元平民の義妹は私の婚約者を狙っている

カレイ

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義妹

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 学園に入学してから一ヶ月。
 今やヴィヴィは学園一の人気者となっていた。
 最初のうちはヴィヴィに楯突いていた第二王子も、次第にヴィヴィの健気さと優しさに惹かれ、今では護衛のようにヴィヴィに纏わりついている。
 エミーヌはというと、ヴィヴィと登下校するのはかなりストレスが大きく大変だった。
 まず屋敷を出るときに父にネチネチと文句を言われ、馬車が走っている最中ではヴィヴィの「平民」ワードをやたらと聞かされる。終いに学園に着けば、ヴィヴィを待っている第二王子たちに「さっさと去れ」やら「ヴィヴィをいじめるな」やら追いやられ、学園では学園一の天使を虐める悪女などと揶揄されるようになった。
 つまり、学園も屋敷と変わらない状態ということだ。
 ヴィヴィが入学してくるより前はあまり酷くなかった「平民嫌い」と言う噂も、今では学園中の誰もが知っているものとなっていた。
 
 ロバートが隣にいる時はいつも守ってくれるしエミーヌも心を強く保てるが、そういう悪口はロバートがいない時を狙って皆浴びせてくるものだ。

「ヴィヴィ様、先程中庭で泣いていらっしゃったわ。エドモン王子が慰めていらしたけれど、エミーヌ様との壁に悩んでいらっしゃるとか」
「なぜロバート様はエミーヌ様の見方をなさったりするのでしょう。脅されているのかしら?」

 現に今も、先に授業が終わりロバートを待っている私に向かってヒソヒソと誰かが陰口を言っている。
 勝手に耳に入ってくる言葉にエミーヌは嫌気がさす。
 それでもなんとか気持ちを落ち着かせてロバートを待った。何分かして彼が来るとエミーヌは肩の力を抜く。

「ミーちゃんおまたせ!ちょっと授業伸びちゃって」
「大丈夫よ。そんなに待ってないわ」
「なら良かった!……それより嫌なこととか無かった?」

 ロバートはチラチラと周りの生徒たちを見ながらエミーヌを気遣う。

「何もないわよ。それより、早く昼食を頂きましょう」

 二人が席を立ってランチを取りに行こうとした時、エミーヌは向こうからこちらへ向かってくる集団を目で捉えた。
 ロバートが即座にエミーヌを背中に庇う。

「ロバート様、これからランチですか?」
「そうだけど、なんか用?」
「ロバート様もご一緒しませんか?……勿論、お義姉様も」

 ヴィヴィがわざわざ体を傾けて、ロバートの後ろにいるエミーヌへ視線を向けてくる。

「ごめんね。僕とエミーヌは二人で食べるから」
「でもたまには私達と……」
「嫌だよ。気が合わない人たちと食事なんて、気まずいだけだから」

 ロバートの言葉に、ヴィヴィの隣にいた第二王子のエドモンが目をカッと見開いた。

「それは俺への無礼ととっても良いよな?」

 エドモンの言葉にロバートはニッコリと微笑んだ。
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