女の子が異世界に

オウガ

文字の大きさ
上 下
8 / 74

第6話

しおりを挟む
「グカアアアア!」
部屋に入るとそこには2メイル(4メートル)オーガがいた。
ボルクさんの言った通りのデカさだ。
唯一違うのは角の色、ボルクさんいわく黒い角で武器の素材にはいいと言っていたが目の前にいるオーガの角は綺麗な朱色だった。魔王復活疑惑があった為暫くモンスター狩りをしていなかったのが原因と思われるとアイリーンさんが呟いた。


「……強いわね…こいつ」
「新垣殿もそう思いますか…」
私の呟きをボルクさんが効いていたらしく意見を聞いてきた。
「今の力で勝てると思いますか?」
「…………おそらく大鳥君達には無理だと…」
暫く考え込み返事をすると馬鹿(大鳥君達)がオーガに突撃していた。

「おぉおおりゃぁぁぁ、喰らえぇぇ!【火刃撃】」
轟君が剣技スキルの【火刃撃】をくりだした。剣の刃に火をまとわせて斬りつける。
斬られながら火で焼かれるスキル。
オーガは持っている棍棒で弾き返し、すかさず右ストレートを繰り出し轟君を吹っ飛ばした。
オーガの放った拳が伸びき立たところで井上さんの魔法がオーガの顔に直撃した。

「これでもくらいなさい!【氷矢】」
「ゴア!」
文字通り氷の矢を4つ程だし攻撃した。

「茜、ナイス!行くぜ!【四連斬り】!」
大鳥君がチャンスとばかりにオーガに向かって剣技スキルを発動させた、が残念な事にチャンスではないのだ。
井上さんの攻撃は当たっているがすぐに砕けてしまう氷だしオーガは全然効いてる気配すらない。

「やめろ!無理に突っ込むな!」
ボルクさんが必死に叫ぶが時すでに遅し、思いっきりオーガの棍棒の攻撃に横っ腹を打たれた。
大鳥君は左中間ヒット、盛大に飛んでいき壁にめり込んだ。
「ぐあァァァ!」
私以外の人が大鳥君の名をさけび、ボルクさんとアイリーンさん、海部君そして私だけはその場に留まりオーガの動きを警戒していたが他の人は大鳥君に駆け寄った。
「秀一!しっかりしろ!今出してやる!水無月さん回復頼む!」
「任して!【快復快気・ハイヒール】」
「秀一君!秀一君しっかり!」
南川君が壁から大鳥君を引っ張り出し、水無月さんが回復スキルを使い回復させ、井上さんが祈る様に声をかけ、轟君と桑原さんは青ざめた表情で大鳥君を見ていた。

「グガアアアアァァァァ!!」
オーガはまるで勝利したと言わんばかりに叫んでいる。
ボルクさんとアイリーンさんが大鳥君達を守るようにオーガとの間に立ち海部君は私の隣に来て指示を聞いてきた。
「新垣さん、これからどうする?逃げるにしても大鳥君気絶してるし……二人であいつ倒しちゃおっか…なんて、無理に決まってるけど、僕足が震えてダメなんだ。なんとか新垣さんのとこまで来れたけど…ひぃ!」
青ざめた顔無理に笑いながら話してきた。
その時つぎの獲物!と言わんばかりにオーガが私達をみて、向かってきた。
「グゥゥ……ガァァ!」
「う、うわぁぁぁぁ」
海部君はオーガに見られたことで動揺したのか魔術師スキルを発動させようとするが動揺しすぎて発動しなかった。

「……仕方ないなぁ」
慌てる海部君を横目に剣を構え迎え撃つ。
「海部君!ちょっと離れてて!」
海部君を突き飛ばし左から来る棍棒の攻撃を剣で受け止め、武器のぶつかる音と風が周りにひろがるり、足下が割れた。
鍔迫り合い(上から押さえつけられてる)でオーガの動きを止め魔法を発動させる。
「火よ、……敵を穿て!火玉!」
かねてより練習していた詠唱短縮でオーガとの間に火玉を一つ爆発させ、距離を取り全身を使ってオーガに迫り渾身の一撃をくりだした。

「グキャァァァ!」
渾身の一撃はオーガの右足から左腹にかけて深く斬りつけた。
反動を使って今度は右腹から左太ももまでXになるように斬りオーガの背後にまわった。
「ギィ!ギィガァァァァ!」
背後に回られたことに気づいたのか、はたまたただ錯乱したのか棍棒を振り回しあばれている。
もう一度棍棒を受けようとしたが直感的に先ほどまでとは様子が違うことに気づき海部君がいる場所まで下がった。

「新垣さん!大丈夫!?」
「「新垣殿!」」
海部君、ボルクさん、アイリーンさんの三人が心配してくれた。
いつも間にか轟君、南川君、桑原さんは今の対峙を観ていたのか、ありえない。嘘だろ!と言った顔で人のことを見ていた。
「新垣さん!少しだけど回復スキル使うから待ってて!……【快気・ヒール】」
海部君の杖から暖かい光が送られてきた。
「ありがとう。海部君、もう平気」
海部君おかげでHPを回復させられた。


一方、一通り暴れ狂い終わったのか、オーガの動きが遅くなったが、先程とは違っていた。
オーガの角は輝きを増しきれいな緋色になり体の色は緑から黒に近い深緑に、そして宿敵のごとく私を見ていた。
「グゥゥ、グガァァァァァァァァァァァ!!」
最初よりも強く大気が震えるほど叫んび、私に向かってきた。
「ひ、ひぃぃ!」
叫び声で起きたのか大鳥君が悲鳴をあげた。
「い、いやだ!死にたくねぇ!お、おい!海部!お前囮になれ!その間俺は逃げる!」
「え?あ!うわ!」
大鳥君は海部君をオーガに向かって突き飛ばし、轟君達を引き連れて部屋の扉を目指した。
「あ、あああぁぁぁぁ!」
海部君は私とオーガの間に突き飛ばされ転び、今にもオーガに踏み殺されそうになっていた。


………このままでは間にか合わない
オーガに向かって突き飛ばされた為、オーガの方が海部君に近く剣で海部君を守る事が出来ないと判断した私はこの世界で手にした力と先祖返りによって手にしていた力を使うことにした。

「…主よ、神の御加護を。そしていでよ、我が魂に宿りし力よ!」
この世界で手にした能力、冥加。
神様に祈る事で結界を作りあらゆる攻撃を防ぐことができるが1日に数回しか使えない。
回数は能力者の信仰によって異なる。
                                                                        
私が元々持っていた力は神の剣、神剣と純白の鎧を身に纏える力
私の遥か昔の先祖は中世フランスの聖女、ジャンヌ・ダルクがいたとかいないとか?
私の名前のDはダルク。
新垣・ダルク・美樹





この世界の力で海部君をオーガの攻撃から守り、踏み殺せないことに憤りを感じているオーガの懐に飛び込み神剣を心臓にクルトカラン国にもらった剣を口にねじ込みオーガに声を出させることなく倒した
。海部君にかけた能力を解き手を差し出す。
「海部君、もう平気だよ。立てる?」
「へ?う、うん。ありがとう、新垣さん」
彼を引っ張り起こし力の放出を止め元の姿に戻しとりあえずヒヒイロガネの剣とオーガの角をアイテムボックス(自分で研究してつくった魔法の一つ)に入れ、オーガの解体を始めた。

ちなみにアイリーンさんとボルクさんは海部君を助けようとしていたけど轟君と南川君に止められ大鳥君達に連れられて部屋を出ているので私の能力と力を知るのは海部君だけだ。
「……ねぇ、新垣さん」
「何?」
四肢と落とし心臓を取り出し、少し血抜きをしてると海部君がおそるおそる聞いてきた。
「僕がオーガに踏み殺されなかったのって新垣さんが何かしたからだよね?さっきの鎧といい新垣さんどんな力をもってるの?」

首を傾げ左手の人差し指を顎に当て上目遣いで聞いてきた。
……多分これで私が幼女趣味だったならば完全に堕とされていた。
「ん~。ナイショ!……さて、そろそろ戻ろっか」
「え~!教えてくれてもいいじゃない。…あ!まってよぉ~」
エリアボスのオーガを倒して私と海部君は地上に戻るべく部屋を出たのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

元兵士その後

ラッキーヒル・オン・イノシシ
ファンタジー
王国の兵士だったダンは5年間所属した王国軍を退団することにした。元々、実家からの命で軍に入隊していたが、ここでの調べ物が終わったのと丁度よく堂々と暗殺されかけた事実があったため、団長へと除隊嘆願書を提出して軍を去ることにしたのだ。元兵士となったダンは次の行き先を目指す。「まずは東かな……」  自覚あまりなしの主人公の話となります。基本物理でなんとかする。魔法ありの世界ですが、魔法はちょっと苦手。なんだかんだと仲間が集まってきますが、その仲間達はだいたい主人公の無茶ぶりに振り回されることとなります。  それと書いていませんでしたが不定期更新となります。温かい目で更新をお待ちください。 *小説家になろう様にて公開を始めました。文章を読みやすく修正したりしていますが、大筋では変えておりません。 小説家になろう様にてネット小説大賞にエントリーしました。

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

虚無からはじめる異世界生活 ~最強種の仲間と共に創造神の加護の力ですべてを解決します~

すなる
ファンタジー
追記《イラストを追加しました。主要キャラのイラストも可能であれば徐々に追加していきます》 猫を庇って死んでしまった男は、ある願いをしたことで何もない世界に転生してしまうことに。 不憫に思った神が特例で加護の力を授けた。実はそれはとてつもない力を秘めた創造神の加護だった。 何もない異世界で暮らし始めた男はその力使って第二の人生を歩み出す。 ある日、偶然にも生前助けた猫を加護の力で召喚してしまう。 人が居ない寂しさから猫に話しかけていると、その猫は加護の力で人に進化してしまった。 そんな猫との共同生活からはじまり徐々に動き出す異世界生活。 男は様々な異世界で沢山の人と出会いと加護の力ですべてを解決しながら第二の人生を謳歌していく。 そんな男の人柄に惹かれ沢山の者が集まり、いつしか男が作った街は伝説の都市と語られる存在になってく。 (

2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件

後藤蓮
ファンタジー
生まれてから12年間、東京にすんでいた如月零は中学に上がってすぐに、親の転勤で北海道の中高一貫高に学校に転入した。 転入してから直ぐにその学校でいじめられていた一人の女の子を助けた零は、次のいじめのターゲットにされ、やがて引きこもってしまう。 それから2年が過ぎ、零はいじめっ子に復讐をするため学校に行くことを決断する。久しぶりに家を出る決断をして家を出たまでは良かったが、学校にたどり着く前に零は突如謎の光に包まれてしまい気づいた時には森の中に転移していた。 これから零はどうなってしまうのか........。 お気に入り・感想等よろしくお願いします!!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

おっさんの神器はハズレではない

兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

処理中です...