11 / 16
※王太子の我慢
しおりを挟む
婚約してからニ週間が経った今、クロエは毎日のように僕のところへ来た。理由は簡単だ。全て王太子妃教育の厳しさから逃げ出すため。
「アラン様~、やっぱりこんな私には無理ですっ」
「クロエ、また僕のとこに逃げてきて、レッスンはどうしたの?」
「やっぱり私なんか、アラン様には……」
クロエはすぐに卑屈になってしまうので、僕としても出来るだけ優しく接するようにしていた。しかし内心では相当焦っている。仮にも未来の王太子妃になるのに、このままだと非常に困るからだ。
クロエが頑張りますと言ったのは、口先だけなのだったと気付かされる。しかし気づいたところでもう遅い。
僕は気持ちを悟られないよう、優しくクロエに注意した。
「もう逃げないで頑張るって約束したよね。それにレベッカは逃げ出すことなんか一度もなかったよ」
「私はレベッカ様と違って、ただの地味な出来損ないですから。どんなに努力しても凡才の私は、何でも澄まし顔でこなしてしまうレベッカ様には追いつけません!」
……どこから間違ってしまったのだろう。
ああきっと、僕がレベッカを失った頃。ううん、違う。きっと僕がレベッカではなく、クロエを優先し始めた頃からだ。
いつもと同じ反応をするクロエに僕は思わずため息が出てしまった。そして少しずつイライラが募る。仮にも僕は王太子だ。僕だって仕事なり何なり色々忙しいのに、それをいちいち邪魔されるのは眉間に皺が寄る。
「クロエ、部屋に戻って」
「で、でも、先生がとても怖くてっ」
「本音を言うと、僕も仕事があるからあまり邪魔をされたくなくて」
「そっ、そうですよね。こんな取り柄のない私なんか……」
「そういうことじゃなくて」
僕は思わず目眩が起こりそうになって頭を抱えた。
……レベッカの時は、愚痴一つこぼさなかったのに。
最近になっていつも思い出すのはレベッカのこと。それもクロエを見る度にそうなる。
考えてみればレベッカは僕の邪魔をすることもなく、王太子妃になる覚悟というものが出来ていた。どこから見ても最高の婚約者でしかなかった。
どうしてこんなことに……。
今や僕の婚約者は、口先だけで努力をしようとしないクロエだ。愚痴をこぼすのが悪いこととは言わないが、ここまで邪魔をされてようやく気づいた。
全てレベッカの言う通りだった。
でも、今更気づいたところでもう遅い。レベッカは今、僕の弟つまり第二王子と婚約しており、関係も僕の時よりずっと順調だと言う。
そうなると僕の元に戻ってくることは二度とないだろう。
「もしまたレベッカのような婚約者が出来たなら、今度こそ間違えないのに」
クロエの去った部屋で僕はそんな独り言を呟いた。
「アラン様~、やっぱりこんな私には無理ですっ」
「クロエ、また僕のとこに逃げてきて、レッスンはどうしたの?」
「やっぱり私なんか、アラン様には……」
クロエはすぐに卑屈になってしまうので、僕としても出来るだけ優しく接するようにしていた。しかし内心では相当焦っている。仮にも未来の王太子妃になるのに、このままだと非常に困るからだ。
クロエが頑張りますと言ったのは、口先だけなのだったと気付かされる。しかし気づいたところでもう遅い。
僕は気持ちを悟られないよう、優しくクロエに注意した。
「もう逃げないで頑張るって約束したよね。それにレベッカは逃げ出すことなんか一度もなかったよ」
「私はレベッカ様と違って、ただの地味な出来損ないですから。どんなに努力しても凡才の私は、何でも澄まし顔でこなしてしまうレベッカ様には追いつけません!」
……どこから間違ってしまったのだろう。
ああきっと、僕がレベッカを失った頃。ううん、違う。きっと僕がレベッカではなく、クロエを優先し始めた頃からだ。
いつもと同じ反応をするクロエに僕は思わずため息が出てしまった。そして少しずつイライラが募る。仮にも僕は王太子だ。僕だって仕事なり何なり色々忙しいのに、それをいちいち邪魔されるのは眉間に皺が寄る。
「クロエ、部屋に戻って」
「で、でも、先生がとても怖くてっ」
「本音を言うと、僕も仕事があるからあまり邪魔をされたくなくて」
「そっ、そうですよね。こんな取り柄のない私なんか……」
「そういうことじゃなくて」
僕は思わず目眩が起こりそうになって頭を抱えた。
……レベッカの時は、愚痴一つこぼさなかったのに。
最近になっていつも思い出すのはレベッカのこと。それもクロエを見る度にそうなる。
考えてみればレベッカは僕の邪魔をすることもなく、王太子妃になる覚悟というものが出来ていた。どこから見ても最高の婚約者でしかなかった。
どうしてこんなことに……。
今や僕の婚約者は、口先だけで努力をしようとしないクロエだ。愚痴をこぼすのが悪いこととは言わないが、ここまで邪魔をされてようやく気づいた。
全てレベッカの言う通りだった。
でも、今更気づいたところでもう遅い。レベッカは今、僕の弟つまり第二王子と婚約しており、関係も僕の時よりずっと順調だと言う。
そうなると僕の元に戻ってくることは二度とないだろう。
「もしまたレベッカのような婚約者が出来たなら、今度こそ間違えないのに」
クロエの去った部屋で僕はそんな独り言を呟いた。
470
あなたにおすすめの小説
【完結】どうかその想いが実りますように
おもち。
恋愛
婚約者が私ではない別の女性を愛しているのは知っている。お互い恋愛感情はないけど信頼関係は築けていると思っていたのは私の独りよがりだったみたい。
学園では『愛し合う恋人の仲を引き裂くお飾りの婚約者』と陰で言われているのは分かってる。
いつまでも貴方を私に縛り付けていては可哀想だわ、だから私から貴方を解放します。
貴方のその想いが実りますように……
もう私には願う事しかできないから。
※ざまぁは薄味となっております。(当社比)もしかしたらざまぁですらないかもしれません。汗
お読みいただく際ご注意くださいませ。
※完結保証。全10話+番外編1話です。
※番外編2話追加しました。
※こちらの作品は「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています。
【完結】貴方の望み通りに・・・
kana
恋愛
どんなに貴方を望んでも
どんなに貴方を見つめても
どんなに貴方を思っても
だから、
もう貴方を望まない
もう貴方を見つめない
もう貴方のことは忘れる
さようなら
【完結】亡くなった人を愛する貴方を、愛し続ける事はできませんでした
凛蓮月@騎士の夫〜発売中です
恋愛
【おかげさまで完全完結致しました。閲覧頂きありがとうございます】
いつか見た、貴方と婚約者の仲睦まじい姿。
婚約者を失い悲しみにくれている貴方と新たに婚約をした私。
貴方は私を愛する事は無いと言ったけれど、私は貴方をお慕いしておりました。
例え貴方が今でも、亡くなった婚約者の女性を愛していても。
私は貴方が生きてさえいれば
それで良いと思っていたのです──。
【早速のホトラン入りありがとうございます!】
※作者の脳内異世界のお話です。
※小説家になろうにも同時掲載しています。
※諸事情により感想欄は閉じています。詳しくは近況ボードをご覧下さい。(追記12/31〜1/2迄受付る事に致しました)
立派な王太子妃~妃の幸せは誰が考えるのか~
矢野りと
恋愛
ある日王太子妃は夫である王太子の不貞の現場を目撃してしまう。愛している夫の裏切りに傷つきながらも、やり直したいと周りに助言を求めるが‥‥。
隠れて不貞を続ける夫を見続けていくうちに壊れていく妻。
周りが気づいた時は何もかも手遅れだった…。
※設定はゆるいです。
【改稿版・完結】その瞳に魅入られて
おもち。
恋愛
「——君を愛してる」
そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった——
幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。
あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは……
『最初から愛されていなかった』
その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。
私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。
『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』
『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』
でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。
必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。
私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……?
※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。
※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。
※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。
※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。
優しく微笑んでくれる婚約者を手放した後悔
しゃーりん
恋愛
エルネストは12歳の時、2歳年下のオリビアと婚約した。
彼女は大人しく、エルネストの話をニコニコと聞いて相槌をうってくれる優しい子だった。
そんな彼女との穏やかな時間が好きだった。
なのに、学園に入ってからの俺は周りに影響されてしまったり、令嬢と親しくなってしまった。
その令嬢と結婚するためにオリビアとの婚約を解消してしまったことを後悔する男のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる