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第200話 再会
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とうとう200話。皆様ありがとうございます。
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □
『久しいね、友よ』
パチリとつながった後、脳裏に響く声は〝あいつ〟の声だ。
俺がこの世界で最初に出会ったよくわからない存在。
地底でペークシスに封じられ、文明が滅んだために意味もなく閉じ込められていたあいつ。
名をというので俺の〝真理雄〟から取って〝真理〟と名付けられた源理の獣。始まりの獣。
日本で言うところの龍に近い、三対六枚の翼と六対の腕を持った足のない龍。しかもこいつの手は宇宙世紀の誘導兵器みたいに浮遊しているのだ。
デザイン的にとってもGood。
別に会いたくなかったわけではないのだけど、ここでこいつが出てくるということは、あのグージェルに供給されている力がこいつの力ということなんだろうな。
いくら何でも一匹の魔獣の力で世界が変わることはないだろうと高をくくっていたけど、たった一匹がそんな力を引き出せるなんてことはないだろうと高をくくっていたけれど、こいつが直接出てくるとなるとあながち笑ってもいられない。
本当に世界の改編とかありえそうで怖い。
『うむ、さもありなんだ。だがこの場合大した問題ではない。あの魔獣は源理力の流れとつながって、その力を自身の存在に利用しているが、要はラインを変えてしまえばいいのだ。そうすれば大した問題はなくなる。世界への悪影響もなくなるだろう』
おっ、なんだ、簡単に対処方法が見つかったな。
これからクエストバンバン出てきて間に合うかーみたいな話になるのかと思ったんだけど。
いや、ひょっとして流れを変える方法が大変なのかな?
『いや、そうでもないさ』
そうなの? よかった。
力の流れる先をお前に切り替えるだけだ。
・・・・・・そう来たか。
◇・◇・◇・◇
問題はそれによっておこる影響だな。
俺自身にどんな悪影響があるか。
『いや、大したことはないと思うぞ。お前は既に魔力回路があって、魔力炉がそこに存在している。もともと源理力とつながっていて、高純度の魔力を生成し続けているんだ。
対してあの魔物は魔力炉なしで源理力をくみ上げているからな。力に耐えられず、原型を維持することも知性を維持することもできなくなっている。
そのままにする方が悪影響だろう』
まあ、それはそうか。
『それに一回穴が開いてしまったからな。力の影響はどうしてもなしとはいくまいよ。
まあ、噴火のようなものだからいずれは流量も先細りになって収まっていくのではあるのだが』
それってどれぐらいかかるんだ?
『そうだな、創世のころの経験からすると…3000年ぐらい? 短いぞ』
だめだー、こいつタイムスパンが長すぎる。
『だからお前につなぐのがいいのだよ、お前なら魔力回路があるから垂れ流しということはなくなるし、逆に世界に流し込むこともできるだろう。
多分』
多分はやめろ。
まあ、でもどちらにせよ拒否はできない感じか?
悪影響がなければどうでもいいんだけど。
大丈夫?
『ふむ、今までの状態が少し強化されるぐらいかな。魔力の最大出力が上がるだろう?
魔力の純度が上がるだろう? そのぐらいだ。
ほれ、最初にあったあそこと同じような感覚で生きていけるぞ』
いや、それは全然うれしくないよ、眠らなくてもよくて食事も必要ないとか何が楽しいやら。
『それはなくてもいいだけで別にそうする必要はないぞ。それに…』
れに?
『いらない力なら戻してしまえばいいんだ』
なるほど。ではある。
問題はあの魔族が無計画に源理力をまき散らすのが問題で、制御できるものが抑える分には大した問題はないということだな。
そしてその力を無理して使う必要もない。
使わないなら送り返してしまえばいいわけだ。
そうなると断るというわけにもいかないか。
『そう言ってくれると思ったよ。神代の昔でもないのだ。世界の構造自体を不安定にするあんな力が野放しになるとまずいのだ。
それなら古代文明のように〝魔力として使おう〟の方がましな発想と言えるな。
まあ、付き合う気はないけど』
そんな会話をしながら俺は周囲を見回している。
懐かしい相手だ。できるなら姿を見たい。
だがここにあるのはクレーターだけで〝真理〟の姿はみえない。
そもそもどこから声が聞こえてくるのか?
『お前の中からだな』
ドクンと何かが脈打った。
そうか、最初からラインは繋がっていたわけだ。
その瞬間力が流れ込んでくる。
俺は言ってみれば水道の蛇口で、流量を絞ればなんも問題はないわけだ。
ただ、これって…
「ちょっときつくね?」
『まあ、出力が高いからな、抑えるのもちょっと大変かもしれない』
いや、ちょっとどころじゃねえし。
『大丈夫、大丈夫。お前ならできるよ』
こりゃ、帰るのに少し時間がかかりそうだ。
◇・◇・◇・◇ side イアハート
「おや、どうしたのかね?」
うごめき増殖を続けていたグージェルが急におとなしくなったね。
というか今度は縮んでないかい?
外周部から力が抜けて、まるで崩れるように、パラパラと、灰みたいに崩壊していくよ。
マリオン殿はうまくやったみたいだね。
砦のほうもそいつが見えているんだろう、歓声が上がっている。
だけどそいつはちょっと早いかね。
外側がどんどん崩れていく分、内側に力が集まっているようだ。
おそらく力の供給が切れたから自身を再構築して最適化するつもりなのかね…
いや、つもりなんてのはないのかもしれない。本能かね。
まるでどうするのが適切なのかわかっているみたいに。
中にいるやつが外に飛び出して来たら…ちょっと大事になるかもしれないね。
さて、マリオン殿、早く帰ってきておくれ。あたしじゃちと手に負えない感じだよ。
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『久しいね、友よ』
パチリとつながった後、脳裏に響く声は〝あいつ〟の声だ。
俺がこの世界で最初に出会ったよくわからない存在。
地底でペークシスに封じられ、文明が滅んだために意味もなく閉じ込められていたあいつ。
名をというので俺の〝真理雄〟から取って〝真理〟と名付けられた源理の獣。始まりの獣。
日本で言うところの龍に近い、三対六枚の翼と六対の腕を持った足のない龍。しかもこいつの手は宇宙世紀の誘導兵器みたいに浮遊しているのだ。
デザイン的にとってもGood。
別に会いたくなかったわけではないのだけど、ここでこいつが出てくるということは、あのグージェルに供給されている力がこいつの力ということなんだろうな。
いくら何でも一匹の魔獣の力で世界が変わることはないだろうと高をくくっていたけど、たった一匹がそんな力を引き出せるなんてことはないだろうと高をくくっていたけれど、こいつが直接出てくるとなるとあながち笑ってもいられない。
本当に世界の改編とかありえそうで怖い。
『うむ、さもありなんだ。だがこの場合大した問題ではない。あの魔獣は源理力の流れとつながって、その力を自身の存在に利用しているが、要はラインを変えてしまえばいいのだ。そうすれば大した問題はなくなる。世界への悪影響もなくなるだろう』
おっ、なんだ、簡単に対処方法が見つかったな。
これからクエストバンバン出てきて間に合うかーみたいな話になるのかと思ったんだけど。
いや、ひょっとして流れを変える方法が大変なのかな?
『いや、そうでもないさ』
そうなの? よかった。
力の流れる先をお前に切り替えるだけだ。
・・・・・・そう来たか。
◇・◇・◇・◇
問題はそれによっておこる影響だな。
俺自身にどんな悪影響があるか。
『いや、大したことはないと思うぞ。お前は既に魔力回路があって、魔力炉がそこに存在している。もともと源理力とつながっていて、高純度の魔力を生成し続けているんだ。
対してあの魔物は魔力炉なしで源理力をくみ上げているからな。力に耐えられず、原型を維持することも知性を維持することもできなくなっている。
そのままにする方が悪影響だろう』
まあ、それはそうか。
『それに一回穴が開いてしまったからな。力の影響はどうしてもなしとはいくまいよ。
まあ、噴火のようなものだからいずれは流量も先細りになって収まっていくのではあるのだが』
それってどれぐらいかかるんだ?
『そうだな、創世のころの経験からすると…3000年ぐらい? 短いぞ』
だめだー、こいつタイムスパンが長すぎる。
『だからお前につなぐのがいいのだよ、お前なら魔力回路があるから垂れ流しということはなくなるし、逆に世界に流し込むこともできるだろう。
多分』
多分はやめろ。
まあ、でもどちらにせよ拒否はできない感じか?
悪影響がなければどうでもいいんだけど。
大丈夫?
『ふむ、今までの状態が少し強化されるぐらいかな。魔力の最大出力が上がるだろう?
魔力の純度が上がるだろう? そのぐらいだ。
ほれ、最初にあったあそこと同じような感覚で生きていけるぞ』
いや、それは全然うれしくないよ、眠らなくてもよくて食事も必要ないとか何が楽しいやら。
『それはなくてもいいだけで別にそうする必要はないぞ。それに…』
れに?
『いらない力なら戻してしまえばいいんだ』
なるほど。ではある。
問題はあの魔族が無計画に源理力をまき散らすのが問題で、制御できるものが抑える分には大した問題はないということだな。
そしてその力を無理して使う必要もない。
使わないなら送り返してしまえばいいわけだ。
そうなると断るというわけにもいかないか。
『そう言ってくれると思ったよ。神代の昔でもないのだ。世界の構造自体を不安定にするあんな力が野放しになるとまずいのだ。
それなら古代文明のように〝魔力として使おう〟の方がましな発想と言えるな。
まあ、付き合う気はないけど』
そんな会話をしながら俺は周囲を見回している。
懐かしい相手だ。できるなら姿を見たい。
だがここにあるのはクレーターだけで〝真理〟の姿はみえない。
そもそもどこから声が聞こえてくるのか?
『お前の中からだな』
ドクンと何かが脈打った。
そうか、最初からラインは繋がっていたわけだ。
その瞬間力が流れ込んでくる。
俺は言ってみれば水道の蛇口で、流量を絞ればなんも問題はないわけだ。
ただ、これって…
「ちょっときつくね?」
『まあ、出力が高いからな、抑えるのもちょっと大変かもしれない』
いや、ちょっとどころじゃねえし。
『大丈夫、大丈夫。お前ならできるよ』
こりゃ、帰るのに少し時間がかかりそうだ。
◇・◇・◇・◇ side イアハート
「おや、どうしたのかね?」
うごめき増殖を続けていたグージェルが急におとなしくなったね。
というか今度は縮んでないかい?
外周部から力が抜けて、まるで崩れるように、パラパラと、灰みたいに崩壊していくよ。
マリオン殿はうまくやったみたいだね。
砦のほうもそいつが見えているんだろう、歓声が上がっている。
だけどそいつはちょっと早いかね。
外側がどんどん崩れていく分、内側に力が集まっているようだ。
おそらく力の供給が切れたから自身を再構築して最適化するつもりなのかね…
いや、つもりなんてのはないのかもしれない。本能かね。
まるでどうするのが適切なのかわかっているみたいに。
中にいるやつが外に飛び出して来たら…ちょっと大事になるかもしれないね。
さて、マリオン殿、早く帰ってきておくれ。あたしじゃちと手に負えない感じだよ。
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