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引きこもり聖女、王都へ その1

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「うぅ……もうヤダ。」
「自業自得って言葉知ってる?」
食卓に突っ伏しているユウにエルザがそう言葉をかける。
「……とはいっても、ユウのお陰で、すごく助かったわよ。」
エルザは、ユウの隣に座ると、その髪を優しく撫でる。
「なら、ぎゅぅ。」
「え?」
「私のお陰って言うなら感謝の意を示すことを要求する。」
「えっと……?」
「ギュって抱きしめて甘やかすことを要求する。」
「あー、はいはい。」
エルザは言われたとおりにユウを抱きかかえ、その身体を抱きしめる。
「ふみゅー。」
エルザに抱きしめられ、その胸に顔を埋めたユウは、御満悦と言った表情で軽く息を吐く。

「あらあら、エルには甘えるのね、ユウちゃんは。」
その様子を眺めていたミリアルドが、羨ましそうに呟く。
「エルたんのお胸は至高にして最高。」
そんな事を言うユウに苦笑で応えるミリアルド。
「でもね、本当にユウちゃんのおかげで助かってるわ。領主に成り代わり感謝申し上げます……聖女様。」
ミリアルドが居住まいを正し、まじめな口調でいう。
領主が現在ここにいない理由、ミリアルドがユウに頭を下げる理由、そしてユウがグッタリとしている理由……すべては、ここ数日のユウの活躍にあった。

あの反乱の後、フォンブラウの街は少なからず混乱の渦に巻き込まれた。
幸いにも、エルとユウの活躍によって、領主の暗殺を防ぎ、ロストテクノロジーの復活によって、領主軍に的確な指示を出すことが出来るようになった。
そのおかげで、反乱を企てていた者達の計画は完全に狂い、結果として最小限の被害で事を納めることができたのだが、それでも被害が皆無というわけではなかった。
神殿に身を置く者として、エルザは街の人々を救済して回っていたが、父である領主の暗殺を防ぎ、その後休む間もなく起きた領内の反乱に魔物の襲撃、とエルザでなくともかなりハードな出来事を処理してきた反動で1週間ほど寝込むことになってしまった。
そのエルザの代わりに、街の人々を守った兵士達を、怪我を負った街の人々を、治癒魔法で治し癒して回ったのがユウであり、ユウに掛かればどんな重傷者もあっという間に健常者と変わらない生活が送れるようになる。そんなユウを人々がいつしか『聖女様』と呼び、崇めるようになるまでに対して時間を要しなかった。

「でも、何で協力してくれたの?普段なら「面倒」の一言で手を出さないのに。」
「………。」
しかし、ユウは視線を逸らしてなにも答えない。
「そう言えばユウちゃんはエメルと何か取引してたわよね?」
そこにミリアルドがボソッと爆弾を落とす。
「ユウ?」
「ミリア、バラしたらダメ。」
「お義母様と呼ぶのなら、黙っててあげるわよ。」
「……お義母様、バラしちゃいや。」
ミリアルドの要求に瞳を潤ませながら答えるユウ。
「もうっ!ユウちゃんはなんて可愛いのっ!」
エルザからユウを取り上げ、ぎゅぅっと抱き締めるミリアルド。
「く、苦しぃ………。」
「お母様、お母様、落ち着いて。ユウが白眼を剥いています。」

「それで、取引って?」
ミリアルドの手からユウを奪い返し、一息ついたところで、エルザは改めてユウに訊ねる。
「………言わなきゃダメ?」
「ダメ。」
瞳をウルウルさせながら見上げてくるユウに、これ以上ない笑顔で答えるエルザ。
「………エルたんを監禁……じゃなくて閉じ込め……でもなくて、エルたんとゆっくり引きこもるための土地をもらった。」
「……今、監禁って言った?」
「言ってない……。」
「………ユウ、短い付き合いだったよね。」
「待って、待ってっ!エルたんきっと喜ぶからっ!」
「いやいやいや、どこの誰が監禁されて喜ぶのよっ。」
「そうじゃなくてぇ………聞いてよぉ。」
涙ぐむユウを見て、やり過ぎたかな?と反省するエルザ。
「えっとね、もらった土地はこんな感じで……。」
ユウが取り出した魔導具から、地図とどこかの風景が浮かび上がる。
「この、廃墟になりかけていた教会を住めるように改装したの。」
浮かび上がってきた建物は、少し変わっているが、確かに教会の面影を残している。ただ、左右にそびえ立つ塔が違和感を醸し出している。

ユウが貰ったという土地は、領地の最西端にあり、このフォンブラウの街からでも、馬車で10日かかる場所にある。
周りには、山や川、森などがすぐ近くにあり自然豊かな場所……と言うより自然しかない場所だ。一番近い村落すら、馬車で2日程かかる。
「確かに、静かで引きこもるには丁度いいかも知れないけどね……。って言うか、何でこんなところに教会があるのよっ。誰も来ないでしょうが。」
「遺跡だから。」
「そうなんだ………って、ええっ!」
ユウの答えに軽く頷きかけ、その言葉の意味を理解したところで驚愕の声を上げる。
同じ様に驚いているところを見ると、ミリアルドも知らなかったらしい。
「大丈夫、ちゃんと掃除したから。」
「そう言う問題じゃなくて………。」
「このあたりにね、大浴場を作ったの。そして、ここから外に繋がっていて露天風呂になってるのよ。更にはこっちの塔の一番上に展望浴室を作ってね………。」
ユウは、話を逸らすように、どう改装したかの説明を始める。
「そうじゃなくてっ……ってお風呂?」
お風呂の話題を出すと、ユウの予想通りエルザが食いついてくる。
「うん、この教会の7割はお風呂場なの。色んなお風呂を用意したよ。」
チョロい、と思いながらも、ユウの興味の引きそうな事を教える。
「凄い!ってことは、色んなお風呂に入り放題?」
「そう。エルたんが喜ぶように改装してる。」
「えっ、じゃぁプライベートルームにもお風呂作れるの?」
「うん、バッチリ。スペースの関係上ちょっと狭いけど、ちゃんと二人で入れるよ?」
「じゃぁ、じゃぁ、あの泡がブクブクってなるお風呂は?」
「ちゃんと用意してあるよ。」
「じゃぁ、じゃぁあれは?あのお肌がツルツルになる………。」
エルザが聞くこと全てに、抜かりはないと答えるユウ。
大好きなエルザの、お風呂に対する執着はよくわかっている。いつかはエルザのために、お風呂中心の家を作ろうと考えていたため、好みや傾向についてもすでに調べ尽くしてある。
そして、現に目の前のエルザは、まだ見ぬお風呂多大な期待を寄せ、目を輝かせている。
「だからね、ここを拠点にしたいなぁって………ダメ?」
ユウはだめ押しとばかりに、上目遣いで甘えた声を出す。
「ううん、ダメじゃない。行こ。すぐ行こ。早く行こ!」
エルザはユウの手を取り、今にも飛び出して行きそうな勢いで引っ張る。

「ちょっと待ったぁっ!」
ユウを引きずるようにして部屋を出ていこうとしているエルザにストップがかかる。
王都に行っているはずのエメロードだった。
「お父様、いつ戻ってらしたの。」
「今着いたばかりだ。それより俺も行くぞ。可愛い愛娘の新居ともなれば、この目で確認しておく必要がある!」
「一緒に行くって、現地まで結構かかるのよ?その間この街を放置するのはマズいんじゃぁ?」
「心配ない、俺が留守の間はエトに任せる。奴もそろそろそれくらいのことは出来るようにならないといけないからな。」
「心配ないって……。いくらなんでもいきなり1ヶ月近くエト兄様に放り投げるのって……。」
往復で20日、向こうで何日滞在する気かわからないが、1日や2日ってことはないだろう。
エルザの記憶では、エトルシャンが領主代行をしていたという覚えはない。エルザがいなくなってから勉強していたとしても、流石にいきなり長期間任すというのは無理があるのでは?
そんな気持ちが表情に出ていたのだろう。
領主であるエメロードが安心させるように言う。
「心配いらんよ。どうせ長くても1週間程度だ。それくらいならエトでも十分務まる……というかそれくらい務めてもらわんと、安心して後を任せることは出来ぬ。」
「まぁ、確かにそれくらいなら……って、ちょっと待ってよ。行くだけで10日はかかるのよっ。1週間って……。」
「心配ない。転移魔法があるからな。のう、ユウ殿。」
「うん、行くのも帰るのも一瞬。」
「そう、なら……って、転移魔法っ!?」
エルザはスルー出来ない言葉を聞いて、ユウを睨む。
「あわわ、失敗。」
ユウは慌てて口を塞ぐが、もう遅い。
「ユウ、詳しく話してもらいましょうか。……お父様もですよっ!二人ともそこに正座っ!」
顔を見合わすユウとエメロードだったが、エルザの顔を見るなり、居住まいを正し正座をする。
それくらい、エルザの笑顔にはいいもしれぬ迫力があったのだ。

「転移魔法が使えるなんて聞いてないわよっ!って、ロストテクノロジーの中でも伝説になっているものでしょう?それを簡単に教えたり教えてもらったりっていったい何考えてるのよっ!大体……。」
項垂れて正座をする二人にお説教を始めるエルザ。
ユウの非常識は今に始まったことではないが、転移魔法はいけない。あれはロストテクノロジーの中でも危険度S級に位置するものだ。
転移魔法が使えれば、いつでもどこでも自由に出入りすることが出来る。……つまり要人の暗殺も容易という事であり、また、戦場では、本陣への奇襲も容易という事で、戦争にすらならなくなる。

……一領地の領主というだけでなく、国王の弟という立場にあるお父様に、それくらいの事が判らないわけでもないでしょうに。
エルザが怒っているのは、ユウが転移魔法について黙っていたことではなく、領主に転移魔法の事を教えたという事にあった。
自分の父親がどう、というよりは、ユウがまた、権力者によって都合よくつかわれるのではないか?という心配故だった。

「あのぉ、エル。」
「なに?」
おずおずと声をかけてくるユウをキッと睨みつけるエルザ。
ユウにはここでしっかり反省してもらわないといけないので、甘い顔を見せるわけにはいけない、という決意がエルザの表情にしっかりと現れているのだが……。
「お風呂、早く行こ?」
「……うん、そうね。」
ユウの一言でその決意はアッサリと霧散する。
お風呂こそ人生最大の目的であり、至高の存在である。そのお風呂の前には、転移魔法の事など些細な問題だった……エルザにとっては。


「はぁ……、しゃぁわせぇ~~~~。」
「気に入ってくれた?」
「うん、もぅ、さいこーよ。」
湯船に浸かり蕩けた顔で答えるエルザ。
「……許してくれゆ?」
「ん~、何のことぉ?お風呂は正義よぉ、しゃーわせぇ。」
塔の最上階に作られた展望露天風呂。
外部の気温が程よく冷たいのに対し、少し熱めのお湯。
のぼせそうになれば 、お湯から出て、肌を外気に晒すと火照った身体に気持ちよく、冷えてきたならばお湯に浸かり再び温まる。
その永久機関に等しいサイクルによって、いつまでもお風呂に入っていられると思うエルザには、その他の事は全て些末事であった。

領都フォンブラウから馬車で10日かかる筈のこの場所へ、一瞬でこれたのはロストテクノロジーである転移魔法のお陰であるが、エルザが心配するようなむやみやたらとどこにでも移動出来るようなものではなかった。
転移魔法というより転移装置と言った方が早く、移動元と移動先に専用の魔法陣が必要であること、転移を制御するための装置として指揮台が必要になる。
つまり現在では、ユウの存在が必要不可欠であること、事前準備に手間がかかることなどから悪用される心配はないという事が分かり、細かいことはお風呂から出てから、と、ユウ渾身のお風呂の数々を楽しむことに決めたエルザだったが、最初の展望露天風呂ですでに骨抜きになり、もうどうでもいいやと思考を放棄したのだった。

結局、お風呂に浸かり過ぎてのぼせたエルザを、ユウが引きずって寝室まで連れていくというのが毎回の風物詩となり、流石に辟易したユウが、エルザを寝室に運ぶための転移装置を開発し、各お風呂場に設置することになるのだった。
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