【短編集】おとなし男子の悪役転生!ヒロインとか興味ないので筋トレしてたら、恋愛フラグが乱立してたみたいです。

弥生ちえ

文字の大きさ
上 下
15 / 17
4.ヒロインとか興味ないので筋トレしてたのに、呪物な3箱が届いたんですが。

『王族箱』? 『くしゃみ箱』!? 『生足箱』ーーー!!!

しおりを挟む

 しかも、個数も一個から三個に、装飾も可愛らしい包装紙だけからド派手な宝石やリボン付きのラッピングにパワーアップして!!

「っくしゅん!」

 ほら見ろ! 箱から声が聞こえたぞ!? こんな呪物は速やかに警邏隊へ提出だ!

 白地に水色の小花模様が散った包装紙に包まれて、銀糸で編んだ細いリボンが幾つも重ねて結んである箱。――いや、『くしゃみ箱』を抱え上げる。

「きゃわわっ!」

 ほらみろ、やっぱ中に誰か居るし。

「拾得物は警邏隊だ。うん、そうしよう」

 細やかな決意を固めたところで、よいしょっと箱を持ち上げる。

「ふわわわわっ!」

 白い箱から、俺には無縁なフジョシの声がするが聞こえないぞ! 一刻も早く警邏隊へ引き渡して、俺の穏やか筋トレライフに戻るんだ!!

 真ん中の小さな箱は、特に物音もしないけど、これも怪しい。

 俺宛にはなってるけど、豪華すぎるんだよ! 紙じゃなくて、艶々キラキラした布に包んであるんだけど!? しかも、宝石を縫い込んだ刺繍までしてあるし、リボンだって見たこと無いうっすくて、玉虫色にピカピカしてて、魔法で保存処理された花まで付けてある!! ナニコレ、どこの王族への贈り物!?

「怪しすぎる……。ううっ、一刻も早く警邏隊に届けなきゃ」

『王族箱』を、片手で抱え上げた『くしゃみ箱』の上にソロリと乗せる。

 さて、最後の箱も……と近付いたら

「ヒロイキ様宛て、ですのよ!?」

 どこかで聞いた覚えのある声がして、箱の底から脚が生えた。

「―――(なんじゃこりゃあぁぁぁ)!?」

 固まってると、『生足箱』が、ズイッと迫ってくる。

 その箱には、主張の強いショッキングピンク地に金銀でファンシーな星や月の模様が描かれている。その上、濃い紫色の大振りなリボンが結わえられて、その根本に禍々しい波長を放つ魔石が付けられてる。この波長は……魅了か!?

「さあさ、お早くヒロイキ様のお部屋へ案内なさいませっ!」

『生足箱』がさらに一歩、距離を積めてくる。

「ひっ……」

 なんてこった! 強制力がパワーアップしてやがる!! 今回は、警邏隊なんて悠長なことは言ってられない!

「あっ!? ヒロイキ様っ、お待ちになってっ!!」

『くしゃみ箱』と『王族箱』を抱えたまま、脱兎のごとく駆け出した俺のあとを『生足箱』が猛追して来る。

「おい!! 貴様、何をしている!!!」

 警邏隊屯所目指して街を爆走する俺の目の前に、ゲーム主人公『あああ』が現れた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

シチュボ(女性向け)

身喰らう白蛇
恋愛
自発さえしなければ好きに使用してください。 アドリブ、改変、なんでもOKです。 他人を害することだけはお止め下さい。 使用報告は無しで商用でも練習でもなんでもOKです。 Twitterやコメント欄等にリアクションあるとむせながら喜びます✌︎︎(´ °∀︎°`)✌︎︎ゲホゴホ

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

クールな生徒会長のオンとオフが違いすぎるっ!?

ブレイブ
恋愛
政治家、資産家の子供だけが通える高校。上流高校がある。上流高校の一年生にして生徒会長。神童燐は普段は冷静に動き、正確な指示を出すが、家族と、恋人、新の前では

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

処理中です...