世界を破滅させる聖女は絶賛引き籠り中です

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幕間 勇者召喚2

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「……ここは?」
俺はあたりを見回す。
どう見ても自分の部屋ではない。
それどころか室内ですらない。
見晴らしの良い草原、遠くに木々が見える……街らしき建物は見えない。
「日本にこんな場所あったっけ?……うん、夢だな。明晰夢ってやつだな。」
俺は目を閉じると、脳裏にステータスが浮かんでくる。その数値はどこかで見たことがある。
「……というか、アルティメットスキルオンラインでメイキングしたデータだな。VRMMOじゃないから……やっぱり夢だな。」
しかし、すごくリアルな夢だ。
頬を撫でる風の感触、鼻腔をくすぐる草の匂い……。本当に夢なのか?と疑ってしまう位にリアルだ。
歩いてみると、草を踏みしめる感触が伝わってくる。
「ん-、やるじゃないか、俺の夢。ってことは次に来るのは……。」
俺は目の前に迫っていた森に目を向ける。

「きゃーっ!」
「……だよなぁ。モンスターに襲われる美少女。助けを求める声にひかれて現れる主人公。定番中の定番だよな。」
俺は悲鳴の元をたどって森の中に入るとすぐに、スライムに襲われている美少女を発見する。
「スライムって言うのも定番だよな。というか俺のイメージが貧困なのか?」
「誰っ?誰でもいいから助けてよっ!」
そう叫ぶ美少女の四肢はスライムに絡めとられて動かせないようだ。
その身体にもスライムがまとわりつき、その衣服を溶かし始めている。
今はかろうじて大事なところを覆い隠しているその布も、しばらくすれば溶けてなくなり、少女のすべてを曝け出すだろう。

「お願いですっ!助けてくださいっ!お礼なら何でもしますからっ!」
美少女の声に俺は素早く反応し、少女を捕らえているスライムを引き剥がそうと試みる。
「そんなっ、素手でなんて無理よっ!」
「無理かどうかはやってみないと分からないだろっ!」
美少女が『何でもする』って言っているんだ。ここで助けてあんなことやこんなことを要求するためには、無理でも何でもやるしかないだろうが。
俺は、ぬるっとすり抜けようとするスライムを掴み投げ捨てる。
「素手でスライムを掴むなんて……非常識ですわ。」
「夢だからなっ!非常識でも出来ると思えばできるんだよっ!」
最後のスライムを引き流し投げ捨てる。

「何を言ってるかわからないけど……助かったみたいね。お礼を言うわ。」
少女は、自らの身を腕で隠すようにしながらお礼を述べる。
「いやいや、気にするな、それよりお礼だよ。何でもするって言ったよなぁ?」
俺は少女の腕を掴み引っ張ると、隠されていた胸があらわになる。
とびぬけて大きいというわけでもないが、そこそこのボリュームがあり張りのある形の良い乳房が目に飛び込んでくる。

ドガッ!

何者かに後ろから殴られ、そのまま意識を失う。

「姫様ご無事ですかっ!」
「えぇ、それより、この方を……。」

遠くの方で声が聞こえる……俺の夢はここまでなのか。せっかくこれからだというのに……所詮、夢は夢という事なのか……。
そこで俺の意識は完全に途絶えた。


「ん……ふわぁぁ……惜しい夢を見たなぁ。」
夢とはいえ、あんな美少女をモノにする一歩手前だったのだ。
「どうせなら、事が終わってから夢から覚めたかったぜ。……ん?」
夢から覚めたにしては様子がおかしい。
大体、夢から覚めたのなら、ここは俺の部屋の筈。それなのに周りには何もなく、灰色の壁が見えるだけだ。
そして……。
「俺は縛りたい方なんだけどなぁ。」
壁から伸びている鎖、その先の枷に手首が捕らわれている。
そして足にも鎖が付き、その先には重く大きな鉄球が繋がっている。
「こういうのって漫画でしか見たことないよなぁ……って俺の夢なんだからイメージが貧困なのか。……本当に夢なのか?」
手首に食い込む枷が痛い。夢なのに痛みがあるっておかしいだろ?

「夢じゃないなら……これはなんだ? 」
眼を閉じて思い浮かべると、ステータス画面が浮かび上がってくる。
こんなこと現実ではありえない。
だが、手足から伝わる痛みも本物だ。
「夢じゃないとしたら……異世界転移?」
ラノベやゲームでは定番の設定だが、それが我が身に降りかかるとなれば、にわかには信じがたい。
「しかし、もし異世界転移なら……。」
そのことを考えると、心の奥底からじわじわと喜びがあふれてくる。
「異世界といえば、当然チートだよな。このステータスが俺のアドバンテージ……なのか?」
ステータス画面の数値を見ながら考える。
あの地獄のようなリセマラで得たBPによるステータス値の底上げ。一般的な能力がリセマラ前の値だというのなら、それなりに高い能力を得ていることになるが、しょせんはLV1。成長するまでは油断しない方がいい。

「……というより、この状況じゃチートも何もないよなぁ。」
俺がそう呟くと、狭い部屋の壁が動く。
「出ろっ!」
兵士らしい男たちに囲まれ、手の鎖が外される代わりに木で出来た枷を嵌められる。
そしてそのまま引きずられるようにして、外へと連れ出される。
……解放されるって雰囲気じゃないよなぁ。
連れていかれたのは、大きな広間。前方に偉そうにしている男が立派な椅子に腰かけている。
「ここは謁見の間ってやつか?」
「黙っていろっ!罪人風情がっ。お前は今からここで裁かれるんだよ。裁判を受けられるだけ感謝するがよい。」
傍にいた男がそう言いながら俺の頭を小突いてくる。
倒れそうになりながらも、その場に踏みとどまり、前方に視線を向けると、腰かける男の横に見知った少女が立っているのが目に入る。……あの時襲われていた少女だ。

「ふむ、こ奴が、我が娘を襲った犯人か?」
偉そうな男が口を開くと、傍に控えていた男が、俺の罪状を述べ立てる。
曰く、少女を騙して連れ出した。
曰く、不埒な行いをしようとした。
曰く、自分の思い通りにならないため、モンスターを使って襲わせた。
曰く、……。
男の話すことが全て本当であれば、俺は少女(この国の王女だそうだ)をかどわかし、手籠めにしたうえで、モンスターに始末させようとした。その裏で、国家転覆を図り、国王の暗殺を試みた重大犯人との事だった。
「黙って聞いていれば言いたい放題言いやがってっ!それはそこの娘を助けただけだぞ。命の恩人に対する態度がこれかよっ!」
俺はたまらず叫ぶ。
「大体、姫さんなら本当の事が判ってるだろうがっ!それとも命の恩人に対する例って言うのがこれなのかよ。大したお姫さんだぜっ!」
「お父様、彼に危ないところを救われたのは事実です。」
俺の叫びが届いたのか、王女が王にそう進言する。
助かった、とホッと一息を突くのもつかの間、王女は言葉を続ける。
「しかし、襲われかけたのは事実です。あの野獣のような目は、決して忘れませんっ!」
「なるほど。……どのような理由があれ、国家転覆罪は死罪に決まっている。しかし、娘の話によれば、誤解のようだしな。よって、そ奴にはA級犯罪者奴隷としての刑を処すことにしよう。……つれていけっ!」
俺は引きずられるようにして、広間から連れ出され、地下のジメジメとした牢に突き落とされた。
「とりあえずそこで大人しくしてな。2~3日中に奴隷商人が引き取りに来てくれるからな。」
連れてきた男はそう言い捨てるとドアを閉めて立ち去って行った。

「クソッ!何だってんだよっ!お姫様を助けたら犯罪者で奴隷落ち?フザケんなよっ!」
当たり散らしてみたが、現状に何の変化もない。当たり前だ。
「はぁ、マジかよ……と言うより、これは本当に夢じゃないんかよ。」
牢の中央に座り込み、深い溜息を吐く。
「あー、もういいや。寝よっ。」
俺はその場に寝ころんで目をつぶる。
疲れていたわけでもないが、あっという間に意識が薄れ、深い眠りへと誘われていった。

「ん?」
ガサゴソっと言う音で目を覚ます。
「あ、起きちゃいましたか?すぐ済みますので、もう少し寝てて下さいね。」
見知らぬ少女がそう言って俺の目をのぞき込んでくる。
その目を見ていると、吸い込まれそうな気がして、意識が遠のいて行く感じがする。

「これでよし。後は早いところ終わらせないと。うぅ、お腹空いたよぉ。」
少女は、俺が寝たと思ったのか、作業を再開する。
「んー、これどうなってるのよっ!」
ベルトに手を掛け、ガチャガチャといじるが、どうすれば外れるのかが分からないらしい。
彼女は必至にベルトと格闘しているのだが、動く度に目の前の可愛いお尻がプルプルと動き、何とも言えない興奮がせり上がってくる。そして、ベルトを弄るのに夢中になっているせいか、彼女の手が時々下半身に触れ、何とも言えないもどかしさを感じる。
「もぅ!こうなったらっ!」
彼女がナイフを取り出す。
「待て、待てっ!それで何するつもりだ!」
「何って、決まってるじゃない。このズボンを切って取り出すのよ。」
「取り出すって何を?いったい何するつもりなんだ?」
「男の人のアレに決まってるじゃないの。アレを取り出して精気を吸うのよ。」
「精気を吸うって、どうやって?」
「決まってるじゃない。こうやって取り出して直接……うっ、おっきぃ……グロい……。」
少女はナイフで股間周りを切り裂き、俺の大事な物をさらけ出す。
解放されたソレは見事なまでに自己主張していたが、目の前にエロカワイイお尻が揺れているのだから仕方がない。
「直接って、ひょっとして……。」
「もうっ!1週間も食事してないんだから邪魔しないでっ。この人起きちゃうでしょうがっ!」
そう言いながら振り返り、俺と目が合う。
「「あっ」」
俺たちは数秒の間、何も言わずに見つめ合う。

「な、な、な、にゃんで起きてりゅのっ!」
最初に我に返ったのは少女の方だった。
盛大に噛みまくっているところからして、平静ではいられなかったようだが。
これが、俺と魔族の少女『みぃ』との最初の出会いだった。


「つまり、俺を襲って精気を吸い尽くそうと、そう言うわけか?」
「吸い尽くすなんて人聞き悪い。ちょっとだけ貰うだけなの……本当はこんな事したくないのに。」
みぃと名乗った少女は、俺の大事なところを握りながらそう言う。
俺が動かずにいるのは、さっき、みぃに掛けられた術のせいで金縛り状態だからだ。決して気持ちがいいから大人しくしているわけじゃない。
本来ならば、意識も失って、深い眠りについていたはずとみぃは言うが、術の掛かりが浅かったのだろう、身体は動かないが、意識はハッキリとしていて、こうして話しも出来る。

みぃは、その幼い外見にもかかわらず、サキュバス族とのことで、生きていくために男性の精気が必要なんだそうだ。正確に言えば男性でなくても、もっと言えば人間でなくても良いらしく、要は生命体の『生命力』を直接取り込んで活動エネルギーに変換するらしい。
ただ、男性の精気が一番吸収効率がいいため、男性を喜ばせるテクニックを種族全体で共有しているとのことだった。
「ほら、やっぱりね、無理矢理ってお互いに気分が良くないでしょ?だから精気を貰う代わりに気持ち良くなって貰おうってわけ。これならWIN-WINでしょ?」
「まぁ殺されないなら、協力するのもやぶさかではないぞ。」
「本当に?」
「あぁ、要はエッチぃことをすればいいんだろ?それなら逆にウェルカムだ。」
「ソレは絶対イヤ!」
俺が快く協力を申し出たのに、激しく拒絶するみぃ。
「男とそんな事するなんて耐えられないのっ!いい?大人しくしてなさいよ。襲ってきたら舌噛んで死んでやるからね。」
……男としたくないって、サキュバスの存在意義を否定してないか?
俺がそんなことを考えている間にも、握られ軽い刺激を与えられている股間は、どんどんと漲っている。
「ソロソロいいかな?………いただきます。」
みぃは軽く手を合わせた後、漲るソレを口に含む。
「う゛っ!」
今までに経験したこともない刺激に、俺の背筋を電流が駆け抜ける。
経験のない悲しさ故に、少しの刺激であっと言う間に登り詰め、果ててしまう。
「ん、んぐっ………ゴクン………。不味い。」
俺の放出した精気を飲み干しながらもそう言うみぃ。
照れ隠しとかではなく、心の底からそう思っていることは、その表情から一目瞭然だった。

「えっと、まぁありがとね。おかげで餓死しなくて済んだわ。」
「待てよ。」
それじゃぁ、といって去っていこうとするみぃの腕を、辛うじて動くようになった右手で掴む。
「自分の欲求だけ満たして、ハイサヨウナラでは納得できないって事、分かるよなぁ?」
「コイツ、人間のくせに、何で動けるのよっ!」
「気合いだっ!俺のエロパワーなめるんじゃねぇぞ!」
「くっ!わかったわよ。あなたの要求は?言っておくけど、私の身体ッての話だからねっ!」
「……チッ!まぁ、いい。今は賢者タイムだからな。それより、だ……。」

その後、俺とみぃはある契約を交わし、一緒に地下牢から脱出するのだった。

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