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第一章
2ーA教室①
しおりを挟む「鍵をかけ忘れた気がする」
次の授業は体育。男子は外でサッカーだ。下駄箱手前、グラウンドへと向かっていると、不意に大河が立ち止まってそんな声を上げた。
「いや、ちゃんと閉めとった」
男子の着替えは各教室で、女子の着替えは更衣室で、という決まりになっている。
移動の際の教室施錠は、その日の日直の仕事だ。そして今日の当番は大河だった。
しかし、この男に限って鍵をかけ忘れるなんてことがあるはずがない。嫌な予感しかしなくて、すかさず直央は否定したのだが、
「そうか、付き合ってくれるか直央」
「そんなん一言も言うてませんけど?おい、おーい、聞こえてへんのかっ?」
逃さないとばかりに太い腕に肩を組まれて、ずるずると連行される。
「まだ時間あるし見てきたほうがいい」
「俺ら先行ってるな」
何も知らない恭介と海斗の声を背に、直央は強制的に教室へと戻ることになった。
「どっち?マジで忘れたん?絶対わざとやろ?」
先週末の乳首舐め事件が尾を引いている。
警戒心剥き出しの直央は、肩にまとわりつく大河の腕から抜け出そうと必死にもがくがびくともしない。
大河も直央を離す気はないらしく、空いている方の手を、教室前方の引き戸に伸ばした。
意外にもそのまま戸は開いた。
「あれ?マジやったん……」
言葉の途中で背中を押され、室内へ押し込まれる。
カチャンと大河が内からロックをかける。
「あの大河くん?中から鍵閉めてどうすんねん」
ツッコミに覇気がないのは、嫌な予感が当たったと確信したからだ。
「わざとだ」
ほら。
悪びれることなくそう言ってのけるから、呆れてため息をついていると、手を引かれて廊下側の中央まで誘導される。
唐突に繋がれた手に、直央の胸はきゅんとときめいていた。
この程度がちょうどいい。繋ぎ方を変えて、指先を絡めながら大河を見上げる。
──男前やなあ……。
彫りが深く目鼻立ちがはっきりしているからか、横顔は特に大人びて見える。
そんな人が本当に自分の彼氏なのか、未だに信じられなくて疑いたくなる時があるくらいだ。
大河と向かい合う形で直央は背後の壁に寄りかかった。
教室の前後の扉にはそれぞれ小窓がついていて、ガラス越しに廊下から室内の様子が見えるようになっている。
つまり、ここは唯一の死角だ。
だがしかし、次の授業までは10分を切っている。さすがにこの場では無理だろうが、念のため釘を刺しておくに越したことはない。
「こんな所でやらへんからな」
「ああ、この前のことを反省したんだ」
大河にしては珍しく殊勝なことを言う。
勝手に人の乳首を口に含むから、驚いて怒ってしまったのだ。
いつまでも根に持って臍を曲げている直央も良くなかったかもしれない。
そんな素直なところも直央の長所だ。
「最後まで一気にしようとしたのがいけなかった。だから、少しずつ進めて行こうと思う」
「……ん?」
「時間がない。今日はまず俺が手でする」
繋いでいた手が離される。大河の大きな手はそのまま迷いなく直央のハーフパンツの中にするりと入ってきて、息を飲んだ。
下着の中でふにゃりと垂れる小ぶりの性器を、直接握られる。
ぎゃー!っと直央は驚きのあまり声を張り上げた。
両手を振り回して抵抗するが、大河の片手が簡単に直央の両手首を制するから、涙目になって抗議する。
「何すんねんこの変態ーっ!」
「彼氏に対して随分な言い方だな」
大河の言う反省は、直央への反省ではない。
セックスを最後までできなかったことへの反省だ。
なんと性に貪欲なのか。もう逆に感心してしまう。
先端が皮を被った状態の柔らかい性器を揉みしだかれて、直央は涙を零していやいやとかぶりを振る。
熱くて硬い大河の手のひらは、直央の手の感触とは全く違う。人に触られることさえはじめてなのだ。あまりにも刺激が強すぎる。
しかし、無情にも大河はそれをゆるゆると上下に扱きはじめたのだった。
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