「君は保留だった」らしいです

カレイ

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勝手な言い分

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 とりあえずヴィオラは夫に、一応私もパーティーに出席したいと説得してみることにした。

「おかえりなさい。ねぇルーク、一週間後にパーティーがあるでしょう?」
「うん、だけどそれが何?君は別に関係ないよね。もしかしてまた早く帰って来いとか?」
「違くて……私も一緒に連れて行って欲しいと思って。……駄目?」

 チラリと夫を見れば、すごい形相でヴィオラを見下ろしている。

「何で?僕、今まで君を気遣ってパーティーがあっても別に、パートナーとして参加しなくて良いって言ってきたよね。そんな僕の思いを無下にするの?」
「違うわ。私もあなたの妻として甘やかされてばかりいないで、やれることならしたいと思っただけよ」
「ならもうその考えが甘えだよね。僕の思いを踏みにじってまで言うことじゃないでしょ、それ」

 いつもならここでショックを受けて黙り込んでしまうヴィオラだけれど、今回はもうちょっと頑張って踏み込んでみようと思う。

「ならあなたこそ私の思いをいつも踏みにじっているわ。私はあなたの思いいつも尊重してたけれど、あなたが私の思いを尊重してくれることはあった?」
「はぁ?君のはただの我儘じゃないか」
「そう言って逃げてるのは貴方よね。おかしいのよ、毎日こんなに帰りが遅いだなんて。それにパーティーに私を連れていかないだなんて」

 その言葉にルーカスの目が一瞬だけ大きく見開く。もう一息だ。

「ルーク。あなた何か私に隠していることがあるんじゃ」
「黙れ!!」

 不意に、ルーカスが大きな声で叫んだ。
 それと同時にびくりと肩を震わせたヴィオラを勢いよく突き飛ばす。
 思わず、床に手をついたヴィオラを見下ろしてルーカスは言い放つ。

「黙って聞いていればいい加減にしなよ。君のために一生懸命働く僕を罵っては、僕のことを信用せずに疑って。最悪だよヴィオラ。君がここまで最低な妻だとは思っていなかった。何もしてないくせに良いご身分だよね!」

 何も……伝わらなかった。

 やっぱりもう手遅れなのだろう。夫は完全に変わってしまった。
 夫に突き飛ばされた時に打ったお尻がジンジンと痛い。
 気づけばヴィオラの目からは涙がこぼれ落ちていた。
 その様子を見てやっと我に返ったのか、ルーカスが慌ててヴィオラのことを抱きしめる。

「お願いだよヴィオラ。僕のことガッカリさせないで。……愛しているんだ」
「………」
「僕は貴族に生まれたけれど、浮気しないし、ずっと君一筋だよ。信じてくれ!」

 今まではこの言葉を信じて彼に尽くしてきたけれど、この時ヴィオラはルーカスとこのままやっていくのはもう無理だと確信した。
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