勇者と魔王、選ぶならどっち?

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第二章 勇者のスローライフ??

腐敗貴族の成れの果て

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「何、アレ?」
「元ゲーマルク子爵よ……何かが取り付いたように見えたわ。」
 私の疑問にミュウが答えてくれる。
 私の目の前にはトカゲのような頭、全身鱗に覆われた身体は所々、隆起していたりする。
 その大きさは3mぐらいだろうか?元の子爵の倍ぐらいの大きさになっており、節々に浮かぶ瘤の表面が波打っていて、はっきり言って気持ち悪い。

 周りがよく見えていないのか、滅茶苦茶に腕を振り回している。
 振り回す腕の太さがまるで丸太の様で、その腕に当たった壁や柱が崩壊、運悪く当たった人はそのまま遠くに弾き飛ばされていた。

「あれが子爵だと言うのか。」
 私の背後で領主が唸る様につぶやく。
「アンタの可愛い部下の成れの果てよ。性根がそのまま外見に出たような醜さだわ。」
「むっ、其方……。」
「ハイハイ、そこまで。ミカゲさん、ここ頼めるかしら?私は怪我している人たちを避難させるから。」
 私と領主の険悪なムードを振り払うかのように割って入ってくるメルシィさん。
「ウン、ついでにその領主様御一行もどこかに連れ出してくれると助かるよ。メルシィさんを信用しないわけじゃないけど、戦闘中に後ろから襲われたら嫌だからね。」
「何をっ!」
「分かったわ。街の人たちを避難させたら、すぐ応援呼んでくるから、それ迄頑張って。」
 何か言いたそうにしている領主の言葉をさえぎって、メルシィさんはそう言ってくれた。

「マリアちゃん、クーちゃんは住民の避難をお願いね。」
「はい、わかりましたわ。」
「ミカ姉、気を付けて。」
「大丈夫だよ、ミュウ、行ける?」
 心配そうな表情のクーちゃんに笑顔を返し、私はミュウに声をかける。
「いつでもOKよ。ミカゲが気を引いている間に後ろに回り込むわ。」
「了解、じゃぁ行くよ……アクア・カッター!」
 私が魔法を放つと同時にミュウが駆け出す。

 水の刃が、異形の怪物の身体を斬り裂き、その痛みに悶える隙をついてミュウの双剣が身体を切り刻む。 
「グガァ……」
 痛みに体を震わす怪物。
 しかし、斬り裂いた傷口が瞬く間に塞がっていく。
「自動回復!?また厄介な能力ね。」
 私は連続で水の刃を放っていく。
 自動で治癒するなら、治癒する間も与えずに傷口を広げていけばいい。
 ミュウも同じ考えなのか、同じ個所を狙って斬り付けている。 

 ズバッ!
 何度目かのミュウの刃が異形の怪物の腕を斬り落とす。
「グギャァァァァ!」
「ソル・レイ!」
 痛みにのたうち回る怪物に私は止めとばかりに光のレーザーを撃ち込む。
 しかし、私の放った魔法は、残った腕を滅茶苦茶に振り回して跳ね返されてしまう。
 なんか、魔法の効きが悪くなってきている?
 そして、私が見ている前で、腕の斬り口からモコモコと、何がが生えてくるのが見えた。
 腕というより木の枝の異様なソレの先、手にあたる部分からはウネウネとした触手が伸びている。
 キモッ!

「なんだよ、アイツ。斬っても斬っても再生しやがる。」
 私の傍に戻ってきたミュウがそう言ってくる。
「ウン、私の魔法も抵抗力が増してきてるみたいで効果が薄くなってきてる気がするよ。」
 私がそう言うと、ミュウが唸る。
「早めにケリを付けたいけど火力不足だな。」
「そうね、火属性に強い耐性を持っているみたいで、エクスプロージョンもあまり効かなかった。」

 エグスプロージョンは火属性の上級魔法で、今の私に使える最大級の魔法の一つ。
 火力と言う意味では一、二を争えるほどの魔法なんだけど、これが効かないとなると、私の手札はかなり限られて来るのよね。

「取りあえずは、再生速度を上回るスピードでダメージを与えていくしかないな。」
「そうだね、途中大技取り混ぜていくからちゃんと避けてね。」
「ミカゲの魔法なんか、目をつぶっていてもよけれるから心配しないで。」 
 ミュウは回復薬を飲み干すと、茶目っ気たっぷりにそう言って飛び出していく。
「ミュウのばかぁ、怪我しても知らないからね。」
 私も魔力回復ポーションを飲み干してから、杖に魔力を送り込む。
「いっけぇぇぇ、トルネード!」
 風の渦が異形の怪物目指して放たれた。

 ◇

 あれからかなりの時間が経った。
 応援に来てくれた冒険者達は、皆傷を負って方々で倒れていて、マリアちゃんが防護結界を維持しながら治療にあたっている。
「想像以上にタフだね。」
 回復薬を飲みながらミュウが言う。
 何本目の回復薬だろう、飲み過ぎだよ、と止めたいけど、それも出来ない現状が歯痒い。
 それに、そんな事を言ったら「お前が言うな」と言われるのがオチだ。
 私は魔力回復ポーションを飲みながらそう思った。

「だいぶ削ったはずなんだけどね。」
 異形の怪物を一生懸命押さえてくれている冒険者たちを見ながら言う。
 彼らのおかげで、こうして回復薬を飲む時間が取れているけど、あの怪物を倒す決定的手段がない。
「強力な前衛がもう一人いればね……こんな時、クレアがいてくれたらって思うよ。」
「ウン、でもいないからしょうがないよね。今の状況で出来る事を考えないと。」
「決定打はミカゲしかいないと思うけど、何か手がある?」
 ミュウが聞いてくる。
 確かに、クレアさんクラスの前衛がいなければ、火力が一番大きいのは私の魔法って事だけど……。
「無くはないけど、少しの間、アイツを足止めしてもらわないと……。」
「少しってどれくらい?」
「ウン、2分……いえ、1分、1分間、その場に縫い付けて貰えれば……。」

 今の私が使える最大級の魔法はイグニスバニッシャー……聖属性と炎属性と風属性の三属性合成魔法。
 
切り刻まれ、再生を繰り返しているあの異形の怪物は、再生する度に闇属性が方が強くなっているので、聖属性を持つイグニスバニッシャーなら再生を抑え込み大ダメージを与えれるはず。
 ただ、使用する為には、目標を魔法陣内に閉じ込める必要があり、レフィーアの補助がない今の私では最低1分はかかるのが難点なのよ。
 あの怪物を1分間同じ個所にとどめる事が出来ない現状では使うに使えないから選択肢から外していたんだけど。

「1分か……何とかできると気軽に言えないね……。」
 ミュウも分っている為、表情が硬い。
「とにかく何とかしてみるから、ミカゲは魔力を温存しながらチャンスに備えて。」
「ウン、分かったよ、あ、そうだこれ……。」
 私は飛び出そうとするミュウを押しとどめて5本のナイフを渡す。
「もし、チャンスが来て、アイツを止める事が出来たら、このナイフをアイツの周りを囲む様に投げつけて。」
「分かった。じゃぁ行ってくる。」
 そう言って飛び出していくミュウ。

 あのナイフには魔力が込められていて、そのまま使っても魔力剣としてそれなりの威力を発揮するが、本来の使い方は魔法陣の起点とするものだったりする。
 うまく使えば魔法発動までの時間を短縮できるけど……。
「ミュウ、無理はしないでね。」
 私はもう聞こえないであろう、ミュウの背中にそう呟くと、援護の為の魔法を繰り出した。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

「何で、何で私には力が無いの!」
 戦場で傷つき倒れる人を見ながら私は叫ぶ。
「バカ言っちゃいけねぇよ。嬢ちゃんの年でこれだけ治療出来るってのは立派な力だぜ。」
 私が治療を終えた冒険者の男性が言う。
「そうだぜ、嬢ちゃん達がいなかったら、俺なんか今頃死んでたぜ。」
 そばで寝込んでいる男性もそう言ってくれるけど、私の中の無力感は拭えない。

 マリアお姉さんの治癒魔法は命にかかわる重篤者を優先に使用しているから、私はそれ以外の人達の怪我を薬草とポーションを使って治療していた。
 というより、私に出来るのはそれぐらいだったのだ。
 ポーションでの回復は魔法と違って瞬時に治るものではなく、徐々に効果が現れるものなので、回復するまでここで休んでもらっている。
 とは言っても、戦場からそれ程離れていないのでゆっくりと休めるかどうかは微妙な所だと思う。

「それに、嬢ちゃんのような子を守るのも俺達の役目だよ。」
 そう言って、一人の冒険者の男性が剣を取って戦場へ向かう。
 薬草とポーションで傷は治せても、流れた血の量や疲労まで回復できるわけじゃない。
「待って、せめてこれだけでも飲んでいってください。」
 私は飛び出そうとする冒険者に小粒の丸薬を渡す。
 ミカ姉が調合した疲労回復効果がある丸薬だ。
 まだ試作品だからそれほど数があるわけじゃないし、気休め程度にしかならないけど、それでもないよりはましだと思う。
「ありがとよ、嬢ちゃんは絶対守るから、安心して待ってなよ。」
「俺達も行くぜ!」

 回復が終わった人から順番に飛び出していくが、それと同じぐらいの数のケガ人が次々と運ばれてくる。
 私は無力だ……飛び出す冒険者さん達を見送る事しかできない。
 運ばれてきたケガ人を治療すると言っても私に出来るのは軽度の怪我の治療だけ。
 重篤者はマリアお姉さんの回復魔法に頼るしかなく、順番待ちをしている間に息を引き取る冒険者も少なくない。
 今運ばれてきた冒険者さんも、マリアお姉さんがの手が空くまで持たず息を引き取る。
 その光景を目の当たりにしては私の中の無力感が増大していくのだ。


「ぐわぁぁっ!」
 遠くで悲鳴が聞こえる。
 振り返って戦場を見ると、さっき飛び出していった冒険者の一人が怪物の腕に貫かれているのが見えた。
  
 冒険者を貫いた腕は、その冒険者を振り払い、腕のさきから触手を伸ばして、新たな冒険者を狙う。
「危ない!」
 私は思わず飛び出していく。
 間に合うかどうかなんて考えていなくて、とにかく感情のままに飛び出し、腰の剣を抜いてその触手に切り掛かる。
 ガシィィィィン!
 私の剣は触手を斬ることまでは出来なかったけど、冒険者さんが逃げ出すまでの時間を稼ぐ事は出来たみたいだった。

「きゃぁっ!」
 ホッとしたのも束の間、横から来た別の触手に私は跳ね飛ばされる。
「うぅ……痛いよぉ……。」
 痛みを堪え、周りの状況を確認しながら立ち上がる。
 戦場では一瞬の判断の遅れが致命傷になるって言ってたっけ。
 私は短い期間だったけど、稽古を付けてくれたクレアさんの言葉を思い出す。
 そんな私の目に飛び込んできたのは、触手に貫かれ、一瞬で命を刈り取られた数人の冒険者の姿。
 そして、丸太の様に太い腕を斬り落とした瞬間に、背後から迫る触手に弾かれるミュウお姉ちゃんの姿。

「ミュウ!」
「ミュウお姉ちゃん!」
 遠くにいるミカ姉と私の声が重なる。
 ミカ姉はミュウお姉ちゃんの下に駆け寄り、治癒魔法を施すけど、そこに迫る新たな触手。
「ミカ姉危ない!」
 私の叫びも虚しく、触手に弾かれる二人。
 防護結界が効いているから無事だとは思うけど……。

「何で、何で私には力が無いのっ!力が欲しいよ!ミカ姉たちと一緒に戦える力が、皆を守れる力が欲しいよ!」
 私の心からの叫びが口をついて出る。
 瞳から零れた涙の雫が手を伝わり、握り締めた剣の柄を濡らす。
「力が、欲しい、よ……。」

(ふーん、まぁ、素材は悪くないし、取りあえずお試しって事でいいか。)
「誰っ!?」
 泣き崩れた私の耳に誰かの声が聞こえる。
(エストリーファよ。あなたに力を貸してあげる。その剣に誓って魔力を流しなさい。)
 姿は見えないけどはっきりと聞こえたその声はどこか懐かしい感じがした。
 それと同時に私の中に何かが流れ込んでくる感覚がある。

「我、クミンが女神エストリーファに願い奉る。何者にも負けない強い力を、皆を守れる力を貸し与えたまえ!」
 知らない言葉の筈なのに、なぜか自然に私の口から紡ぎ出される。
「我に力を!『アフェクション!』」

 力ある言葉を唱えると私の身体が光に包み込まれる。
 あ、これ、ミカ姉がバトルモードになるときと同じ……。
 光が消えると私の身体中に力がみなぎってくるのが分かる。
 右手の剣を見ると、柄の部分は複雑な文様と装飾が施され、刀身は薄っすらと金色に輝いているのが分かった。

「コレなら……クミン、行きますっ!」
 私は治療に専念しているミカ姉たちを攻撃しようとしている触手に向けて走り出した。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

「くっ!」
 触手に弾き飛ばされながらも、腕の中のミュウをしっかりと抱きしめる。
 これくらいならまだダメージは無い。
 ミュウを庇いながら地面を転がり、体勢を立て直す。
「キュア・ヒール!」
 そのままミュウに治癒魔法を掛ける。
 マリアちゃんの魔法と違って、私の力では回復させるのに少し時間がかかる。

 上空から迫る触手。
 あれに弾かれても、それほどのダメージは受けないけど、魔法が中断されるのが痛い。
 かと言って、魔法を中断させない為にはこの場から動く事が出来ない。
 私は治癒に魔力を注ぎつつ、迫る打撃に備えて防御を固める。

 ガシッ!
 触手が何かにあたる音がするが、いつまで経っても弾かれるショックが襲ってこない。
 ミュウへの治癒を止めずに私が振り返ると、そこには触手を剣で受け止めているクーちゃんの姿があった。

「クーちゃん!」
「ミカ姉、ミュウお姉ちゃんは大丈夫?」
「ウン、もう少しで回復する。でもその姿……。」
「詳しい話は後、私が時間を稼ぐから、ミュウお姉ちゃんをお願い。」
「くっ……もう大丈夫だよ。」
 私とクーちゃんが話している間に治癒が終わり、ミュウが意識を取り戻す。
「クー、なのか?」
「ウン、私も戦えるよ。ミカ姉、どうすればいい?指示をお願い。」

 急な展開に、正直思考がついて行かない。
 けど、コレが千載一遇のチャンスだというのはわかる。

「分かった、クーちゃんはそのままそいつの足止めをお願い。ミュウはさっきの短剣と冒険者たちへの避難の呼びかけをお願い。」
 私はそう叫びながら魔法を発動させる準備を行う。

「クーちゃん、1分間だけ耐えて。ミュウが投げるナイフから外へ出さない様にお願い。そして私が合図したら、ソイツから出来るだけ距離を取って。」
「ウン、分かった。」
 クーちゃんは迫る触手や腕を斬り伏せながら、怪物が移動しない様に間合いを操作する。
 その間にミュウは冒険者たちに離れるように声を掛けつつ、等間隔に円を描くように、ナイフを地面に突き立てていく。

 私は魔力を杖に溜め込み魔法陣を描いていく。
 杖から流れ出す魔力がナイフを起点に、私が思い描く魔法陣を地面に映し出し、その中は金色の光の柱に包まれていく。

「大いなる女神の力よ、数多の精霊たちよ、今ここに来たりて顕現せよ。総てを包み、全てを放ち、この地の汚れを祓わんとする力を示せ!」
 私は呪文を唱えながら魔法陣を完成させていく。

「クーちゃん、ミュウ、離れて!」
 魔法陣が完成すると私は二人に声をかける。
 牽制していたミュウは最後に投げナイフを怪物の頭に突き刺してから大きくバックジャンプをして距離を取る。

 怪物の腕と鍔迫り合いをしていたクーちゃんは、全力で押し戻した後、反動を利用してバックステップで間合いを空ける。

「聖なる炎をもってこの場を浄化せよ……。」
 杖を通じて私の魔力が魔法陣へ向かって流れ込む。
 私の中の魔力がごっそりと持って行かれる感覚がするけど、ここで倒れる訳にはいかない。

『イグニスバニッシャー!』
 私は力ある言葉を唱える。

「グギャァァァ!」
 光に囚われた異形の怪物は苦しさにのたうち回るが、魔法陣の範囲から出ることが出来ない。
 身体の表面が炎に焼かれて蒸発する。
 即座に再生が始まるが、炎が浸食する方が早く、瞬く間に怪物の身体が炎に焼き尽くされていく。

「これで終わるの?」
 いつの間にか私の側に来ていたクーちゃんが訊ねてくるけど、今は魔法の制御で話をする余裕がない。
 この魔法は対象を消滅させるまで魔力をそそぎ込む必要があるのよ。
 普通なら一瞬で消滅するんだけど、高度な魔法耐性と再生能力の所為で時間がかかっている。

「クー、魔法を行使中の術者の邪魔はしない。」 同じく私の側に戻ってきたミュウがクーちゃんを窘める。
「術者の集中が途切れると魔法が暴走する危険がある。いまみたいな大魔法ほどその危険性は高いんだよ。」
「はい、ごめんなさい。」
 素直に謝るクーちゃん。
「まぁ、見たところ再生より魔法の浸食の方が早いから、もう直ぐ焼き尽くされると思うから、今は黙って見ていようよ。」
「うん。」
 可愛く頷くクーちゃんには悪いけどそんな余裕はないみたい。

「ミュウ、クーちゃん……周りの人達の避難を……お願い。」
「ミカゲ、どう言うこと?」
 ミュウが聞いてくる。
 さっき避難勧告をしたので、現在はここから半径50m以内には私達しかいないのでミュウの疑問はもっともだと思う。

「思った以上に……場が穢れている……この魔法は……穢れを浄化する魔法だから……。」
「わかった、どれくらい離れればいい?」
「少なくても……半径200m以上……出来るだけ遠くへ……急いで……アレを焼き尽くしたら……炎が広がる……。」
 私の言葉に慌てて駆け出すミュウとクーちゃん。
 不幸中の幸いと言うか、この様子なら焼き尽くすまで3分は掛かる。
 それだけあれば充分だろうけど、あの怪物の再生能力に感謝するとは思っても見なかったよ。

 やがて怪物だったモノの最後の塊を焼き尽くす。
 と同時に炎が地面に広がりその場の不浄を浄化していく。
 転がっている死体、血にまみれた地面や建物、破壊の痕跡が残る瓦礫などが瞬く間に浄化され消え去っていく。
 魔法陣の光が消え去り、効果が消えた後には一切の痕跡は無く、ただ更地だけが残されていた。

 ……って言うか、なにも残らないってどんだけ穢れていたのよ!
 この街全体に魔法かけたら消滅するんじゃ無いでしょうね?

 私はなにも残っていないその場所に倒れ込む。
 ちょっと魔力使いすぎちゃったみたいね。
 向こうからクーちゃん達が駆け寄ってくるのが見えるけど、今はちょっと休みたい……な……。

 ミュウに抱き起こされた気はするけど、私が覚えているのはそこまでだった。
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