じゃない方の私が何故かヤンデレ騎士団長に囚われたのですが

カレイ

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再会

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 朝目覚めると、そこには何故か最愛の妹がいた。

「お姉様!」

 私は突然サーシャに抱きしめられ唖然とする。
 ……これは夢!?目覚めたらサーシャがいるなんて、私ったら相当病んでいるのかもしれない。
 寝ぼける私とは反対に、ミーシャは元気よく私に話しかけてくる。

「会いたかったわ、お姉様!まさかあの人たちがあんなことをするなんて思わなくて。絶対に許さないんだから」
「え、ちょっ、待って、サーシャ!そんなに強く抱きしめられると、体が痛い……って」

 ……痛みを感じるってことはこれは現実なの!?
 一瞬のうちにフリーズした私を見て、サーシャがすぐさま声をかける。

「お姉様、お姉様!起きていらっしゃるわよね?」
「あ、ああ、ええ、今起きたわ」

 やっと意識がはっきりした。大体の整理もついたけれど……。

「どうしてここに?」
「それはお姉様に会いたかったからに決まっています!お姉様のいない伯爵家なんている意味がないですから。騎士団長様にお願いして、早くからここへ来させていただいたんです」
「そうだったの……」

 私はサーシャの行動力に驚く。
 ……あれ、ミーシャはもっと引っ込み思案で恥ずかしがり屋で大人しかったはずだれど。
 目の前のサーシャは、まるで以前の私の様にハキハキとしており、私以外の人に敵意むき出しだ。

「お姉様、大丈夫でしたか?お姉様が騙されたらことを知ってから、すぐに騎士団長様に連絡を取ったんですがやっぱり遅かったですか?」
「いいえ、あの方からサーシャが私のことを頼んできたということはお聞きしたし、何より、サーシャがそんなに私を思っていてくれたって知れて嬉しくて。もう会えないと思っていたから」

 やっぱり、優しいところは全く変わっていない。

「私はお姉様より大切なものなんてこの世にありませんわ!お姉様がいるべきところが私の居場所ですから」
「ふふ、ありがとう」

 私は嬉しくてつい、いつもの癖でサーシャの頭を撫でた。
 同時に部屋の扉が開き、騎士団長様が入ってくる。

「お目覚めのところ失礼します。そろそろ入っても良いかと思っていたので……」

 昨日の馬でのことを思い出し、私はまともに彼の顔が見れず、下を向く。

「だ、大丈夫です。何か御用でも?」
「はい。先ほど伯爵家の皆様に、サーシャ様をこちらの屋敷で暫く預かります、という手紙を送りました」
「えっ、サーシャを?」
「良いんですか!?」

 サーシャの方も目を見開いて驚いている。
 これからも一緒に暮らせると知り、私たちはギュッと抱き合った。

 
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