らなかった」
「すごいよな、マスコミの力って。今じゃ普通に使われてる」
「へぇ」
因みに、特殊救難隊が発足した昭和50年から現在に至るまで殉職者はいないのだとか。自然災害にも対応する彼らは誰一人死なずに救助に当たっているのだ。
「俺達が死んだら、誰が助ける。俺達が諦めたら、そこで全てが終わってしまう。だから殉職できないんだ」
「家で待ってる人もいるしね」
「……まあ、な」
勝利は少しだけ言葉を濁らせて「夕飯はなにがいい」と立ち上がってリビングに向かった。過去を話すという事は、曾て持っていた家庭にも繋がる。苦い思い出はまだ海音に話す勇気がなかった。ただ一つだけ心に誓うのは、同じ過ちは二度と犯さないこと。
「お昼食べ損ねたから、ガッツリ食べたいなぁ」
「おい、飯は抜かすなよ。体の基本だぞ」
「はーい」
避けては通れないものだけれど、今はまだこの甘ったるい時間を過ごしたい。勝利も海音も心の中ではそう思っていた。
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