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第3章 乙女ゲーム始動 編
第139話 【攻略対象 隠しキャラ?】前途多難なハーレムルート
しおりを挟む「みぎゃぁぁぁ!! ぎゃうっ! ぎゃうん、ぐぎゅるるるるっっ!! みゃみゃっ!? ―――レーナぁぁぁ! 置いていくなんてひでーよぉぉぉ!!」
赤龍が上空から急降下し、視界いっぱいに姿が映ったところで、突然アルルクに変化した。と、同時に近くから重いものが落ちる音も響いてくるが、泣き喚くアルルクの勢いに押されて確認することは出来ない。
「助けてくれよっ!! アイツおかしーよ、行く先々にアイツがいて、にこにこ話し掛けてくんだよ! 今日だって、いきなり現れて、連れてかれたんだよっ!! 仲良さそうなんだけど、そうじゃないんだよ! こえーよ!!!」
赤龍の顔が、アルルクに変わっていく様を初めてまじまじと見たレーナは「だから見せたくなかったのか」と、妙な納得をしつつ、更には「最近よく着ていた鎧は服と言うより鱗か表皮を変化させてるのね」などと冷静に観察している。
驚かなかったわけではない。それよりも本当に攻略対象なのかと疑いたくなるほど、涙と鼻水で顔中ぐしゃぐしゃにしているアルルクの衝撃ビジュアルに、却って冷静になったのだ。
「アイツって言うのは、もしかしなくてもシルヴィアさんのことよね」
「そーだよっ!!」
そう、レーナが気になったこととは、突然のシルヴィアの変容だった。
攻略対象の行く先々にシルヴィア現れる――その言葉で、レーナの些細な引っ掛かりが、より決定的な確信に変わる。
(それって、攻略対象の行動を先読みして、効率的に邂逅を果たし、親密度を上げて行く乙女ゲームプレイヤーなら当然の行動なのよね)
男性キャラ攻略達成には必須の行動だ。と言うより、今のシルヴィアの行動は、ハレムルートを狙うプレイヤーのプレイスタイルそのものだった。
(ヒロインなら当然なんだけど、でも全然それっぽくなかったシルヴィアが、なんで突然ガツガツしだしたんだろう。ゲームの強制力ってやつ……?)
「レーナ!! きーてくれてる!? おれ、こえぇんだけどぉ!?」
「お前は普段、学院に居ないからまだ良いだろ!? 私のことも少しは話させろ!」
もう一人の言葉が加わったことで、レーナは思考の底から浮上する。
「あれ? エドも居たの」
つまり、さっき聞こえた重い荷物の音は、彼だったわけだ。
「こいつが急に人に変わるから、落っこちたんだ! ったく」
「勝手に おれに飛び乗っておいて! 勝手なこと 言ってんじゃねーよ!」
「それは、お前が一人であの場から脱出しようとするからだ!!」
ぎゃんぎゃん言い合う2人は、どうやら生徒会室から逃げ出してきたらしい。
「何よ。ハーレムルート、全然攻略が進んでないじゃない」
首をひねったレーナだった。
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