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※王太子の我慢
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婚約してからニ週間が経った今、クロエは毎日のように僕のところへ来た。理由は簡単だ。全て王太子妃教育の厳しさから逃げ出すため。
「アラン様~、やっぱりこんな私には無理ですっ」
「クロエ、また僕のとこに逃げてきて、レッスンはどうしたの?」
「やっぱり私なんか、アラン様には……」
クロエはすぐに卑屈になってしまうので、僕としても出来るだけ優しく接するようにしていた。しかし内心では相当焦っている。仮にも未来の王太子妃になるのに、このままだと非常に困るからだ。
クロエが頑張りますと言ったのは、口先だけなのだったと気付かされる。しかし気づいたところでもう遅い。
僕は気持ちを悟られないよう、優しくクロエに注意した。
「もう逃げないで頑張るって約束したよね。それにレベッカは逃げ出すことなんか一度もなかったよ」
「私はレベッカ様と違って、ただの地味な出来損ないですから。どんなに努力しても凡才の私は、何でも澄まし顔でこなしてしまうレベッカ様には追いつけません!」
……どこから間違ってしまったのだろう。
ああきっと、僕がレベッカを失った頃。ううん、違う。きっと僕がレベッカではなく、クロエを優先し始めた頃からだ。
いつもと同じ反応をするクロエに僕は思わずため息が出てしまった。そして少しずつイライラが募る。仮にも僕は王太子だ。僕だって仕事なり何なり色々忙しいのに、それをいちいち邪魔されるのは眉間に皺が寄る。
「クロエ、部屋に戻って」
「で、でも、先生がとても怖くてっ」
「本音を言うと、僕も仕事があるからあまり邪魔をされたくなくて」
「そっ、そうですよね。こんな取り柄のない私なんか……」
「そういうことじゃなくて」
僕は思わず目眩が起こりそうになって頭を抱えた。
……レベッカの時は、愚痴一つこぼさなかったのに。
最近になっていつも思い出すのはレベッカのこと。それもクロエを見る度にそうなる。
考えてみればレベッカは僕の邪魔をすることもなく、王太子妃になる覚悟というものが出来ていた。どこから見ても最高の婚約者でしかなかった。
どうしてこんなことに……。
今や僕の婚約者は、口先だけで努力をしようとしないクロエだ。愚痴をこぼすのが悪いこととは言わないが、ここまで邪魔をされてようやく気づいた。
全てレベッカの言う通りだった。
でも、今更気づいたところでもう遅い。レベッカは今、僕の弟つまり第二王子と婚約しており、関係も僕の時よりずっと順調だと言う。
そうなると僕の元に戻ってくることは二度とないだろう。
「もしまたレベッカのような婚約者が出来たなら、今度こそ間違えないのに」
クロエの去った部屋で僕はそんな独り言を呟いた。
「アラン様~、やっぱりこんな私には無理ですっ」
「クロエ、また僕のとこに逃げてきて、レッスンはどうしたの?」
「やっぱり私なんか、アラン様には……」
クロエはすぐに卑屈になってしまうので、僕としても出来るだけ優しく接するようにしていた。しかし内心では相当焦っている。仮にも未来の王太子妃になるのに、このままだと非常に困るからだ。
クロエが頑張りますと言ったのは、口先だけなのだったと気付かされる。しかし気づいたところでもう遅い。
僕は気持ちを悟られないよう、優しくクロエに注意した。
「もう逃げないで頑張るって約束したよね。それにレベッカは逃げ出すことなんか一度もなかったよ」
「私はレベッカ様と違って、ただの地味な出来損ないですから。どんなに努力しても凡才の私は、何でも澄まし顔でこなしてしまうレベッカ様には追いつけません!」
……どこから間違ってしまったのだろう。
ああきっと、僕がレベッカを失った頃。ううん、違う。きっと僕がレベッカではなく、クロエを優先し始めた頃からだ。
いつもと同じ反応をするクロエに僕は思わずため息が出てしまった。そして少しずつイライラが募る。仮にも僕は王太子だ。僕だって仕事なり何なり色々忙しいのに、それをいちいち邪魔されるのは眉間に皺が寄る。
「クロエ、部屋に戻って」
「で、でも、先生がとても怖くてっ」
「本音を言うと、僕も仕事があるからあまり邪魔をされたくなくて」
「そっ、そうですよね。こんな取り柄のない私なんか……」
「そういうことじゃなくて」
僕は思わず目眩が起こりそうになって頭を抱えた。
……レベッカの時は、愚痴一つこぼさなかったのに。
最近になっていつも思い出すのはレベッカのこと。それもクロエを見る度にそうなる。
考えてみればレベッカは僕の邪魔をすることもなく、王太子妃になる覚悟というものが出来ていた。どこから見ても最高の婚約者でしかなかった。
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全てレベッカの言う通りだった。
でも、今更気づいたところでもう遅い。レベッカは今、僕の弟つまり第二王子と婚約しており、関係も僕の時よりずっと順調だと言う。
そうなると僕の元に戻ってくることは二度とないだろう。
「もしまたレベッカのような婚約者が出来たなら、今度こそ間違えないのに」
クロエの去った部屋で僕はそんな独り言を呟いた。
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