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第27話 異世界の街並み

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■ 鈴木真理雄。異世界に落っこちてきた。現在、異世界を探索中。
■ 〝あいつ〟無限炉の中で会った存在。真理雄に魔法を伝授した。
■ ネム。獣族の女の子、ものすごい美少女。白虎の特徴を持つ
■ ミルテア・大地母神ステルアの神官。ハーフエルフ。ものすごい巨乳。司祭様。

■ ロイド。重剣士、自分の身長と同じぐらいの剣を持つ。
■ リリ。ロイドにくっついている魔法士。お色気いっぱいのお姉さん。

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 ターリは開拓のための町だということでかなり新しい。
 現在も町の中は建築が進んでいるところが結構ある。

 この町の景観は一言でいうとファンタジー風だ。
 建築中のところを見る限り木造の骨組みに土壁のようなものを塗って作っていくらしい。
 三階建て、四階建てが普通にあってデザインはヨーロッパの建造物からとがったところを取った感じになる。
 そして全体的に前後に波打つような曲線を多用していてなかなか美しい見た目をしている。

 そして驚いたことにガラスのようなものがよくつかわれている。

 俺たちが歩いていたのは門から続く中央通りで、当然両脇にあるのは商店が多く、そこには大きなとまではいかないが枠で区切られたガラスのショーウィンドウがあって外の景色を映していたりする。

 俺はそのうちの一つのガラスに映ったものを見て立ち止まった。

 そこには男がいた。青年だ。
 二十歳前ぐらい…いや、もう少し若いだろうか…ちょっと精悍な感じの男だった。
 やせてはおらず、太ってもおらず、形の良い筋肉が全身を形作っている。

 髪の色は磨き抜かれた鉄のような色で。目が深い蒼まるで宇宙のようだ。

 しかもどこかで見たことのあるような顔だった。
 と言うか俺だった。
 若い頃の。

 そう、そこにはまるで鏡のような窓があったのだ。

「どうかしました?」

「い…いいえ、なんでも、しばらく鏡とか見る機会がなかったので…自分の顔を忘れていただけです」

「変なマリオンさん」

 ネムちゃんと当たり障りのない会話。
 その裏で高速で思考する。

 するとすぐに落ち着いてきた。

 まあ、全ての原因はあの極限状態の半年間のせいだろう。
 まともに食事などを取らず魔力かすみを食って生きていた。
 まさにそういう状況だった。

 なら余分な肉が落ちて引き締まるのは当然だ。
 回復魔法で身体を維持し続けてきたわけだが、余分なものを作る余裕なんかなかっただろうから常に最適化されていたと考えられる。
 ならこの引き締まった身体も若返りも納得がいく。

 髪色や目の色は多分だが源理力バーストで変質したのだろう。知らんけど。

「まあ、間違いなく自分だな」

 若い頃の自分から贅肉を取って筋肉質にし、精悍さをアップさせるこんな感じだろう。
 確かに自分だという確信はある。
 なら良いか。

 ちょっと吃驚したが考えてみたら不思議でもなんでもない。
 異世界の景色に比べれば何ほどもないと俺は考えを切り換えた。

 さて、現在俺が歩いているのは門からつづく中央通りでたぶん目抜き通りというヤツなんだが、残念なことにこの町はあまり計画的に作られてないように見える。
 行き当たりばったりで建物を作っているような感じなのだ。

 俺たちがいるのは冒険者街と呼ばれるエリアだそうで、冒険者ギルドがあって、その周辺に冒険に必要なあれやこれやを売る店がある。

 ショーウィンドウを持つ店は表通りの店だけで、一歩裏に入ると商品が店からはみ出し歩道の方までのさばっているような店が多い。
 全体的にレトロ商店街という雰囲気で何か楽しい。

 それでもところどころガラス使われていて、この世界の建築技術は決して低くはないと思う。

 ちょっと叩いてみよう。
 コンコン。

「マリオンさんは晶板が珍しいですか?」

ですか…」

「はい。晶土という土を良く練って、不純物を取り除いて、焼くとそうなるんです、混ぜる者によって鏡になったり、色つきになったりおもしろいんですよ~」

 なるほど。異世界素材というやつだな。
 触ってみると確かにガラスのような冷たさはなく、むしろ焼き物のような暖かみがあるのだ。
 これは確かに違う物なのだろう。

 クスクス笑う二人に先導されて道を行く。行く先は冒険者ギルドだ。
 そこでもろもろ報告をして、俺は冒険者登録をする。
 これも物納でいけるらしい。

 しかし、ラノベなんかだとみんなイケイケでやってるけど異世界って微妙にハードル高いよな。
 俺の他にもおっこってきた奴らがいるとしたらどうしているのやら…

 どんっ!

「あっ、失礼」

「いや、こちらこそ」

 考え事をしていたら二人連れの男女にぶつかってしまった。
お互いに会釈をして別れるが、内心はびっくりしていた。

 二人の感じからたぶん夫婦ものだと思うのだが、コロボックルかと思ったのだ。

 人族ではないと思う。身長は俺の胸に届かないぐらい。

 男は筋肉質でがっしりした体形、長い髪を縛り、ひげを編み込んでいる。
 女性の方は髪が豊かで、上手にまとめている。
 そしてなぜかアイヌ風の服を着ている。

「ドワーフの夫婦ですね」

「え? あれが?」

 マジでコロボックルかと思った。
 そうか、あれがドワーフか…西洋風ではないがかえってこの方が違和感がないな。
 
「この町は人族と獣族が多いんですけどドワーフは人がいて、何かが作られている場所には必ずいますから…」

 やはりそういう種族か…
 現在はいろいろなものが建築されていて、しかも北の大地の探索などで武器防具も大量に必要なためにたくさんのドワーフが住み着いているらしい。

「ドワーフの人はみんな物作りが得意な人達で、大地の妖精族と異名を取るだけあって、大地からもたらされる物の加工にはとても優れた力を発揮するんですよ~」

 つまり金属鉱石の加工や、宝石の加工、石材の加工、建築などだ。
 なので彼等が仕事をする場合鍛冶士、細工師、建築技師のようなものになる。
 しかも見た目からは想像もつかないような力持ちで、スキルと合わさるとほぼ無敵。
 何に対して無敵かというと建築現場に対して無敵。

 それはそれでよしである。

 よく見ると建築現場でメインで働いているのはドワーフが多く、人族や獣族はその下で人足ような仕事をしてる。
 モノづくりにおいてドワーフは中心的な役割を持たされているようだ。

「ほかにはどんな人たちがいるのかなあ…」

 それは気になるよね。

「そうですね…この町だと少ないですけどエルフとか…」

「ああ、ミルテアさんとかですね」

「うーん、ちょっと違いますね。ミルテアさんを基準してはダメだと思います。エルフは基本ぺったんこです。ミルテアさんはハーフエルフですから、見た目はずいぶん違いますよ」

「そうですよ、あんな貧相なのと一緒にしないでください。
 大体人を見るたびにハーフエルフ、混じり物ってバカにするけど、絶対ぺったんこをひがんでいるだけです。そうに決まってるんです」

 何か複雑なものがエルフとハーフエルフの間にはあるらしい…うん、ここはさわらぬ神にたたりなしだな。

「あと、この町では見たことはありませんがフリューゲルという種族もいます。大きな翼をもった種族ですけど…ちょっと協調性が足りないというか…」

「ネムちゃんそれははっきり言っちゃっていいと思うよ、あいつらは魔法が得意な種族で、他の種族を見下しているんです。性格悪いんだから」

 なんにせよしょせん人間、いろいろあるということだ。
 種族に関してだが獣族が結構議論の的になったりするらしい。

 獣の特徴を持った人間というのはみんな同じなんだが、狼系や犬系、虎系や猫系。牛系もいるし馬系も兎系もいる。これを同じ種族とするか違う種族とするか、学者たちが論争を繰り広げているとか…
 学者という生き物はそういう生き物だからね、どうでもいいことに全力で理屈をつけるのが学者だから仕方ないのだ。

「あっ、ここが冒険者ギルドですよ」

 とかやっているうちについてしまった。
 今俺の前に冒険者ギルドのでっかい建物がどどーんと!

 うん、かなり立派。
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