元平民の義妹は私の婚約者を狙っている

カレイ

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義妹と婚約者

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「そういえばミーちゃん、今日は一人じゃなかったね」
「もしかして馬車から降りてくるの見えてた?実はこれから毎日義妹のヴィヴィと同じ馬車で通えって」
「そっかー……」

 明らかにロバートの声のトーンが下がる。

「ミーちゃん、あんまり無理しないでね」
「ありがと。でも私はロバートがこうやって支えてくれれば大丈夫だから」
「……っミーちゃん!」

 途端ロバートがエミーヌに抱きついてきた。
 ぎゅうぎゅうと抱きしめられ、エミーヌの顔は一気に真っ赤になる。

「ちょ、ちょっとロバート、みんな見てるから!」
「見せつけてるんだよ!ミーちゃんを傷つける奴は僕が許さないって忠告してんの」
「恥ずかしいわ」

 エミーヌは喜びと羞恥で頭の中が真っ白になった。
 その様子を見てロバートは嬉しそうに微笑む。

「ま、こんなもんで良いでしょ。僕ら婚約者同士だからなんの問題もないけど」
「もう、心臓に悪いわ」
「ごめんごめん」
「あの……」

 ロバートと話していると2人の間に影がさす。
 ヴィヴィが入って来たのだ。

「あのお義姉様おねえさま、婚約者でもない方と抱き合うのはいかがなものかと思うのですが……。お義姉様おねえさま確か、婚約者いらっしゃいましたよね?」

 ヴィヴィの言葉に周りが騒然とする。
 何故なら、その婚約者こそがこのロバートだからだ。

「ヴィヴィ、この方が私の婚約者のロバートよ。あなたも会ったこと何回かあったはずだけれど」
「え、あの小さくて地味だった……」

 ロバートの悪口を言われエミーヌは思わず眉間に皺を寄せる。

「小さくて地味だなんて言わないで」
「ご、ごめんなさい、私そんなつもりなくて……っ。ただだいぶ昔と印象が変わっていたので驚いてしまって」
「確かに僕、あの頃と比べて鍛えたし背も伸びたからね。分からなくなることもあるかも」
「そっ、そうですよね!」

 ロバートの言葉にヴィヴィが嬉しそうに頷く。

「ただ、昔よりずっと格好良くなっていらして、凄いなぁって思っただけだったんです!」
「ありがとう」
「い、いえ……」

 ロバートの笑顔にヴィヴィの頬が赤らむ。嬉しそうに歯に噛んでいる。
 それから数秒間、三人の間に沈黙が流れた。

「それで?」

 最初に口を開いたのはロバートだった。

「もう用がないんだったら去ってくれないかな。僕とエミーヌが婚約者ってことは分かったんだから、もう邪魔しないで欲しいんだけれど」
「ご、ごめんなさいっ、気が利かなくて。ただ私、お義姉様おねえさまが心配で……。やっぱり元平民はお義姉様おねえさまが言う通り、気が利かないですね」

 それだけ言うと、ヴィヴィはさっさと他の親に挨拶をしている両親の元へ向かった。
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