落花流水【R18】

望月保乃華

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 三章 愛撫

 宿命

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 二人は黙って宿を借りて二階へ階段で上がる。 お凛を連れ長屋へ帰るのは危険過ぎた。
 二階へ上がると奥の部屋の襖は半分開いて居て布団が見えて居る。

 桐生は躊躇う様に手前の部屋の蝋燭立てに火を灯した。
 「お凛、 そなたに話さなければならないことがある」

 お凛は俯いて答えた。
 「桐生さま。 ……わたくしは鬼で、 二度と月影の一族に帰れないのですね?」

 桐生は苦悩するように目を伏せた。
 「知っていたのか……、 お凛、 あの日一体何があった? 俺が駆け付けた時、 ……長屋が荒らされ、 そなたが大切に扱う刀も消えて居た」

 お凛はうなだれて涙を零し、 着物の袖で顔を隠すように桐生に背中を向けた。
 「代官に……手籠めにされたのです……わたくしはもう生娘ではありませぬ……。 汚れた体でございます。 妾にされ屋敷に閉じ込められ、 刀も懐剣も奪われました。 ……貴方に合わせる顔もありません」

 生娘でないと言うのは、 昔のお凛と違い大人びて男を知ったと思える雰囲気は桐生にも解った。
 桐生が許せないのは、 お凛を捕縛して刀を奪い手籠めにした代官だった。

 桐生は背後からお凛を抱きしめて優しく押し倒した。
 「生娘で有ろうが無かろうが鬼であろうがなかろうが関係ない。 ……お凛、 俺はおまえが欲しい」

 桐生はお凛に口付けをした。 お凛も又桐生の背中に両手を回し二人の口付けは互いを貪る様に激しくなる。
 桐生はお凛を軽々抱き上げると、 隣に布団の敷いてある部屋へ連れて行った。

 口付けをしながら優しく頭を撫で、 お凛の着物を静かに脱がせる桐生。
 お凛の背中には妙な痣が有った。

 桐生からの甘い口付けがお凛の全身を伝い、 愛おしいと感じられる程の優しい愛撫が女としてお凛を狂わせた。
 桐生を受け入れたお凛は全身を貫く快楽に思わず悩ましい声を出した。
 「桐生さま……、 はしたないおなごと承知の上で……わたくしは桐生さまをずっとお慕いしておりました。 
 貴方に抱かれとうございました」

 水を得た魚の様に上下になりながら体を重ねる桐生とお凛。
 「俺もだ……。 段々女になって行くそなたを見て何度苦悩したか解るか? だが、 今こうしてお前は俺の腕
の中に居る。 お前は俺だけの女だ」

 お凛は快楽に息を荒げながら桐生にか細い悩ましい声で尋ねた。
 「わたくしが鬼の眷属だとしても……?」

 桐生は更に優しく激しくお凛を抱いた。
 「お前が鬼だとしても、 俺の思いは変わらぬ」

 桐生から伝わるのは、 壊れ物を扱う様に優しく愛に満ち溢れた愛撫と快楽だった。

 耳から首筋を這う甘い口付けに何度も悩ましい声を出すと快感のあまりに仰け反るお凛。
 代官と違い、 これが真の愛の快楽だと知る。

 あまりの快楽にお凛は桐生の背中に爪を立て、 首筋に噛みついた。
 桐生の背中に血が滲む。
 「お凛……」

 それでも桐生は優しい愛撫を続け甘い全身への口付けを止めなかった。

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