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でっちあげ
しおりを挟む私の目の前に仁王立ちする妹の婚約者。その両側には私の婚約者、お兄様が私を睨みつけながら立っている。
「どういうことでしょうか?」
「どういうことも何も、貴様がやったことは極悪非道以外のなにものでもない。堪忍するんだな」
「意味が分からないのですが」
なぜ私が極悪非道になるのか。そもそも私がサーニャを傷つけるわけがない。
……言いがかりも大概にしてほしい。
きっと妹に相手にされないから私に嫉妬したのだろう。
それくらい簡単に予測できる。
でもわざわざ私の部屋にまで来て言わなくても。全く面倒だ。
動揺しない私を見てお兄様は鼻を鳴らす。
「ふん、とぼけるな。お前はサーシャの姉という立場を利用して、表では妹を守るふりをしながら裏では虐げていたのだろう?証拠は全て揃っているんだぞ」
「はぁ」
「サーシャに近づく者を追い払うのも、きっと守るふりをしながらサーシャを孤独にしようと目論んでいるからなのだろう」
「はぁ」
「本当に見損なったぞ、お前のようなのが妹など反吐が出る」
奇遇だ。私もお兄様に対して同じことを思っているから。
……それにしても言いがかりにしては内容が酷すぎる気がする。サーシャの気持ちも全然考えていないし、彼らがサーシャより自分達を大切にしていることがすぐ分かる。
「サーシャは何で言ったんですか?」
「何も。優しいサーシャはきっとお前を庇っているのだろう。それともお前に脅されているか」
「お前みたいな者が婚約者だってことが、俺の一番の汚点だ」
本当に言われたい放題である。
しかしでっちあげの証拠まで残してくるとは、どれだけ私のことを排除したがっているのだろう。
「私は全く身に覚えがないのですが」
「まぁ、そうやって平然としていられるのも今のうちだ」
「ああ。何故なら……」
お兄様がパチンと指を鳴らすと、扉が開き、外からお父様とお母様が入ってきた。
「お前にはもっと早くこうするべきだった。この愚娘めか」
「私の教育が間違っていたのですわ」
両親は口を開いたかと思えば、何故か私に向かって辛辣な言葉を飛ばしてくる。
「サーシャをお前に近づけるなど愚かな選択はすべきではなかったわ」
「ああ」
お父様はお母様の言葉に深く頷くと、私を見下ろして言い放った。
「お前を勘当し、伯爵家から籍を外すことにした。今すぐここを出て行け」
「……っ!今すぐですか、せめてあと一回だけでもサーシャに会わせ」
「お前がサーシャと会うことなど認めるわけがないだろう。手切金をやるから今すぐ出て行け」
お父様はそう言うと私に厚い封筒を渡してきました。
……手切金。
慌て出した私を面白そうに皆が見下している。彼らは誰よりも私が一番妹に敏感なことを知っているから。
……嵌められた。ミーシャがいない隙に完全に私を追い出すつもりだ。
私は封筒をお父様に突き返した。
「こんなものいりませんから、代わりにサーシャに会わせて下さい!」
でも私の様子を面白そうに見ながらお父様は首を横に振るだけだ。
「全く……大人しく出て行けば何もしなかったのに。おいお前、連れてって捨ててこい」
そして私は近くに控えていた護衛によって、無理矢理この屋敷を追い出された。
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